忘れ草
うちしのび いざすみのえに わすれぐさ わすれてひとの まだやつまぬと
うち忍び いざすみのえに 忘れ草 忘れて人の まだや摘まぬと
忘れ草
住の江の忘れ草を見ると、あの人は忘れてこの忘れ草をまだ摘んでいないのではないか、私への恋心を忘れずにいるのではないかと思える
「忘れ草」は萱草(かんぞう)の別名で、忘れ草を身に着ければ、恋の苦しみや憂いを忘れられるとされていました。
本歌は、貫之集の他の多くの歌とともに、平安時代に編纂された私撰和歌集である「古今和歌六帖」(第3850番)にも採録されています。古今和歌六帖の撰者もまた紀貫之との説もあるようですね。