うきめをば よそめとのみぞ のがれゆく くものあはたつ やまのふもとに
うきめをば よそめとのみぞ のがれゆく 雲のあは立つ 山のふもとに
あやもち
この世のつらい思いをよそ目に見ようと思って逃れて行くのだ。雲が沸き上がるように立っている山の麓へ。
詞書には「そめどの あはた」、左注には「この歌、水尾の帝の、染殿より粟田へ移りたまうける時によめる 桂宮下」とあります。「そめどの(帝の離宮)」「あわた(地名)」を詠み込んだ物名歌で、第56代清和天皇が退位され、染殿から粟田へ移られた時に詠んだ歌。あった場所は「桂宮」を詠み込んだ 0463 の次、ということになりますね。
作者のあやもちは不詳の人物。古今集への入集はこの一首のみです。