一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

セブンイレブンに公取委の排除命令

2009-06-24 | あきなひ

これをコンプライアンスとか独禁法違反の問題にしてしまった自体にセブンイレブンという会社が陥っている問題があると思います。

セブンイレブンに排除命令 公取委、値引き制限「不当」
(2009年6月23日(火)03:30 朝日新聞)

約1万2千店舗を抱えるコンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパンの本部(東京)が、販売期限の迫った弁当などを値引きして売った加盟店に値引きをしないよう強制していたとして、公正取引委員会は22日、独占禁止法違反(不公正な取引方法)で同社に排除措置命令を出した。  

本部との契約を打ち切られると事実上経営が成り立たなくなる加盟店は、本部からの要請に従わざるを得ない実態がある、と公取委は判断。独禁法の「優越的な地位の乱用」にあたると認定した。   

販売期限の迫った弁当などの値引きは「見切り販売」と呼ばれるが、これをしていた加盟店側は「見切り販売をせずに本部の要請通りに弁当などを捨てると、大きな損失が出て経営が圧迫される」と主張。本部側は「安易な見切り販売は中長期的に加盟店の利益にならない。発注精度を高めることがなによりも重要だ」などとして対立していた。

公取委によると、同社の会計方式では「デイリー品」を捨てた分の原価は加盟店側が負担することになるため、値引き販売ができないと加盟店の負担は大きくなるという。

一方、命令を受けて記者会見したセブン―イレブンの井阪隆一社長は「(加盟店と本部は)対等の立場にある。公取委とは見解の相違があり、残念だ。命令内容を精査し、慎重に検討したい」と発言。  

もともと緻密なPOSシステムを使い売れ筋商品の選別などの緻密なマーケティングで成長していたセブンイレブンが「安易な見切り販売は中長期的に加盟店の利益にならない。」と具体的な根拠もなく紋切り型の主張をするということ自体が自己矛盾なように思います。

値引き販売をしたとしても、その実績から、どういうタイミングでどの商品をどれくらい値引きすれば一番売り上げが上がるか、いっそのこと定価自体を値下げしたほうが全体の売り上げが上がるのではないかなどを試行錯誤しながらデータ分析して、最適な販売戦略をつくりだすのが本来の姿ではないでしょうか。
「発注精度を高めることがなによりも重要だ」と加盟店の努力に委ねること自体がビジネスモデルの自己否定だと思います。

また、「廃棄分の原価は加盟店負担」というルールは、見切り販売についてはデータ分析の対象とするより加盟店に禁止すれば(加盟店はともかく)自分の利益はあがるというセブンイレブン側のモラルハザードにつながります。
(そのルール自体が不合理・不公正ではないかということ以上に、)その部分についての「思考停止」は、長期的には緻密なマーケティングにより適正な商品をそろえて効率的に収益を上げるというビジネスモデルの足元をすくうことになりかねないように思います。  

それを「(加盟店と本部は)対等の立場にある。」「安易な見切り販売」「発注精度を高めることがなによりも重要」などと紋切り型で反論するのは、会社の中で成長に向けて不断の検証・修正・変革を行うよりも「現在のシステム・決まり事を堅持する」ことが至上命題になっているという会社の現状を反映しているように思います。

よしんばそういう契約を正当化する立場を是認したとしても、情報格差において優位性がある方が公取に対して事実(数字)に基づく主張をしなくてどうするのでしょうか。

先進的な経営で有名なセブン・イレブンですら、こういう風になってしまうのか、という印象を受けました。  


そもそも商売の素人である公正取引委員会に  

命令は・・・加盟店側が値引き販売できるようにするための具体的な方法を示した資料(マニュアル)を作ることを求めるなど、加盟店側に立った認定をした。  

公取委がセブン側に作成を求めている「加盟店が見切り販売をする際のマニュアル」には、「販売期限の何時間前から、何円まで値引きをすれば加盟店が利益を確保できるか」などが具体的に記されることが想定されているという。  

などとフェアでFC店と共存共栄できるビジネスモデルを示唆される(それも、こういうフィードバックのメカニズムなしのマニュアルを作ることが加盟店の利益になるとも思えないですし)こと自体、会社として恥ずべきことではないでしょうか。

「優越的地位の濫用だかなんだか知らんが、見切り販売しないほうがFC店もセブンイレブンも儲かる」と根拠を持って主張し切れなかった時点でセブンイレブン側の負けだと思いますし、実はそこの所を検証していない/わからないということ自体、会社として曲がり角にさしかかっているように思います。



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