一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

守るか攻めるか(Googleと著作権)

2005-10-21 | よしなしごと
米作家団体、著作権侵害でグーグルを提訴。また、出版社からも訴訟提起されたようです。

グーグルは、"Google Print Library" Projectとして、ミシガン、ハーバード、スタンフォード、オックスフォードの各大学、ならびにニューヨーク公立図書館の蔵書数百万冊をスキャンし、そのテキストをウェブ検索できるようにする計画を推進中ですが、それが著作権侵害にあたるという訴えです。

これに対しグーグルは、著作権は尊重しおり、"Google Print Library"は2,3行が見られるだけで、本を丸ごとダウンロードできたり印刷できるわけではない。また、"Google Print Library"は、書籍に対する認識と売り上げを増やすことで、著者と出版社に直接恩恵をもたらすもので、提訴は近視眼的であり遺憾であるとしています。


他人の著作物の一部を検索可能な状態におく、公表するということが英米の知的財産権制度上(アメリカでは" Digital Millennium Copyright Act"という法律があるらしいですが)どういう扱いになるのかについては全く知らないのですが、グーグルの言い分にも一理あるような気もします。

たとえば書評などで、内容の一部を引用する場合と同様、著作物の頒布とか放送とは異なる感じがします(そういえば従来の書物自体でも扉に他の小説などの決め台詞や警句・箴言の引用はありますね)
また、blogなどを書いていても、「あの正確なフレーズが思い出せない」とか「どの著作にあったんだっけ」などと悩むことがありますので、フレーズで書籍を検索できるサービスは有用だと思います(特に保管スペースの関係で処分してしまった本の場合は助かりますね)

なので、僕としてはこのサービスは結果的には購買意欲を刺激するのではないかと思います。


法制度やルールが未整備な中でグーグルが先陣を切る意味も含めて今回のプロジェクトを評価する意見もあります。
さらにこの記事では、プロジェクトへの参加者が世界中の公共図書館などに広がった場合、将来的には図書館の電子化についても議論されることになろうと示唆しています。

これは全世界的に見れば予算に乏しいであろう発展途上国の公共図書館にとってプラスになることだと思います。

ただし、もう一方で「英語文明が世界的に文化的覇権を握る」ということも危惧したほうがいいんじゃないかな、とも思います。
逆にアメリカにとってみれば、情報を守るより広く利用可能にすることで、他国の文化を締め出す戦略に役立つという事です。

これは、効率的かつ徹底した情報の伝達をしたものが優位に立つ、という昨日と同じ問題でもあり、また、カセットテープやCDにように広く使用許諾を認めることで業界標準になる、というビジネス戦略でもありますね。

ということで(毎度の繰り返しですが僕自体は陰謀論に組するものではありませんが)「発展途上国に無償/低コストで英語のインフラを提供する」という発想はアメリカの国益にとってはプラスになると思いますので、そんなところから妙な国家的プロジェクトになったりしないことを願いましょう。


PS グーグルと著作権問題としては、素人的にはキャッシュ機能が著作権侵害?という問題の方が、既に著作権者が公表を止めているサイトを閲覧可能にするという点で問題が大きいような気がします。


※現行での図書館と(日本法上の)著作権問題についてはこちらをご参照ください。
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「ドキュメント 戦争広告代理店」

2005-10-20 | 乱読日記
「ドキュメント 戦争広告代理店」というおどろおどろしい題名ですが、中身はいたってまともです。
「オリエンタリズム」の後の通勤用図書として気分転換に「下流社会」に続いてはドキュメントを選んだのですが、かなり面白く、3日で読了。

ボスニア紛争において、ボスニア・ヘルツェゴビナ共和国と契約したPR会社が、どのように世界中をセルビア非難に向かわせたかの過程を追ったドキュメンタリーです。
筆者はこれをテーマにした「NHKスペシャル」のディレクターで、番組も評判になっただけでなく、本書も講談社ノンフィクション賞と新潮ドキュメント賞を受賞しました。

