大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 11月20日 声(3)

2019-11-20 10:20:06 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 11月20日 声(3)




 俺の記憶はそこまでだが、その後、熱がどんどんあがり、その日の夜には泡を吹いて意識を失って、救急車で運ばれたそうだ。
親は、俺が倒れるまでずっと、

「 今日、死ぬんだ。」

と言うのが不気味だった、と言っていた。
幼すぎて、その声を純粋に信じてしまったのも悪かったのかも知れない。
 つい最近その時の話になって、俺はようやく当時の真相を語れた。
すると両親がかなり驚いて、顔が真っ青になっていた。
 両親曰く、病院についてから医者が痙攣を抑えるために薬を大量に投入したらしく、両親はとても不審感を抱いたようだ。
もちろん、しばらく入院という事になってたんだけど、親父が、

「 殺す気か!」

と無理矢理家に連れて帰った。
 俺が、

「 普段おとなしい親父が珍しいな。」

なんて母に言ったら、

「 だってあんた、救急車待ってる時に、半目で、

“ 今日帰してね、明日なら間に合わないから。”

って言ったのよ。
意味が分からなかったけど、後でそのことを言ってるんだって直感した。」

から、らしい。
 もちろん、俺は言葉どころか、その後半年程の出来事を覚えていない。
ただ、両親はやはり印象に残っているらしく、とても詳しく説明してくれた。
 俺は次の日には目を覚ましたけど、薬のせいで一週間ほどボーッとしたまま、だらしなく口を開けていて、首がずっと傾いていたようだ。
 親父が、

「 あの時、首が曲がっているお前を見てゾッとした。
医者はお前にまた薬を投入しようとしていたから、このままだと助かっても、植物人間になってしまうと思った。
連れだして良かった。」

そうな。
大袈裟だったのかもしれないけど、俺は両親のお陰で助かったんだと思う。









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