ぬしやたれ とへどしらたま いはなくに さらばなべてや あはれとおもはむ
主やたれ 問へど白玉 言はなくに さらばなべてや あはれと思はむ
河原左大臣
持ち主は誰ですかと問うても白玉は答えないので、それならば誰とは言わず、舞姫皆をいとしいと思うことにしようか。
詞書には「五節のあしたに、簪の玉の落ちたりけるを見て、誰がならむととぶらいひてよめる」とあります。「とぶらふ」はここでは人にものを尋ねる意ですね。
作者の河原左大臣は源融(みなもと の とおる)を指しており、0724 以来2度目の登場。古今集への入集はこの二首ですね。