日々の恐怖 6月30日 コンビニ(6)
そこまで話して作業に入った俺は、
” どうやら、あいつ、生きているみたいだし・・・。
それにしても、呪い殺す話は、どうなったのかな?
ま、違う方向からのバチはあたったみたいな気もするけど・・・。”
と思いつつ、客も退けた深夜に件の出来事をオーナーに作業をしながら聞いてみた。
「 いや実は、大体5時過ぎに来るおばさんがいて・・・・。」
そこまで言うとオーナーの顔つきが変わった。
「 何!?あのおばはんまだ来とんか!?この店!!」
「 いや・・・、え?知ってんすか?」
「 何時頃や!来んの!?」
「 5時、過ぎぐらいっす」
「 もうすぐやん・・・・。」
オーナーはおもむろに豚まん二つを袋に取りだすと、
「 後捨てといて!!
食いたかったら食ったらええし!!」
そういうと、雑誌コーナーの写真週刊誌と共にバックに大急ぎで消えて行った。
仕方無く一人で淡々と作業をこなしていると、
” ピポピポ~ン。”
来客を知らせるチャイムが店内になり響く。
「 いらっしゃい、ま・・・・。」
あのおばさんだ。
いつものようにカゴに水風船を詰めている。
しばらくしてレジに来た。
「 合計で○○円になります。」
しかし、代金が出て来ないので顔を上げた。
「 っ・・・!!」
俺は言葉を失った。
何故か顔が泥だらけで、おばさんはニヤニヤ笑っている。
おもむろにおばさんは、レジ横に置いてある割り箸を掴むとマイクのように持ち、
「 ややご~、悲しいややご~、仕事をしておくれ~♪」
と、自作っぽい気味の悪い歌を歌い出した。
ボ~然と立ちつくす俺の目の前で割り箸を置き、ニタニタ笑ってこう言った。
「 兄弟がいっぱいいるからねぇ。
気ぃつけんとな。」
相方は頭も良かったし、人当たりもいい。
おもしろいし遊びも知っている。
ルックスも良いし、仕事の要領も良い。
その反面どこか人を見下したような感覚があり、特に女に対してはそうだった。
その報いを受けたのかどうかはわからない。
その後、相方はどうなったのかは知らないし、一切連絡は取って無い。
オーナーに聞いても、
「 気にするな。」
の一点張りで何も教えてくれない。
いまだにそのおばさんは、うちの店に来ては相変わらず、
「 子供がねいっぱいいるんよ。
機嫌のええ時はいいんやけどね。」
と、訳のわからない事を呟いている。
おばさんの言う呪いで相方に天罰が下ったのかどうかは知らないが、
最近何故か、やたらと大量のライターまで買うようになった。
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