漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0217

2020-06-03 20:02:50 | 古今和歌集

あきはぎを しがらみふせて なくしかの めにはみえずて おとのさやけさ

秋萩を しがらみふせて 鳴く鹿の 目には見えずて 音のさやけさ

 

よみ人知らず

 

 秋萩を足にからませて踏みつけながら鳴く鹿の、姿は見えないけれどその声の清く澄んでいることよ。

 姿は見えないけれど、から続くフレーズなので、「さやけさ」は「はっきり聞こえる」という意味にとるべきかもしれません。にもかかわらず私が上記の解釈に魅かれるのは、この歌と同じく「さやけさ」で終わる一首、

 

あきかぜに たなびくくもの たえまより もれいづるつきの かげのさやけさ

秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ

 

左京大夫顕輔

 

の印象が強いためもあるのだろうと思います。百人一首(第79番)のこの一首は、新古今和歌集採録の歌です。

 



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