自民党派閥のパーティー券疑惑をめぐっては、政治資金規正法の「抜け穴」が露呈した。キックバック(還流)分を記載せず、裏金化していたことが焦点となっているが、ほかにも深刻な問題がある。政治資金規正法では、外国人献金を禁じているのに対し、パーティー券購入の場合は制限がない。
政治資金規正法では、外国人や外国人が過半数の株式を保有する会社(上場5年未満)からの政治献金を禁じており、違反すれば3年以下の禁錮か50万円以下の罰金、罪が確定すれば公民権停止の対象となる。政治や選挙への外国の関与や影響を防ぐための措置だ。
政治資金収支報告書には、5万円以上の寄付に関し、寄付者の氏名や住所、金額など記載する義務があるが、パーティー券は20万円を超える収入でなければ記載は不要だ。相場は「1枚2万円程度」とされるが、企業や個人側はパーティー券の購入記録を残す義務はなく、誰が買っているのか外部から確認するのは極めて難しい。
政治は重大局面を迎えたときほど「道理=物事の道筋」が重要になる。
疑惑を持たれただけで、大臣を交代させる、筋道が通らない話は結局、破綻する。今回で言えば「疑惑が指摘された大臣は辞めてもらう」のであれば、同じロジックを自分にも適用しなければならない。そうしないなら、首相の対応はその場しのぎで、まったく道理がない話になる。岸田首相は、政治で一番大切な道理をわきまえていないのである。 岸田首相は、かねて「国家観も使命感もなく、やりたいのは人事だけ」と言われてきた。突然のスキャンダルに動揺するあまり、政治の道理も手順にも頭が回らず「人事を一新すれば、しのげる」と思い込んでしまった。その挙げ句、自分に火の粉を招いていて、末路をはやめている。