漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 1039

2022-09-03 05:59:15 | 古今和歌集

おもへども おもはずとのみ いふなれば いなやおもはじ おもふかひなし

思へども 思はずとのみ いふなれば いなや思はじ 思ふかひなし

 

よみ人知らず

 

 私は思っているのに、あの人は私のことを思っていないとばかりいて嫌だ。思う甲斐がないから、もう思うのはやめよう。

 わずか三十一文字の中で「思ふ」を4回繰り返すことで面白みを出しています。同じフレーズの繰り返しということでは、やはりこの歌が思い出されますね。

 

つきづきに つきみるつきは おほけれど つきみるつきは このつきのつき

月々に 月見る月は 多けれど 月見る月は この月の月

 

 たくさん出てくる「月」という語。さてどれが空に浮かぶ月でどれが暦の月でしょうか。それによって、第四句・第五句は二通りの解釈ができるようです。

 毎月毎月、月を見ることができる月は多いけれど、
  ① 月を見る価値がある名月は、今月のこの月です
  ② 月を見るのに適した月は、この名月が出ている今月です。

 作者も、もともとの出典も不明とのことですが、一度接すると忘れられない歌ですね。^^



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