大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 7月29日 飲食店の紹介の仕事(4)

2024-07-29 16:32:51 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 7月29日 飲食店の紹介の仕事(4)





 無視して撮影続けて1時間くらい経った。
一発目の定食でシャッター押す前、モニターで店長と構図確認してたら、
フレームの左上からいきなり赤い何かがさっと入って引っ込んだ。
 一瞬だったけど、見えたのは真っ赤に爛れてる手だった。
ひどい火傷した状態の手。
ただ被写体と比較すると実物はかなり小さいし(3歳児くらいの大きさ)、
店長も一緒にモニター見てるんだけど何も言わないから、

” 見間違いかなぁ・・・・。”

と思って続けて、また30分くらい経った頃、いきなり店長が、

「 も~。」

って呆れたように呟いて上を向いた。
 で、厨房から戻ってくると小皿1枚。

” もしかして料理長が漬物間違えたかな?”

撮り直し勘弁、と思ったら塩盛ってる。
それ奥にちょこんと置いて、

「 すいません。」

と一言。
そんなことされても、苦笑いで、

「 いいですよ~。」

としか言いようがない。
でも、音はまだ聞こえていた。

「 あ~、う~。」

まあいいやと思いながら撮影終了した。
 で、撮影終わって撤収する時に店長が塩回収したんだけど、表面が緑黒い。
ほんの2、3時間くらいしか経っていない。

” 衛生的に大丈夫か、ここ?”

と思って、ああだからこれだけスペースあるのに冷凍庫しかないのか、と合点がいった。
 場所的には江戸時代は刑場だったとか、昔近場で火事があったとかいう話を聞いた。
その店だけじゃなく地下街全体、割といるという噂だった。
居心地よさそうだから、いついちゃったのかもしれないです。










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日々の恐怖 7月21日 飲食店の紹介の仕事(3)

2024-07-21 12:30:50 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 7月21日 飲食店の紹介の仕事(3)





 とある地下街の和食店。
ここも長く続く繁盛してる店だ。
撮影メニューが多く、個室もない店舗で人の出入りがアイドルタイムでもそこそこあるから、

” 何処で撮影すんのかな?”

と思ってたら、厨房から降りられる地下室があるってことで、そこでやることになった。
厨房に入口ってなんだそれと思いながら、人1人強通れるくらいの階段を降りていくと、
蛍光灯一本の薄暗い空間だ。

「 こんなのあるんですね?」

と聞くと、どういう経緯で出来たのか知らんが地下街がオープンする前からあって、
元々別の所有者が別の用途で使っていたものを、場所がちょうど上だからってんで
つなげてもらったとか。

” そんなことあるのか?”

と正直思った。
 場所で言うとB4くらいになって、インフラ設備との兼ね合いもあるだろうし。
壁もちゃんとしたコンクリートではなく、でこぼこで地下室っていうより地下壕。
和食店なのでワインセラーがあるわけでもなく、業務用の冷凍庫と使わなくなった
古い机や椅子が置いてある以外、何もない殺風景な穴蔵だった。
 ロケーション的にあまりよくないけど他に場所もないし、照明増やしてとりあえず撮影開始した。
店長が料理を下に運んで来てチェック、撮影、上に引くの流れ。
 始めて30分くらい経った頃かな、時々変な音がするのに気づく。
機械音にも聞こえるし、人が「あ~」とか「う~」とか言ってるようにも聞こえる。

” 冷凍庫?”

と思ったけど、発生源が違うし、トーンが途中で変わるのでたぶん違う。
奥の何もないところから微かに聞こえてくる。

” まあいいや。”

とスルーしてパシャパシャ撮ってたら、突然耳元で、

「 あつい。」

って低い男の声がした。
正確には、

「 ヴァツォイ(ぼそっ)。」

みたいな感じ。
なんだなんだと周り見ても、店長と自分以外いない(この時は助手くんいなかった)。
で再開すると、またあ~う~聞こえてくる。









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日々の恐怖 7月13日 飲食店の紹介の仕事(2)

2024-07-13 09:40:20 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 7月13日 飲食店の紹介の仕事(2)





 その部屋だけリニューアルしてなくて、クロスも古いまんまだった。

” なんでだろ?”

