漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0639

2021-07-30 19:26:43 | 古今和歌集

あけぬとて かへるみちには こきたれて あめもなみだも ふりそほちつつ

明けぬとて 帰る道には こきたれて 雨も涙も 降りそほちつつ

 

藤原敏行

 

 夜が明けて、愛しい人のもとから帰る道々では、雨も涙もしきりにこぼれ落ちることであるよ。

 「こきたれて」は漢字で書けば「扱き垂れて」で、「しきりにこぼれ落ちる」意。現代の語感からするとやや特異な印象を受ける語ですね。古今集ではこのあと 0932 でも登場します。

 

かりてほす やまだのいねの こきたれて なきこそわたれ あきのうければ

かりてほす 山田の稲の こきたれて なきこそわたれ 秋のうければ

 

坂上是則

 

 



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