ここに描かれているのは、決して虚偽を捏造するのでなく、クライアントに有利な(側面から見た)情報を世界中のメディアと政界のキーパーソンにいかに効果的に届けるか、ということについて徹頭徹尾実践的に行動するPR会社の姿です。

ボスニア・ヘルツェゴビナの外務大臣のスピーチの草稿やインタビューの受け答え方の指導、要人との会談のセットから、セルビアの悪者イメージを決定的にした「民族浄化(ethnic cleansing)」「強制収容所」というキーワード(ナチスを想起させながらも、ユダヤ人からの「同列に扱うな」という批判に配慮して「ホロコースト」や「大量虐殺(ジェノサイト)」という言葉はあえて使わなかった)の発掘から利用までとにかくその手腕には感心します。

それは「世界を陰で操る」とか「情報操作」というの世界ではありません。
考えてみればあたりまえのことなのですが、現代社会においてもマスメディアや政治家・官僚はすべての情報をもれなく把握しているわけではありません。
なので、それらの人々にタイムリーに情報を提供し、関心の優先順位を上げるように(しかも反感を買わないように)働きかけるということがいかに大事か、ということを改めて感じさせてくれます。

言ってみれば情報の仲介機能を効率的に果たす、ということですね。


考えてみれば、誰もが完全な情報を持ってはいない、なので、自分の考えを伝えるには努力が必要、というのは、身の回りの恋愛からM&Aや外交問題に至るまで共通して言える事です。

なのに、実際は「自分の気持ちが何で伝わらないんだ」といらだってみたり、「相手はすべてお見通しなんじゃないか」と恐怖におびえてみたり、ということが到るところでくり返されるのは、人間の性なんでしょうか。
(そういえばシェイクスピアの作品などにもあるくらいですから・・・)


PS 本としてはとてもいいと思う一方で余計な勘ぐりなんですが、TV番組の取材を本にした場合の印税って個人に入るのでしょうか?それともNHKに入るのでしょうか?個人に入るとしたら、受信料制度の趣旨からいってちょっとおかしいと思いますが・・・



ドキュメント 戦争広告代理店

講談社文庫




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頭痛のタネ

2005-10-20 | 余計なひとこと
ふだん飲むアルコール量が多いと二日酔いのとき頭痛は起こりにくい

僕の所業の正しさがようやく証明されたわけです(^^)





PS 「国際頭痛学会」ってネーミングはなかなかいい味出してますね。
   正式には"International Headache Society"といい、1981年創立
  法人化(@イギリス)が1995年と、比較的新しいのは、やはり現代人の病気だからでしょう。



  日本ではそのうち財務省が「国債頭痛学会」を作るかもしれませんね・・・
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「下流社会」

2005-10-19 | 乱読日記
最近話題の下流社会--新たな階層集団の出現--を読みました。


著者はパルコのマーケティング誌『月刊アクロス』の元編集長。

『アクロス』」といえば、「第4山の手」などのキーワードや街角での「定点観測」(通行人のファッションを世代別にサンプリングする)などで80年代においてはかなり注目されていた雑誌です。

アンケート・統計データ、特徴的なサンプルのインタビュー内容、年表を三種の神器にして、大胆な仮説を「私はトレンドリーダーよ」というような、ちょいと高みから見下ろすような断定的なトーンで論証し、キャッチーなキーワードにまとめる、という特集記事が特徴でした。

この本は、アンケート調査結果をベースにして、若者(団塊ジュニア世代)の中で

「コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲、つまり総じて人生への意欲が低いのである。その結果として所得が上がらず、未婚のままである確率も高い」

という層が形成されつつあるという説を唱え、結果的に階層分化が進む状況を「下層社会」というキーワードで表現しています。


キャッチーなキーワードとデータをもとにした断定的な分析は「アクロス」同様ちょっと鼻につく部分もあります。
特にそれが、「・・・ということで下層社会ができる(階層分化)するのも必然なのだ」と言っている風に受け止めたくなる言い回しがけっこうあります。
しかし、本書は新たなマーケティング・セグメントの定義をする、というのがテーマであり、そのためのデータからの論証と考えれば、そこで言われていること自体はなかなか考えさせられるものがあります。

