漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 204

2023-11-06 05:08:35 | 貫之集

うぐひすの はなふみしだく このしたは いたくゆきふる はるべなりけり

鶯の 花ふみしだく 木の下は いたく雪降る 春ばなりけり

 

鶯が花を踏み散らす木の下には花びらが積もって、まるで春にたくさん雪が降ったかのようだ。

 

 「花ふみしだく」という表現は 古今和歌集0442 に例があります。

 

わがやどの はなふみしだく とりうたむ のはなければや  ここにしもくる

わが宿の 花ふみしだく 鳥うたむ 野はなければや ここにしも来る

 

紀友則

(古今和歌首 巻第十「物名」 第442番)

 

 巻名の通り物名歌ですが、詠み込まれた語句の発見は現代人には難しいですね。「とりうたむ のはななければや」のところに「りうたむ(=りんどう)のはな」が隠れています。



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