ちはやぶる かものやしろの ひめこまつ よろづよふとも いろはかはらじ
ちはやぶる 賀茂の社の 姫子松 よろづ世経とも 色はかはらじ
藤原敏行
賀茂の社の姫子松は、万代を経ても色が変わることはあるまい。
詞書には「冬の賀茂の祭の歌」とあります。「ちはやぶる」は枕詞。普通は「神」に掛かりますが、ここでは 0487 と同じく「賀茂」に掛かってますね。「姫」「子」はいずれも小さいことを表す接頭語です。
さて、今日ご紹介する歌は第1100番。古今和歌集全巻の最後です。松の木を永遠を歌うこの歌を最後にもってきたのは、古今和歌集が末永く世に伝わってほしいという願いの表れでしょうか。
このあと、墨滅歌(すみけちうた)11首ごご紹介しますので、この一日一首の古今和歌集紹介はまだ少し続きますが、大きな区切りに到達しました。3年余り続けて来てここまで来たので感慨はもちろんありますが、それよりも終わってしまう寂しさの方が今は強いですね。
本当の全巻読み切りまであと11日。最後までお付き合いいただければ嬉しく思います。