大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 12月26日 ガキの頃の話 (2)

2024-12-26 21:24:17 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 12月26日 ガキの頃の話 (2)





 ただ毎日賽銭にありつけたわけじゃない。
最初に書いた通り寂れた神社だ。
寧ろ賽銭がある方が謎なくらい。
それでも、毎日通えば2週間に1回くらいのペースで数百円の賽銭を見付けることが出来たし、
運が良ければ千円札の時もある。
ガキの頃の話だから曖昧で、賽銭箱があったかどうかは定かではないが、賽銭はいつも箱には
入っていなかったように思う。
 無造作に置かれていて、簡単に盗めたと記憶している。
賽銭箱をほじくったり何か道具を使ったり苦労して盗んだ記憶もない。
それも盗みを働いてる罪悪感を薄めた要因のように思う。
 そんな日が続いてしばらくは遊び場にも困らず美味しい思いをしていたが、急にパッタリと賽
銭にありつけなくなった。

「 今週は外れや。」

から、

「 今週も外れや。」

に変わり、

「 今月はアカンのちゃう?」

からとうとう、

「 もうアカンな。」

に変わるのは案外早かった。
その頃の小学生にとっての一ヶ月は、大人が長い年月を経て何かを諦める事に等しかった。

「 もう、ここはアカンな。
他の場所探すか、何か他の遊びしようや。」

とリーダー格のSを先頭に、その日は早々に山を下りた。
 近くの駄菓子屋で、それぞれ親から貰った小遣いで駄菓子を買い、近くの公園で次なる悪
巧みを練っている中、Sが急に思い出した様に言った。

「 絶対、あのおっさんや!」

突然の言葉に、俺とKとMは、

” どのおっさん・・・・?”

と言わんばかりの顔で、互いの顔を見合わせた。









 
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日々の恐怖 12月17日 ガキの頃の話 (1)

2024-12-17 20:36:42 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 12月17日 ガキの頃の話 (1)




 もう40年近く前、ガキの頃の話。
田舎の悪ガキだった俺は、大人から立ち寄ることを禁止されていたある場所に、
秘密基地と称して学校帰りに遊びに行くのが日課だった。
 何故、禁止かと言うとそこは町内では知らない人はいないというくらい有名な
自殺スポット。
小さな山を少し登ると寂れた神社と境内に大きな木があって、その木で首吊り自
殺が時々おきるような場所。
 俺らの親が子供の頃から有名らしいが、頻繁に自殺騒ぎがあるわけではない。
忘れた頃に誰かが首を吊るというような数年に一回有るか無いか。
ただ、俺の田舎は如何せん閉鎖的な小さな村だから、

「 〇〇とこの××さん、自殺神社で吊ったらしいで。」

と直ぐに噂は広まり、そんなことが何回か繰り返された後、滅多に人が近寄らな
くなり、理由は何となく誰も語らないまま子供には危ない場所だから立ち寄り禁
止、と大人から教わっていた。
 前置きが長くなったが、何故そんな場所を遊び場にしてたかというと、俺が小
学生だった頃は長らくその場所で自殺があったなんて一度も耳にしたこともな
かったから、噂好きの大人たちが作った都市伝説みたいなもんだろうと信じてな
かったし、何よりいつも連れ立っていた中でも特に悪ガキのリーダー格Sがその
神社で賽銭を盗んで買ってくれるお菓子や玩具につられていた。
 賽銭泥棒は罪という概念はあっても自分が盗んでるわけではないし、Sが頼ん
でもないのにお菓子や玩具を買ってくれるというのが、俺らの罪悪感を薄めた。
そんな悪ガキ仲間は俺、Sとその弟Mさらに、SとMの従兄弟にあたるK。
いつも悪巧みを働く時はこの4人だった。






 
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日々の恐怖 12月14日 コンビニの災難 (3)

2024-12-14 10:16:27 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 12月14日 コンビニの災難 (3)






