あれにけり あはれいくよの やどなれや すみけむひとの おとづれもせぬ
荒れにけり あはれ幾世の 宿なれや 住みけむ人の おとづれもせぬ
よみ人知らず
荒れてしまっているなあ。いったいどれほどの年月の経った家なのだろうか。今では、かつて住んでいた人が訪れることもない。
荒れ果てた家を見て、かつてそこに住んでいたであろう人々の生活に思いを馳せての詠歌。勝手な想像ですが、かつて栄華を極めてそこに住み、今は没落してしまった人物を具体的に知っていての嘆息の歌なのかもしれませんね。そう考えた方が、作者の心持ちがわかるような気がします。