漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 594

2024-11-30 05:50:43 | 貫之集

あけたてば まづさすひもの いとよわみ たえてあはずは などいけるかひ

明けたてば まづさすひもの いと弱み たえてあはずは など生けるかひ

 

夜が明け始めて日が差すと、まず最初に腰の紐を挿して締めるが、その糸がとても弱くて切れてしまうのと同じように、私たちの仲が切れて逢えなくなってしまったら、どうして生きている甲斐があるだろうか。

 

 「(日が)射す」と「(紐を)挿す」、「日」と「ひ(も)」、「いと(たいそう、の意)」と「糸」と、掛詞を駆使した技巧的な一首。「たえて」も、糸が切れる意を仲が途絶えてしまう意の両義になっていますね。冒頭「明けたてば」の「たつ」は立春、立秋などという場合の「立」と同じ語法でしょう。



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