「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

感情の渦巻きの解剖学 (1)

2015年11月12日 21時06分09秒 | 「BPDをもつ人と良い関係を築くコツ」
 
○ BPの経験
 
 何かBPにとって 苦痛なことが起きます。
 
 痛みはずっと続いて、 制御不能で圧倒的なものになり、 絶望が広がっていきます。
 
 脱出口が見つけられず、 痛み以外何もない 未来を目にしてしまうのです。
 
 感情的脆弱性の渦巻きは、 BPが苦痛と思うでき事と共に スタートします。
 
 このメカニズムを理解するには、 そのでき事を 正確に知る必要はありません。
 
 理解すべきは、 普通なら折り合いがつくであろう感情が、
 
 BPの中では永続化してしまうことです。
 
 痛みをなくすための 破れかぶれの試みとして、 衝動的行動をしてしまいます。
 
 その行動は、 別の不快な感情と共に BPがリアクションをする原因になります。
 
 その感情とは多くの場合、 恥と罪責感です。
 
 BPは感情と行為をコントロールでず、 BPは 自分を軽蔑する価値さえないのです。
 
 もうひとつの二次的感情は 怒りです。
 
 怒りは強力で、 恥, 罪責感, 悲しみ, 孤独を封鎖するのに役立ちます。
 
 怒りは 他の感情を回避できます。
 
 他の感情のほうが、 怒りよりも受け入れがたく思われるのです。
 
 BPは 怒りであなたに噛み付き、 その行動が また恥と罪責感を感じさせます。
 
 感情はエスカレートして、 ますます制御不能に感じ、
 
 もっと感情的になってしまいます。
 
 このサイクルが いかに複雑で自己永続的となり得るか。
 
 苦痛を回避するための衝動的行動は、
 
 それ自体への 感情的リアクションを引き起し、 継続的な危機状態に陥らせます。
 
 ただし 渦巻きをスタートさせ継続させるのは、 でき事や感情だけでなく、
 
 記憶もまた同じことをします。
 
 BPは 苦痛なでき事の記憶に 焦点を当てがちです。
 
 BPは感情に対して ネガティブな連想を形成します。
 
 その感情は過度に強烈で、 不快なものです。
 
 こうしてネガティブな感情が 別のネガティブな感情に 火を付けるのです。
 
 ネガティブな感情は ネガティブな感情が大好きです。
 
 BPはネガティブなものは 何でも吸収してしまいます。
 
 悲劇から逃げ出す方法など 存在しないと感じてしまいます。
 
 自殺のリスクは 絶望と怒りと共に高まります。
 
 それは、
 
 「どれほどひどく傷ついているか 見せてやる」 と 言うための方法なのです。
 
〔「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」
 (星和書店) 〈シャーリ・Y・マニング著〉 より〕
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする