三月田かへすところ
やまださへ いまはつくるを ちるはなの かごとはかぜに おほせざらなむ
山田さへ いまは作るを 散る花の かごとは風に おほせざらなむ
三月に田を耕すところ
今は田を耕す時期にまでなっていて桜が散るのは当たり前であるのに、いまさら風のせいで桜の花が散るなどと不平を言わないでほしい。
「かごと」は「託言」で、ここでは「不平」「恨み言」の意。田を耕す人々の傍らで桜が舞い散る情景の屏風絵なのでしょう。手を休めて、散っていく桜を恨めしそうに見上げる人も描かれていたのかもしれませんね。