さらに、筆者も最後の方で階層分化する社会の問題点や対応策について言及していますので、途中まで読んでカチンとこられた方も、最後まで辛抱して読んでください。


そこで、本書を読んでの感想。


若年層の地域定着化が進んでいること

「都心居住」と言われていますが、実際に都心に移転してきているのは団塊世代と地方からの流入者、それに一部(自己評価が「上流・中流」)の若年層に限られている。
今や郊外ターミナル都市でもデパートや専門店ビルがありブランド物や流行物も買えるし、レンタルビデオ、ファミレスなど生活のインフラも十分。しかも大学も郊外にある(or高卒で地元に就職する)ので、生まれてからずっと自宅または自宅近辺にいても何の不都合もない、ということらしい。
それだけ郊外が便利になっているわけです。
(商業顧客の動きで言えば、世田谷・杉並のいわゆる高級住宅地区はマイナス(地元より他地区で消費する人の方が他地区から来る人より多い)になっている)
なので、埼玉県南部や神奈川県横浜・川崎地区、東京都多摩地区では、人口の移動が少ないそうです。
その中で親元から通い(=生活費もかからず)好きなことをしながら気楽に暮らそうという若者が増えているということです。

これが一概に悪いこととも言えませんし、経済成長の結果、郊外でも一定の生活基盤が整備されているというのは、日本という国の豊かさを象徴しているのかもしれません。
また、これは都心部居住者の独居・高齢化=自治体の負担増をもたらすことになるのかもしれません。


「階層化」について

僕は脊髄反射的に「階層化はいけない」と思ってしまう(世代orうけた教育のせい?)のですが、自発的に「まったり」した人生を選択すること自体を否定するのもおかしいと思いますし、
(国としての活力・競争力維持という観点からはある程度必要かもしれませんが)国民全員が上昇志向を持って競争社会に身をおかなければならない、というのが適当だとも思えません。

結局、機会の平等とセーフティーネットと所得再配分の議論なのだと思います。


語り口が嫌でなければ、なかなか示唆に富むほんだと思います。


PS こういう本がはやると「支配層が庶民を洗脳して無害化している」とかいう陰謀論がまたぞろ出てきそうな気もしますが・・・







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小泉首相の靖国神社参拝

2005-10-18 | よしなしごと
これについては以前それなりに整理したつもりで書いたのですが、僕の意見を一言で言えば


・国家としての戦没者慰霊と一宗教法人としての靖国神社参拝は分けるべき
・それは憲法の政教分離の原則からも当然だし、そもそも「英霊」の同意があって合祀したわけじゃなかろう
・また合祀の対象が軍人・軍属というのも適当なんだろうか
というあたりが疑問なので、戦争犠牲者を追悼するならば、国営の施設を作るべきだと思う。

というあたりです。

勝手に合祀されているという点では、高野山の奥の院にある企業の物故社員の墓(慰霊碑)を見ると、その不自然さ、故人よりも祀る側の論理が優先していることがよくわかります。


ところで今回の報道・論調で気になるところは

① 本殿に上がらない、ポケットマネーで賽銭など、一般人と同じだからいい、という話

これは大阪高裁の判決を意識したのでしょうが、問題の本質は靖国神社という存在そのものだと思うので、これは本質的な議論ではないと思います。
また、「だから諸外国は文句言うな」というのは、内向きのロジックを外に対して主張するという(もし無意識にやっているとしたら)危険な兆候かもしれません。


② 中国(韓国)が騒ぎすき、という話

確かに個人的にも外交問題の筋論としてはどうか、とは思うのですが、だからといって周辺諸国の国民感情をいたずらに刺激していいか、というのは別問題だと思います。

言うべきことは尖閣諸島問題の時などにきっちり主張すればいいと思います。

一番気になるのが「中国の反日デモ」や「中国外交部の遺憾の意」というのが「ああ、また毎度だね」というトーンで受け止められているんじゃないかという所。

確かに中国政府がデモを動員したこともあるかもしれませんが、「国民(またはひ個人個人の)感情」のような流動的なものをステレオタイプとして受け止めてしまうことは、外交上の判断を誤る、というだけでなく、あまり行き過ぎると「そもそも人間としてどうよ?」とも思うのですが・・・
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他人頼みのツケ

