日々の恐怖 7月13日 お守り(11)
ただ、悪路が車の轍に凹んでいるのが救いでした。
途中何回かUターンする事を考えたそうですが、母は何故かUターンしては行けない気がしてそのままガードレールもない、ガタガタの悪路をひた走ったそうです。
そして、しばらく進むと段々と転がっている石が大きくなってきました。
とうとう運転に支障が出るような石が轍の真ん中に鎮座していて、どかさないといけなくなり、やむなく弟が車を降りて無理やり石を退けたそうです。
そして、石を退けた弟が車内に戻ってきて一言。
「 母さん、やばい、周り崖だ。」
私は不思議に思って、母に聞き返しました。
「 え、周りって、右も左もってこと?
そんなことある?」
「 わかんないわよ。
母さんもそんな道初めてだったし。
もうそれで、流石にゾッとしたっていうか。
いつから周りが崖だったかしらないけど、もしUターンしてたら確実に谷底だったもん。」
「 危機一髪すぎる・・・。
で、結局どうしたの?
そのまま直進するしかなさそうだけど・・・・。」
「 ああ、それがね。
しばらくがんばって進んでたら、車が前を走ってるのを見つけてね。
地元の人来たー!
と思って必死についてったの!
案外早いスピードだすからなかなか追いつけなかったんだけど・・・。
ほら、石とかあるとどけなきゃ行けないしさ。
しかもSくんてほら、汚いのとか虫苦手だし。
石は苔むしてるの多かったし、石の下にいる虫にびびっちゃってなかなか進まなかったりしてさ。
でも、その車の人優しくて、こっちが止まっちゃっても、次のカーブ当たりで一応待ってくれてたりとかして…。
ホント助かったわ〜!
後部座席にはわんちゃんも乗っててね!
その子がまたかわいいのよ〜!
真っ白くて大きい子なの!
でも顔は柴みたいでね〜!
ずっとこっち見てるのよ〜!
犬好きの母さんとしては、そりゃ付いてく一択でしょ、みたいな!」
話が犬の話題に移るのを聞きながら、私は、
” 何で前に車がいるのに、後ろから付いてく母さん達が石で立ち往生するの、なんで??”
と一人ゾッとしていました。
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