はなちれる みづのまにまに とめくれば やまにははるも なくなりにけり
花散れる 水のまにまに とめ来れば 山には春も なくなりにけり
清原深養父
散った花が山川の水に流れて来のをたどって訪ねていってみると、もう山には春もなくなっていたことよ。
花びらが流れてくる川をさかのぼっていけばそこにはまだ花の咲く春が残っているかと期待したが、実際に訪ねていくとすでに山にも花はなく、春は山からも過ぎ去ってしまったことを知らされて嘆く気持ちを詠んでいます。
作者の清原深養父(きよはらのふかやぶ)は、平安時代中期の貴族・歌人で、清少納言の曽祖父にあたるとされる人物。古今和歌集には17首が入集していて、百人一首にも採られた 0166 の歌はつとに有名です。
なつよのは まだよひながら あけぬるを くものいづこに つきやどるらむ
夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月やどるらむ