てもふれで つきひへにける しらまゆみ おきふしよるは いこそねられね
手もふれで 月日へにける 白真弓 おきふし夜は いこそ寝られね
手も触れずに月日を経てしまった白真弓ではないが、接することもできないまま起きていても臥していてもあなたのことを思って、夜寝ることもできない私であるよ。
「白真弓」は白木の檀で作った弓のことで、ここでは白い肌をした恋する女性の比喩。「おきふし」は弓を起こしたり伏せたりする意と、「起き臥し」とを掛けていますね。逢瀬が叶わぬまま年月が過ぎていくことを嘆いての詠歌です。
この歌は、古今和歌集(巻第八「恋歌二」 第605番)に入集しています。