大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 11月23日 コンビニの災難(1)

2024-11-23 11:53:29 | B,日々の恐怖





日々の恐怖 11月23日 コンビニの災難(1)





  取引先のコンビニで店員さんから聞いた、数年前の話です。
大抵の場合、今のコンビニはゴミ箱を店内に設置している。
これは家庭で出た未分別のゴミを投棄されたり、収集車に回収してもらえなかったゴミ袋をゴ
ミ箱の前に放置していったり、衛生上問題のあるゴミを入れられたり、充分に火を消していな
いタバコの吸い殻や熱を持った状態の灰皿の中身を捨てられて火事になるのを防ぐ為でもあ
る。
 そのコンビニも最初はゴミ箱を店の外に置いていたそうだが、レジカウンター周辺の改装を期
に店内へと移設した。
やはり家庭ゴミの放置等が問題になっていたのと、立地的に店舗のすぐ裏の山に稲荷神社
があるということで近所からも”神様が見渡す範囲にゴミが散乱しているのは良くない”と苦情
が入っていたのだ。
 店内に移動したとはいえコーヒーマシンやイートインスペースも(店内スペースの関係上)
近くに設置しているので、マナーの悪い客に対しては厳しく対応するよう店員は強く教育され
ていたそう。
 そんなある日、満杯になってるかどうかゴミ箱をチェックしにレジを離れた女子店員が悲鳴を
上げた。
何事かと駆け寄ると、2つある燃えるゴミの箱に小豆色のものが詰め込まれているのが見てと
れた。

「 なんだ、これ・・・?」

よくよく見ると何十枚と重なった大量の布、というか短パンだった。
しかもサイズ的に幼児の、幼稚園の体操着らしいのだ。

「 へ、変態だ~!?」

しかし具体的に何をどうすれば良いのか判断に困った店員は、とりあえずオーナーさんと警察
に連絡し、両者の到着を待って監視カメラをチェックすることにした。








 
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日々の恐怖 11月16日 国有鉄道宿舎(3)

2024-11-16 20:18:42 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 11月16日 国有鉄道宿舎(3)





 とりあえず何とかなってるからいいか、と思っていたのも束の間、ある日、
夜8時過ぎに電話がかかって来た。
障子の向こうから、とうに亡くなったはずの自身の祖母から語りかけがあった、
という電話だった。
今現在、襖が開かないので外に出られない。
どうしよう、というものだった。
 内容が内容だけに、合鍵を持って今から宿舎に行くことになり、中学生の私も
同行することになった。
ただでは行けないので、知り合いのお寺でお札と御守りを貰って行くことにし
て、さっそくお寺に電話すると、

「 すぐ来なさい。」

とのこと。
お寺でお経をあげてもらい、お札と御守りを持って父のいる宿舎へと向かった。
 片道1時間半ほどで着き、玄関を開けた。
確かに父のいる寝室だけ電気が点いていたが、すぐに宿舎中の明かりを点け、寝
室の襖を開けた。
 何の抵抗もなく襖は開いたが、父曰く内側からは開かなかったとのこと。
お寺の住職の言いつけ通り寝室にお札を貼り、御守りを父に渡し、父は機関区
に、母と私は来た道を帰り、夜半過ぎには帰宅した。
その後、宿舎で寝泊まりしても何も起こらなくなったという。
 後日、父が玄関わきの、北隣の墓地との境の掃除をしていたら、土の中に白い
かけらがあったという。
その昔、生で埋めてた名残で、年を経て流れて来たのかな、と言っていたもの
の、やはりあまり居心地のいい宿舎では無かったらしい。
 国有鉄道が無くなって久しいが、生前、父は、

「 あの街の宿舎は嫌だったが、職場は最高に良かった。
人に恵まれたし、街も良かった。」

と良く言っていた。
また、

「 奇妙なことも多かった。
昔と今の境だったのかもな。」

とも。
 コロナの前、自分の娘と一緒に列車の旅をしてその街に行ってみたが、当時の
面影もないくらい発展していたし、宿舎も取り壊されて土地だけになっていた。
時の経つのは早く、もう一度この目であの宿舎を見たいと思っていたが、叶わな
かったのが残念でならない。









