ニュースを見ただけでは決着がついたのかつかないのかいまひとつわからない話ではあります。
同じ遺言書の効力について最高裁判決が異なるということですが、訴訟物(訴えた内容)の異なる訴訟を提起したということでしょうか。
ネットの記事で一番詳しかったのが東京新聞ですが、これでもはっきりはしません。(下線筆者)
一澤帆布相続争い 今度は『無効』確定 最高裁、長男側の上告棄却
(2009年6月24日 東京新聞)
京都の人気かばん店「一澤帆布工業」が兄弟の間で分裂する原因となった相続をめぐり、二通あったとされる父親、一澤信夫さんの遺言のうち、「自社株を長男と四男に相続させる」とする二通目の無効確認などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は二十三日、長男と四男の上告を退ける決定を出した。信夫さんから経営を任せられていた三男信三郎さんの妻の請求を認め、二通目の遺言書を無効とした二審大阪高裁判決が確定した。
三男自身が起こした同様の訴訟では二〇〇四年に最高裁で敗訴が確定、第二の遺言書が有効とされており、同じ遺言書をめぐって最高裁の結論が食い違う事態になった。
遺言書の効力が、二つの最高裁判決で異なったことに妻の代理人の菱田健次弁護士は「今回の訴訟の結論が正しいと考えている」とした。しかし、今後の相続手続きには「相手が応じるか分からないが、話し合いをするしかない」としている。
たぶん、下線の「など」というところか「妻の」(=当事者が違う)というあたりがポイントだったのではないかと思いますが。
また「相続手続きに相手が応じるかどうかはわからない」ということは、前回も今回も相続財産の帰属についての争いではなかったのでしょうか。
一方で
勝訴の弟「今後は社業に専念」 遺言巡る一澤帆布訴訟
(2009年6月24日19時27分 朝日新聞)
判決を受け、同社の代表取締役に復帰することになった信三郎さんは「今後は世間を騒がせないように本業に専念したい」と話した。
という記事もあるので、今回の訴訟は株主総会決議不存在確認訴訟だったようにも読めます。
僕としては、職人がついていったという信三郎氏の方を応援していたので、とりあえずはよかったと思います。
(参照:一澤帆布改め「一澤信三郎帆布」デビュー)