一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

石垣食品の内部統制報告書監査意見不表明

2009-06-23 | あきなひ

「ミネラル麦茶」の石垣食品です。
社長が石垣さんと言う方で石垣島とは関係ないみたいです。

内部統制報告書が順次公表されつつありますが、この会社ように評価結果を表明せず、というものも増えそうです。 

内部統制監査報告書に関する監査意見不表明についてのお知らせ
(2009年6月22日 石垣食品株式会社 2901)  

当社は本日、東陽監査法人より、平成21 年3月期の内部統制報告書に添付される内部統制監査報告書について、「意見を表明しない」旨が記載された内部統制監査報告書を受領いたしましたので、お知らせいたします。

2.内部統制監査報告書の内容 
 会社は、内部統制報告書に記載のとおり、全社的統制をはじめとする必要な評価範囲の内部統制の評価手続を完了することができなかった。会社は重要な評価手続が実施できなかったため、財務報告に係る内部統制の評価結果を表明できないとしている。
 当監査法人は、重要な監査手続が実施できなかったことにより、・・・財務報告に係る内部統制について、内部統制報告書に対する意見表明のための合理的な基礎を得ることができなかった。当監査法人は、・・・上記の内部統制報告書が、財務報告に係る内部統制の評価について、適正に表示しているかどうかについての意見を表明しない。  

5.会社の今後の対応 
 当社は財務報告の信頼性に関するリスクの重要な評価手続が実施できなかったため、財務報告に係る内部統制の評価結果を表明することができませんでした。 
 実施できなかったリスクの評価手続は、当社及び連結子会社における財務報告にかかる内部統制における一連のプロセスです。 財務報告の信頼性に関するリスクの評価手続を実施できなかった理由は、連結グループ全体において人員を削減しており、経理及び財務の知識・経験を有した者をリスクの評価に従事させることが困難であったためであります。ただし、当社は非常に小規模な組織であり、内部監査等の組織は有していないが、取締役による管理、各部署の相互監視が十分に機能し、不正誤謬が発生しないような内部統制体制を構築しているものと判断しております。   
 なお、財務報告にかかる内部統制の整備及び運用の重要性は認識しており、人員の制約はあるものの、環境を整備し、早期に評価を完了させる方針であります。
(下線筆者)

2009年3月期の決算短信をみると営業利益が2年連続赤字に加え、中国事業の撤退、工場の統廃合、本社不動産の譲渡による特別損失で相当苦しい決算になっています(借入金の返済が進んだのが救いですが)。 

また、株価低迷で上場廃止基準にも抵触しています。
当社株式の時価総額、事業の現状及び今後の事業展開について  

当社株式は、平成21 年1月の月末上場時価総額が3億円未満となりました。ジャスダック証券取引所が定める株券上場廃止基準・・・では、9ヶ月・・・以内に、毎月の月間平均上場時価総額及び月末上場時価総額が5億円以上にならないときは、上場廃止になる旨規定されております。  

そういう中で石垣食品は相当ドラスティックな人件費・人員の削減をして生き残りを図っています。 

(4)人件費の大幅削減によるコスト増加対応
 主に、廃止される船橋工場の人員のほか、機能を縮小する本社についても人員の配置を大幅に見直し、当社としては創業以来初めての整理解雇を実施しました。これは規模の小さな当社において、いわゆる一般経費の削減余地も非常に小さいため、経費における割合の大きい人件費に手をつけない事は避けられないとの判断によるものであります。
 更に残る役員・社員についても、役員報酬を平均67%削減するほか、全社員の給与を削減、当面の賞与不支給を決定するなど当社において大きな割合を占める人件費を大幅に削減することで、経費の大幅削減を行います。
 更に役員退職慰労金の支給制度の廃止を平成20 年8月7日開催の取締役会において決議、特別利益として役員退職慰労引当金戻入益49 百万円を計上したほか、以後の引当金繰入負担の軽減を図りました。これらにより本社人件費を削減し、年50 百万円程度の経費を抑えることで、品質要求に対応する為に増加するコストを吸収してまいります。  

その結果 会社概要をみると現在の従業員数はわずか20名です。

これではJ-Soxが求める内部統制までは手が回らない、というのも理解できます。
なにしろ決算短信の問い合わせ先が「経理部 主 任 小西一幸」ですから。 
おそらく管理系の部長は一人の取締役が全部兼務しているという状況ではないでしょうか。

「本社人件費を削減し、年50 百万円程度の経費を抑えることで、品質要求に対応する為に増加するコストを吸収してまいります。」
「当社は非常に小規模な組織であり、内部監査等の組織は有していないが、取締役による管理、各部署の相互監視が十分に機能し、不正誤謬が発生しないような内部統制体制を構築しているものと判断しております。」  

という書きぶりからも 

製品の品質が一番 
収益を改善し上場を維持するのが二番 
内部統制は実質的にはちゃんとやるつもりだけど、企業会計審議会の監査基準を満たすような体制づくりはそのつぎ

という気持ちが伝わってきます。

これはこれで会社経営の優先順位としては十分合理的なスタンスだと思います。
傷口からの出血を止める前に人間ドックを受診しても仕方がないですから。
「従業員20名のうちに財務報告に係る内部統制の担当者が5人います」なんて言ったら株主から石を投げられますよね。  

これは極端な例かもしれませんが、中小規模の会社においては内部統制の体制構築と経営資源の配分の合理性の綱引きの例がこれからけっこう出てきそうです。

そのような中でここ数年行きつ戻りつしながら妥当なところに基準が落ち着いていくのでしょう。

考えようによっては、景気がいい時に無理にコストをかけて過剰に立派な内部統制を構築してしまって、後で簡素化もできずに困るよりは、この不景気はある意味いいインパクトになるのかもしれません。

コメント
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