2005-10-17 | M&A

楽天したたか戦略 対TBS、友好と攻撃
(2005年10月17日 (月) 02:58 産経新聞)

TBSは今週にも、企業評価委に楽天への対応の検討を打診する見通しだ。だが、TBS経営陣には身内のはずの七人で構成する企業評価委には、三木谷会長の提案に理解を示しそうな財界人らが含まれている。

西川善文・三井住友銀行特別顧問と岡部敬一郎・コスモ石油会長は、昨年からプロ野球経営に乗り出した楽天を応援する「経営諮問委員会」の委員でもある。同委員には奥田碩・日本経団連会長、牛尾治朗・元経済同友会代表幹事ら有力財界人も名を連ね、いずれも企業評価委員長の諸井虔・太平洋セメント相談役と親しい。三木谷会長は諸井委員長とも接触済みとみられ、企業評価委が開かれればTBS、楽天両社の多数派工作は激しくなりそうだ。

 というあたりがテレビなどでも言われていますが、素朴な感想として、

① 企業価値評価特別委員会が「身内」と思われちゃってる時点で既に買収防衛策の発動の公正さが担保されていないんじゃないか
② 特別委員会のメンバーが買収者と利害関係がある場合は審議から排除できるのではないか
③ ただ、特別委員会は商法上の組織でもないので、あらかじめ設置規則か何かで利害相反の場合の排除条項がないと、取締役の恣意で人選を左右した事になってしまうので、委員の交代は難しいかも
④ しかも特別委員会の人選が「見かけの公正さをアピールするために財界の大所を擁しておこう」という趣旨で頭を下げて頼み込んだのであれば、なかなか「ここは引いてくれ」とも言いにくいだろう


とまあ、自らの企業を防衛するのに他人を頼ろうとしたツケが廻ってきたというところでしょう。

でも、楽天はともかくとして、SMBCの西川氏を入れた時点で氏と親密なゴールドマン・サックスがM&Aを仕掛けてきた場合にどうする、って考えなかったんでしょうかね?


※ 「自分を防衛するのに他人に頼ってはいけない」という記事を書いていたところに、小泉首相が今日靖国神社を参拝するとか。
本稿は企業防衛の話なので、念のため。

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添削ごっこ

2005-10-16 | ネタ

「のまネコ」問題に関するエイベックスのコメントはツッコミどころ満載だ、と以前書きましたが、本当に添削してあげた親切な方がいらっしゃいました。

こちらをご覧下さい。


私もそれ+kobantoさんのところの話題に「インスパイアされて((c)エイベックス)」、野田聖子議員のHPにある、再提出された郵政民営化法案に賛成したことについてのコメントに、僭越ながらもし私がスピーチ・ライターだったらこう修正するのにな、というものをMicrosoft Wordの修正履歴風に作ってみました。



********************************************

10月11日の衆議院本会議において、私は再提出された郵政民営化6法案に賛成票を投じました。私の行動について以下に、できる限りの意を尽くして私の気持ち、考えをお伝えしたいと思います。

私は今回、無所属で総選挙を戦い、岐阜1区で再選を果たさせていただきました。厳しい逆風の中で、なお私を支持してくださった岐阜市民の皆様の思いをこれほど有り難く感じたことはありません。本当にありがとうございました。【支持者を念頭に置いているとはいえ、岐阜1区=岐阜市というのはわかりにくいですし、文脈上からは「岐阜1区」が先だと思います。また「岐阜市民」と呼び捨てにするのでは感謝の念が薄く感じられてしまいます】

