大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 8月20日 監視カメラ

2024-08-20 15:36:06 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 8月20日 監視カメラ





 コンビニの店長さん(故)から聞いた話です。
最近のコンビニは死角を無くすために監視カメラだらけにしてるんだけど、
店長さんがいたコンビニも、通常より2台増設して万引きなどの犯罪対策に熱心だった。
(実際、深夜に発生した強盗未遂では犯人逮捕に繋がった)

「 時々カメラが止まるんだよね。」

店長さんは眉を八の字に傾けながら愚痴を漏らした。
カメラ自体や録画機器の故障で一斉に止まるのではなく、順番に止まるのだという。

「 どんな順番で?」
「 駐車場から自動ドア、本の棚がある窓際の通路からソフトドリンクのコーナー、
お菓子の棚、弁当のコーナー、自動ドア側とは反対のレジ、自動ドア、駐車場。」

つまり、誰かが入ってきて買い物をして帰る動線の順にカメラが止まるのだ。
 カメラの前を通りすぎると問題なく録画を再開するそうなのだが、
カメラには誰も映ってはいないんだとか。
時間は人の波が一旦収まる午後2時ぐらい。
曜日はまちまち。
 バイトやパートの店員さんは不気味がって、その時間帯には入りたがらない。
なので、2時から3時の1時間だけ店長さんが独りで作業する羽目に。

「 まさか昼間っから幽霊が出るとはねえ。」

買い物をしてるんだったら金を置いていってくれたらいいのにと、
その時の店長さんは冗談を交えるだけの余裕があった。
 後日、その店長さんが体調を崩して入院、店を辞めたことを同じコンビニで
働いてる店員さんから知らされた。
バイトリーダーやってる若い店員さんだけど、近い内に自分も理由をつけて辞
めるつもりだという。

「 なんで? そんなことしたらオーナーさんが可哀想だよ。」
「 店長からカメラの話聞いてます?」

うん、と頷くと彼は震えるような溜め息をつく。
そして退職を希望する理由をポツリと話してくれた。

「 何回修理しても、事務所内部を映してるカメラが止まったままなんですよ。」








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日々の恐怖 8月13日 ゆっくりと歩く女の人(2)

2024-08-13 16:25:28 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 8月13日 ゆっくりと歩く女の人(2)





 しばらくして、祖父母ともに相次いで死に、俺とオカンは介護から解放された。
正直、祖父母が死んだ時、俺はほっとした。
やっと死んでくれた。
もう夜中にトイレにつれていけと喚く人はいなくなったんだ。
その癖、わざと目のまでうんこもらして、お前のせいだと、さっさと処理しろと喚く人は消えたんだ、
と嬉しくて泣いてしまった。
 後ろめたさから、その後俺は祖父母のことについて話を一切しなかった。
オカンも同じような感じだったから、きっと同じように思っていたんだろう。
 俺は逃げるように実家から出て、一人暮らしをはじめた。
一周忌・三回忌・七回忌、すべて理由をつけて拒否した。
死んだことを喜ぶ人間が法事にでちゃいけない気がしたからだ。

 先日、祖父母の十三回忌が行われた。
嫁さんが一度くらい顔だしてあげなよ、というのではじめて法事に出席した。
その時初めてオカンと2人で祖父母について語り合った。
お互いつらかったね、でも頑張ったね、と、泣きながら語り合った。
そんな中、母が、

「 あまりにもつらすぎて、頭おかしくなって、夜、ベランダで洗濯物干してたら、
隣を女の人が通る幻覚までみてたわよ、私。
2階なのにね。
しかもしょっちゅう見えた、その人。
ホント頭おかしかったわ、あの頃は。」

と言った。
 ソレを聞いて、俺は当然驚いた。
俺もオカンに同じものを見ていたことを言うと、オカンも、

「 じゃあ、あれは幻覚じゃなかったの?」

と驚いた顔をしていた。
オカンも同じように、あの人が通っても何故か違和感なく、恐怖感もなく、
ただそれを見ていただけだったらしい。
不思議なことに2人とも、女の人だった、という事実は覚えていても服も髪型も覚えてない。
そして、毎回同じように隣の裏手に曲がっていく。
 未だにその人が何なのかわからない。
2人とも頭おかしくなってた可能性もゼロじゃないけど、一体何だったんだろう、アレ。
そんな異常な光景をみて恐怖を感じないのも、何故なのかもまったくわからん。
もしかしたら、今もその人同じところを毎晩のように歩き続けてるんだろうか?









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日々の恐怖 8月3日 ゆっくりと歩く女の人(1)

2024-08-03 12:30:18 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 8月3日 ゆっくりと歩く女の人(1)





 12年前の話です。
当時、俺はオカンと2人で父方の祖父母を介護していた。
 もともと祖父が事故で身体障害になり寝たきり、その後介護していた祖母が認知症になり、
長男である父が引きとったものの、本人は介護する気なし。
姉は既に結婚していて、弟はその話がでた直後に遠方の専門学校に入学を決めて逃亡。
仕方なく、母と当時大学生だった俺と2人で介護することになった。
 介護は想像以上にきつく、俺もオカンも交代で精神科に通いながらの介護で、夜は眠剤つかって寝ていた。
お互いギリギリのなか、俺も介護だけじゃなく家事も手伝うようになっていた。
 その日、夕方にうんこもらした祖母のパジャマとシーツを洗ったものを干すタイミングを失って、
夜10時過ぎに2階のベランダで干していた。
ふと気づくと、俺と同じ高さで、うちのベランダと隣の家の隙間を、ゆっくりと歩く女の人がいた。
2階と同じ高さで歩くなんて明らかにおかしいんだが、何故か恐怖感がわかず、

” ああ、俺本格的に頭おかしくなったんだなあ・・・。”

と思ってぼんやり見ていた。
 その人はそのままゆっくり横を通り過ぎて、隣の家の裏手のほうに曲がっていった。
彼女が消えてからも、

” 今のは幻覚か?幽霊か?
まあ、どっちでもかわらんか・・・。”

と妙に冷静に思って、洗濯物を全部干して、部屋に戻った。
 その後、夜、ベランダで洗濯物を干していると時々その女性が通るのを見た。
精神科の医者に伝えたところ、

「 時間も時間だから、半分寝てたんじゃないですか?」

と言われて、

「 そうですね。」

と答えた。








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