あきはぎの はなさきにけり たかさごの をのへのしかは いまやなくらむ
秋萩の 花咲きにけり 高砂の 尾上の鹿は 今や鳴くらむ
藤原敏行
秋萩の花が咲いた。今頃は高砂の尾上の鹿も鳴いていることだろう。
歌意はわかりやすいですね。「高砂」は現在の兵庫県高砂市で、しばしば歌に詠まれてきた歌枕ですが、「砂が高く積もったところ」ということで一般的に「山」の意味でも使われるようです。「尾上」は山の頂という意味で、「高砂」「尾上」とくれば思い出されるのは百人一首に採録(第73番)された次の歌。
たかさごの おのへのさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなむ
高砂の 尾上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ
権中納言匡房
実際の兵庫県の高砂は海岸で、「山」「峰」と言えるような場所はないそうですから、この両歌の高砂は一般的な「山」「高いところ」の意と考えておきましょう。
もちろん尾上の桜を見るついでに松も見ました。地図でご確認下さい。
高砂神社の石垣には全て和歌が書いてあり、書写す時めちゃくちゃ蚊に刺されてしまいました。漁村の俤を残しますが、その先は工業団地で海は見えませんね。神戸の灘もそんな感じでしたね。
ご参考まで。
いつもご来訪ありがとうございます。
そんな町名があるんですね。言葉が適切でないかもしれませんが、「高砂」と「尾上」は和歌の世界でセットみたいなところがあるようですし、「尾上村」が誕生したのは1889年ということですから、和歌が地名の由縁になったのかな、などと思いました。
今後とも、お時間のあるときにはお立ち寄りください。 ^^