 
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日々の恐怖 11月10日 国有鉄道宿舎(2)

2024-11-10 10:09:12 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 11月10日 国有鉄道宿舎(2)





 日は山に沈もうとしている。
私は、

” 一見してのどかでいい街だなぁ・・・。
転校してこの街に来たら、どんな毎日だったかなぁ・・・。”

と考えながら、玄関を出て通りまで歩いて自販機のジュースを買って戻ると、
縁側に座った母が驚いて声をかけて来た。

「 今までお前がトイレから風呂場にかけて掃除をしていたのではないか?
下から登って来たから驚いた。
今の今まで音がしていた。」

という。
 私は縁側から駆け上がってトイレから風呂場、台所、寝室と見て回ったが、
何の姿も無かった。
私がさっきトイレから出たら人の気配がしたと母に告げると、とりあえず戸締り
をきちんとして暗くならないうちに帰ろうということになった。
 台所の窓を閉める時、北側の斜面の高いところに墓地が見えた。
上の方に墓地があると母に言うと、斜面の上に寺があると言う。
鍵をしっかり掛けて、この日は帰った。
 父が単身赴任生活を始め、宿舎と機関区、休日は自宅宿舎のある管理局のある
街と、三角ベースのような動きをして三ヶ月くらいが経った頃、

「 あの宿舎にはちょっとお化けのようなものが出るような気がする。」

と言い始めた。
そして、

「 夜寝るのに電気を消すと、障子に人影が写るので、電気を点けて勢いよく障
子を開けると誰もいない。
気のせいかと障子を閉めて電気を消すとまた人影が写る。
気持ち悪いので電気を点けたまま床に就こうとすると、今度は襖を誰かが叩く。
開けようとすると開かないのだ。
食事も外で済ませ、洗濯と入浴だけ宿舎でして、機関区の仮眠室で寝ている。」

というものだった。







 
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日々の恐怖 11月2日 国有鉄道宿舎(1)

2024-11-02 10:33:27 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 11月2日 国有鉄道宿舎(1)




 かつての国有鉄道には宿舎があった。
アパートみたいなところから一軒家のようなものまで様々で、家族が住んでいる、管理局のあ
る街とは離れたところへ転勤命令が出た場合、単身で赴任先の街に行く事がしばしばあった。
 父も、とある街へ首席助役として赴くことになったが、機関区の近くの宿舎ではなく、300m
ほど離れた小さな山の中腹にある一軒屋、いわゆる高級宿舎に入ることになった。
最も、山と言ってもその街の駅前にある繁華街の傍なのだが、山のふもとにある専用の駐車
場に車を止め、斜面を歩いて20mも登るかどうかの距離でその宿舎の玄関まで行くことが
できた。
 昭和の終わり頃の当時でさえ、その宿舎がかなり古い建物であることが分かった。
中学生だった私は、母と共に宿舎の鍵を開けて玄関から中に入り、荷物をクルマから運び入
れるため駐車場と何回も往復した。
前の住人がきれいに掃除したのだろう、しかし少しカビ臭く、窓という窓(しかも木製枠)を
開け、持ち込んだ掃除機で掃除したり、座敷箒で畳の上を掃いたり、拭き掃除をしたりした。
 掃除の途中、私は催してトイレに行った。
水洗だが、木製の箱で覆われた水タンクが天井近くにあるタイプでもちろん和式だ。
用が済んだら、把手付きの鎖を引っ張るやつだ。
今ではとんとお目にかからない。
ここから想像すると、昭和20年代半ば頃にこの宿舎は建てられたのではないかと思われた。
 トイレを出ると、不意に人の気配がした。
母かと思って呼んだが返事がない。
誰だろうと思っていると、母は外で庭の掃除をしているのがわかった。
この時は不思議に思わず、私は部屋の掃除を続けた。
 街の中心部にある火の見櫓のスピーカーから、午後5時を知らせる音楽が流れ、

「 良い子は家に帰りましょう。」

とのアナウンスがあった。









 
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