おきのゐて みをやくよりも かなしきは みやこのしまべの わかれなりけり
おきのゐて 身を焼くよりも かなしきは みやこしまべの 別れなりけり
小野小町
熾火となった炭を身に置いて体を焼くことよりもつらいことは、都島のあたりでの別れなのであった。
詞書には「おきのゐ みやこしま」、左注には「からこと 清行下」とあります。おそらくは地名(詳細不明です)である「おきのゐ」「みやこしま」を詠み込んだ物名歌で、安倍清行の「からこと」の歌(0456)の次に採録されているということですね。
「おきのゐ」は良いとして、「みやこしま」はそのままの地名として詠んでいるので、こういうのを物名歌と呼ぶんだろうかとちょっと(かなり?)疑問ではあります。正式には採録されず、墨滅歌となっている理由の一つなのかもしれませんね。