おもへども おもはずとのみ いふなれば いなやおもはじ おもふかひなし
思へども 思はずとのみ いふなれば いなや思はじ 思ふかひなし
よみ人知らず
私は思っているのに、あの人は私のことを思っていないとばかりいて嫌だ。思う甲斐がないから、もう思うのはやめよう。
わずか三十一文字の中で「思ふ」を4回繰り返すことで面白みを出しています。同じフレーズの繰り返しということでは、やはりこの歌が思い出されますね。
つきづきに つきみるつきは おほけれど つきみるつきは このつきのつき
月々に 月見る月は 多けれど 月見る月は この月の月
たくさん出てくる「月」という語。さてどれが空に浮かぶ月でどれが暦の月でしょうか。それによって、第四句・第五句は二通りの解釈ができるようです。
毎月毎月、月を見ることができる月は多いけれど、
① 月を見る価値がある名月は、今月のこの月です
② 月を見るのに適した月は、この名月が出ている今月です。
作者も、もともとの出典も不明とのことですが、一度接すると忘れられない歌ですね。^^