日々の恐怖 10月14日 不動産屋(5)
俺は警察官から男の素性について聞いて驚いた。
男はKさんの部屋で自殺した女性と知り合いだった。
以前、男は女性と付き合っていたがしばらくして別れたとの事だった。
しかし女性の方が未練があり、ストーカーになってしまったのだという。
女性はその後自殺、男も女性からの激しいストーカー行為に心を病んでしまい、病院の精神科に通院していたようだ。
Kさんの部屋に行った動機に関しては、あいまいな事を言っていて良く分らないとのことだった。
結局、男は家族に向かいに来てもらい、そのまま実家で療養することになった。
事件はとりあえず解決し、Kさんも一安心した様子で別れた。
翌日、仕事に行きMさんに昨日の出来事を話した。
「 幽霊の正体見たり、ですよ。」
俺は得意そうに言い、
「 いわくつきの物件は出る出るというけど、まあ大体現実はこんなもんだよなぁ。」
と二人で笑っていた。
ところが男が捕まって三日後にKさんから連絡があった。
聞くと、部屋をすぐに解約して欲しいとの事だった。
理由を問いただしたのだがあやふやな態度をとられてしまいどうにもならないので、俺は本人に直接会う事にした。
Kさんのところに行くと、青白い顔をした本人が待っていた。
解約の理由を俺が問い詰めると、Kさんがうつむき加減に理由を話してくれた。
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