日々の恐怖 3月4日 ガキの頃の話 (9)
MはSに連れられて空き家に入ったが何にもなかった。
ええもんどころか、湿気た匂いと汚い家具、外人の少女が書かれた絵が壁に掛け
られているくらいの何てことない空き家だった。
「 何もないやん!」
と呆れるMに対して、
「 こっち、来てみ!」
と、Sはさらに奥の部屋へとMを引っ張った。
そこでMはギョッとした。
部屋の中だと言うのに、床に砂利が敷かれていた。
「 何ここ?気持ち悪い・・・。」
と言うMに対してSは、
「 宝石や!」
と言いだした。
「 宝石・・・・?」
頭をかしげるMの両手を器の形にさせると、Sは床の砂利をつかみMの手の中へ、
「 宝石や。」
と流し込んだ。
またいつもの悪ふざけと思ったMは、
「 あほが!
こんなとこまで連れてきやがって!」
と砂利を投げ捨てた。
その途端にSは、
「 何するんや!」
と急に形相をかえMの投げた砂利を広い集めてポケットへしまい込んだ。
Mが投げた砂利だけで足らず、そこら一面床に転がった砂利を、
「 宝石!宝石!」
と取り憑かれたようにポケットにパンパンに入れ始めたとこで、Mは怖くなって
Sを置いて逃げ帰った。
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。