おふのうらに かたえさしおほひ なるなしの なりもならずも ねてかたらはむ
おふの浦に 片枝さしおほひ なる梨の なりもならずも 寝てかたらはむ
よみ人知らず
「おふの浦」に片方の枝を覆うほどたくさん生っている梨は、「梨(なし)」なのに「なる」と言うけれど、私たちの恋が実るにしろ実らないにしろ、まずは共寝をして語り合おう。
詞書に「伊勢歌」とありますので、「おふの浦」は伊勢の地名と思われますが詳細は不明です。梨は「なし」なのに実が「なる」、さてそれでは私たちの恋はどうでしょうねという歌ですね。