と思って聞くと、普段は使わない部屋になっているとのことだった。
 理由は、そこで頻繁に出るかららしく、どうしてもという時以外は封印しているのだとか。
まあ実際、開けて中見た瞬間に嫌な雰囲気のする部屋ではあった。
空気がさらに重い。
店やってて開かずの個室なんかもったいないな、と思いながら撮影は終了した。
 帰り際、

” 何も起こんなかったな~。”

と思いながら階段を降りようとした時、後ろからついてきてる助手くんが、
荷物をひっぱりながら何もない空間に頭下げて、

「 ちわっす!」

とか言ってる。
店を出た後に、

「 従業員の女の人に挨拶したけど無視されましたわ~。」

とか言ってる。
どんな人か聞いてみると、

「 白い和服の女の人ですね~。」

なんて言ってるから、女性従業員はみんなチャイナ着てるだろ、と突っ込むのはやめて、

「 今度また撮影があったら、気づいてもらえるようにもっと大きな声で挨拶しろよ!」

と言っておいた。
助手くんは一連の話は知らないので、

” ああいたんだなぁ~。”

と思った。
 余談で、元店長から聞いた話。
店には結構広い地下室があり、そこを倉庫にしているんだが、地下室へ向かう階段の途中、
真ん中くらいの脇に何故かぽつりと窓が1つある。
もちろん開けても何もない。
何もないというか何かで塗り込めたような壁が出てくる。
ただ壁は薄く、向こうにどうやら部屋があるらしいが、もちろん入口はないし、図面にもない。
戦前は病院だったとか言う話で、それの名残かな?と店長は言っていた。
 こういう店をあと2、3店知ってるが、不思議なのは割とガチでお化け出るのに何処も繁盛している。
繁盛しているところには霊も寄ってくるのかもしれない。










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日々の恐怖 7月8日 飲食店の紹介の仕事(1)

2024-07-08 12:23:26 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 7月8日 飲食店の紹介の仕事(1)





 飲食店の紹介の仕事で、料理の写真や飲食店の室内を撮影をしている。
場所バレすると不味いんで、フェイク入れながら話すけど、そこは割と歴史ある大型中華料理店で、
5階建のビル全てがその店になっている。
特にそこの3階に出るという噂があって、仲の良い店長や関係者から色々話を聞いた。
 聞いた話を要約すると、

3階の一室だけ突然停電。
停電後に、光った白い和服の女性が部屋に入ってきて消える。
深夜誰もいない3階から1階の事務所に内線が入る。出たら、水が滴る音だけがする。
部屋の下見の際にお客さまが見てしまう。(たいてい白い和服の女性)
宴会予約の客が、屋上に首のない人間がいっぱい立ってるから入れないと言って入店拒否。
飾ってあった絵に描かれた女性が店内を歩いていた。(複数人目撃)

などだった。

「 お祓いしないの?」

と聞いてみると、一応はしてそれからはまだマシになったらしい。

 仕事は、3階の部屋を全面リニューアルしたから撮影して欲しいというのものだ。
仕事柄、ごくたまに変なものが撮れてしまうことがあるが、今日ももしかしたら写るかもな、
と思いながら助手を連れて店へ行った。
 中休みの時間だったので客は誰もいない。
で、3階に行くと、そこだけ空気が膜を張ったみたいに湿っていて重い気がした。
 試しに4階に上ってみると普通。
厨房はというと5階。
空調回ってんのかなと見ると、回ってる。

” こりゃ本物かなぁ・・・・・。”

と思いながら仕事開始した。
 リニューアルした部屋を順番におさえて行く。
ぱっと見だけだと変なものも写っていないので安心した。
 それで、最後に一番奥の部屋に行こうとすると、

「 あ、そこはいいですよ。」

と言われた。












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