ひとふるす さとをいとひて こしかども ならのみやこも うきななりけり
人古す 里をいとひて 来しかども 奈良の都も うき名なりけり
二条
ふるさとは人を古いものとする里ということで、それを避けてやって来たのだけれど、この奈良の都も 「ふるさと」と呼ばれる嫌な名前の場所であった。
現代語では「ふるさと」は生まれ故郷の意ですが、古語においては「古い里」はみな「ふるさと」で、故郷の他に「行ったことのある場所」「かつて都があった場所」といった意味があります。この歌においては過去の都の意ですね。
作者の二条(にじょう)は、平安時代初期の貴族源至(みなもと の いたる)の子という以外、詳細不明の人物。古今集への入集はこの一首のみです。