ほんの数年前まで外国投資のメッカだった中国は、経済が勢いを失うのに伴い、外国人投資家の誘致に苦労するようになっている。
中国国家外為管理局(SAFE)が2024年2月に発表したデータによれば、外国企業からの資金流入を示す指標である対中直接投資額は2023年、過去30年で最低となる330億ドルを記録した。
中国は、デフレ圧力や不動産市場危機、若者の失業、製造セクターの停滞などに喘いできた。アメリカとの差も広がっている。近い将来、再びアメリカを追い越す勢いを取り戻すことができるのか、怪しくなりつつある。
ある専門家は中国政府は世界に対して矛盾するメッセージを発していると述べた。「一方では、『わが国はビジネスに対して開かれている。米国企業や日本企業を求めている』と言っている。しかし他方では、2023年3月以降、6、7社の米国企業に対して家宅捜索を行なっている」
米国企業に対して家宅捜索を行なっているとは、2023年の反スパイ法改正後に実施された家宅捜索だ。標的になったのは、経営コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーの上海事務所、デューデリジェンス調査会社ミンツ・グループの北京事務所などだ。ミンツ・グループでは、中国人従業員5人が拘束された。
2023年8月には、中国の改正反スパイ法に関して米国務省が懸念を表明し、「スパイ活動と見なされる活動の範囲が大幅に広がり」、恣意的な逮捕のリスクが高まった。
デューディリジェンスとは、投資対象の企業や人間を調べてリスクを評価する業務だ。中国がとくにデューデリジェンス調査会社を標的にした理由について、「中国政府は、中国国民や中国企業に関するデータを独占したいと考えている。だから、その領域の事業に携わる米国企業は気に入らないのではないか」
外国企業に中国への投資をためらわせている別の要因として、知的財産権の窃盗も挙げた。