あまのすむ さとのしるべに あらなくに うらみむとのみ ひとのいふらむ
海人の住む 里のしるべに あらなくに うらみむとのみ 人の言ふらむ
小野小町
私は、漁師が住む町の案内役などではないのに、どうしてあの人は浦が見たいとばかり言うのでしょう。
あえて言葉を足さずにそのままの解釈を書きましたが、「うらみむ」は「浦見む」と「恨みむ」が掛かっていて、恋の恨みごとばかり口にする相手を皮肉って、「浦見む、浦見むって、私は漁師町の案内人じゃないのよ」と詠んだのですね。こういう歌を、説明臭くならずに現代語に訳すのは難しいです。無理に現代語に置き換えようなどと思わずに、表現された言葉そのままに鑑賞すべき歌ということかもしれませんね。