漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0218

2020-06-04 19:24:21 | 古今和歌集

あきはぎの はなさきにけり たかさごの をのへのしかは いまやなくらむ

秋萩の 花咲きにけり 高砂の 尾上の鹿は 今や鳴くらむ

 

藤原敏行

 

 秋萩の花が咲いた。今頃は高砂の尾上の鹿も鳴いていることだろう。

 歌意はわかりやすいですね。「高砂」は現在の兵庫県高砂市で、しばしば歌に詠まれてきた歌枕ですが、「砂が高く積もったところ」ということで一般的に「山」の意味でも使われるようです。「尾上」は山の頂という意味で、「高砂」「尾上」とくれば思い出されるのは百人一首に採録(第73番)された次の歌。

 

たかさごの おのへのさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなむ

高砂の 尾上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ

 

権中納言匡房

 

 実際の兵庫県の高砂は海岸で、「山」「峰」と言えるような場所はないそうですから、この両歌の高砂は一般的な「山」「高いところ」の意と考えておきましょう。

 

 

 

 

 



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2 コメント

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尾上町と言う地名が (自閑)
2020-06-04 20:47:44
高砂駅と加古川を挟んだ手前に尾上の松と言う駅があります。そこの、加古川市尾上町には、尾上神社があります。
もちろん尾上の桜を見るついでに松も見ました。地図でご確認下さい。
高砂神社の石垣には全て和歌が書いてあり、書写す時めちゃくちゃ蚊に刺されてしまいました。漁村の俤を残しますが、その先は工業団地で海は見えませんね。神戸の灘もそんな感じでしたね。
ご参考まで。
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ありがとうございます (凜太郎)
2020-06-05 16:06:42
自閑様

いつもご来訪ありがとうございます。
そんな町名があるんですね。言葉が適切でないかもしれませんが、「高砂」と「尾上」は和歌の世界でセットみたいなところがあるようですし、「尾上村」が誕生したのは1889年ということですから、和歌が地名の由縁になったのかな、などと思いました。

今後とも、お時間のあるときにはお立ち寄りください。 ^^
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