漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0970

2022-06-26 05:16:44 | 古今和歌集

わすれては ゆめかとぞおもふ おもひきや ゆきふみわけて きみをみむとは

忘れては 夢かとぞ思ふ 思ひきや 雪踏みわけて 君を見むとは

 

在原業平

 

 現実であることをふと忘れては夢かと思う。かつて思ったことがあったでしょうか。雪を踏み分けてあなたに会いに行くことになろうとは。

 長い詞書には「惟喬親王のもとにまかりかよひけるを、頭おろして小野といふ所にはべりけるに、正月にとぶらはむとてまかりたりけるに、比叡の山の麓なりければ、雪いと深かりけり。しひてかの室にまかりいたりてをがみけるに、つれづれとして、いとものがなしくて、帰りまうできて、よみておくりける」とあります。出家して比叡山の麓に隠棲している親王のもとを訪ねると、そこは雪深いところで、物寂しそうな様子の親王を見て、詠んで送った歌、ということですね。伊勢物語では第83段に載っています。

 

 



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