 しかし奇妙なことに、捨てられた時間帯にいたはずの店員や当日いたという客
も含め、誰もゴミを持ってきた人間を目撃していないというのである。
ゴミ箱に投棄する音などの気配すら無い。
監視カメラには入店して捨てて帰るまでバッチリ映っているのに、その間は誰も
気付いていないのだ。
 原因は何なのか心当たりはあるのか聞いてみると、彼は暫く考えた末に、

「 なくはないんですけどね。」

と答えた。

「 ホラ、ウチの店の裏に神社あるじゃないですか。」

壁に遮られて見えない神社の方角を指差す。

「 神社の駐車場に、あるゴミを投棄していくヤツが増えてるらしくてですね。」
「 ゴミ箱を店内に移動したから?
それで神様に変なゴミを捨てられる呪いをかけられたって?
いくらなんでも逆恨みじゃない?」

そこはゴミを捨てた人間を呪うべきだろう。
そんな私の言葉に、彼は、

「 いえいえ・・・・。」

と手を振った。

「 そのゴミっていうのが、釘が打ち付けられた藁人形とかの使い終わった呪い
の道具らしくてですね。」

呪ったはいいが、どうもその後の処理に困って神社の近くに捨てていくらしい。

「 で、これは僕の推測ですが・・・。」

と彼は口を開く。

「 捨てられる度に呪いの残りカスみたいなのが蓄積してですね。
だけど当然ながら神様には影響がなくてですね。」

苦笑しながら言葉を続ける。

「 すぐ下にあるウチの店に、そういうゴミ的な呪いパワーが流れてきてるん
じゃないかと思うんですね。」
「 考えると変なゴミの大半って”使用済みの呪術アイテム”っぽいですしね。」

と彼は言う。

「 呪いのゴミ箱と化したウチの店が潰れちゃったら、次は近所の何処かがゴミ
箱になるんでしょうかね?」

別れ際に、彼はそう疑問を口にしていた。
そのコンビニのオーナーさん夫婦が夜逃げしてしまったので店舗が閉鎖されたと
耳にしたのは、つい先日である。









 
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日々の恐怖 12月5日 コンビニの災難 (2)

2024-12-05 20:04:59 | B,日々の恐怖





日々の恐怖 12月5日 コンビニの災難 (2)





するとアッサリ犯人は判明した。
近所にある幼稚園に勤める年配の男性事務員さんだったそうで、供述によると、

” 園で管理していた園児の短パンが不要になったため、コンビニに捨てただけ。”

という迷惑きわまりない理由だったそうである。

「 そりゃあまた迷惑な話だなあ。
しかし、幼稚園で短パンなんて管理してるものなのかね?」
「 警察もそこは疑問に思ったらしくてですね、いまも調査中なんだそうですよ。」

なかなかに業の深そうな話だったが、語る店員の顔は優れない。
どうしたのかと尋ねてみれば、話のオチはそこではないらしく、むしろそれが始
まりだったのかもしれないと大きな溜め息を吐く。

「 なんかですね、その日を境にですね、ウチのゴミ箱に変なのが捨てられるよ
うになってですね……。」

 ある時の深夜には血が染み込んで乾いたティッシュが大量に捨てられていた
り、ある時の早朝には緑色の液体(警察が教えてくれなかったので中身不明)が
満タンに詰まったアクエリアスのペットボトルが何本も捨てられていたり、切り
刻まれ、血のような赤黒い液体で汚れたアニメキャラの人形(クレーンゲーム
で取るぬいぐるみ)が何体も捨てられていたり、何処の国の文字かわからない言
葉で表も裏も”みっしり”と書かれたハガキが何百枚も捨てられていたり。
 一番最悪だったのが”魚の内臓を大量に入れたビニール袋”が捨てられていた時
だったそうだ。
小動物の内臓や血だと勘違いした店員が卒倒し、警察と病院が駆けつける騒動に
まで発展したのだとか。

「 えっ、もしかして同一犯?」
「 いえ、それぞれ別の人の仕業だったんですけどね。」








 
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