われをのみ おもふといはば あるべきを いでやこころは おほぬさにして
われをのみ 思ふといはば あるべきを いでや心は 大幣にして
よみ人知らず
私のことだけを思っていると言ってくれるなら生きながらえることもできるけれど、いや、もうあの人の心は大幣のように引く手あまたで。
「大幣」は、お祓いのときに身をなでて穢れをぬぐうもの。多くの人がそれを求めることを、ここでは愛しい人が皆から心を寄せられることに準えています。同様の主旨で「大幣」を詠み込んだ対の歌が、0706、0707 にも収録されていますのでご覧ください。