それゆえ、私には岐阜1区で勝たせていただいたという思いが確かにあります。【この1文は以下と文脈がつながらないので、後半の「ご批判は甘受」のところに移しました】しかし、総選挙ではの結果、郵政民営化の実現を唯一の争点とした自民党公認候補者が大量当選を果たし、連立与党が衆議院の議席の3分の2以上を占める結果となりました。そして郵政民営化関連6法案の可決は総選挙の結果が出た時点で、昨日の本会議の採決を待たずして確実なものになりました。この現実を前に、私は法案反対という自らの政治的主張は完敗したと率直に認めます。【文脈のつながりを考え、次の段落に移しました】

郵政改革に関する私の考えは「郵政改革は進めるべき。ただし、郵政民営化6法案には問題がある」というものです。私の信念は今でも変わっていません。しかし、総選挙を挟み、法案反対の意味は全く異なるものになりました。この考えに基づき、総選挙前衆議院本会議では、の反対によって法案を廃案にする可能性があったからこそ私は青票を投じ、別に提出していた対案を軸に郵政改革を進めることを目指して青票を投じました。【全体を時系列で説明した方がわかりやすいと思います。また「信念」とまで強調するのは投票行動の変更にそぐわないと思います。】

しかし総選挙後、状況は一変しました。与党が圧倒的多数を占める国会で、私が再び反対しても法案成立を阻止することはおろか、できません。法案に修正をかけることさえできないのが現実です。私の法案反対という政治的主張と戦略は完敗したと率直に認めます。]どうしてもいれたければここに入れるのが適当だと思いますが、ナルシスティックなトーンが反感を招く可能性もあるので削除することをお勧めします】

【改行】私は法案の再提出をうけて、法案の不備を将来的に是正し、よりよい郵政改革に結びつけるにはどうしたらよいのか、支持者の皆様の考えや思いにも再び、耳を傾けさせていただきました。【事実として支持者に相談されたうえで賛成投票の意向が強かったのならいいですが、そのような意見交換の事実がないのであれば「支持者の皆様の気持ちに思いを巡らせました」程度の方がいいと思います】無論、自民党員たる議員として民主党の対案に賛同する考えはありません。また、一自民党員として、自民党では党が今回の法案再提出にあたり、改めて政務調査会や総務会において全会一致で了承をとりつける手続きを取ったことの意味も考えました。私はこれまでも党員として、党の正式決定は最大限尊重し、棄権や欠席ではなく賛意をもって従ってきました。これらをふまえ、「郵政民営化関連6法案の欠点を補いながら郵政改革を進める」という私の考えをいかにしたら実現できるかをあらゆる点を熟慮の結果、今回し、私は郵政民営化法案に賛成することを決断いたしました。【ここはあまり細かく言うと前回の党議に反した反対投票との整合性がつかなくなります。事実を歪曲しない範囲で、党としても改めて党内の融和を図っていると思われるようなトーンで書いてみましたのでご検討ください】

【改行】冒頭申し上げましたとおり、私には岐阜1区で勝たせていただいたという感謝の念を持って議員活動をしております。そして、法案反対の野田だからこそ支持してくださった方々のお気持ちも十分理解しているつもりでございます。したがいまして支持者の皆様からのご批判も甘んじて受ける所存でございます。たいと思います。

国会議員としての今の、そしてこれからの私の責任は、今後着手される郵政民営化への取り組みが、その目的をよりよい形で達成し、国民の生活向上に資するように努めることだと考えています。それが、私がひきつづき、信念をもってなすべきことだと強く信じています。法律が依然として抱える問題点を解決しながら、私を支持してくださった岐阜市民、応援してくださった国民の皆さんにとって郵政改革を望ましい形で進めることに、自分のもてる力をすべて傾けてまいりたいと思います。たとえば、官から民へのお金の流れを確実にするための財投債の見直しや特殊法人の統廃合について積極的に実現を図りたいと思います。また、国民の関心がより高い、少子化対策や年金制度改革には時機を逸することなく取り組むべきであり、どのような立場にあっても、具体的な提案をもって関わっていきたいと考えています。国民のためのよりよい郵政改革、さらには社会の抜本的な構造改革に変わらずチャレンジしたく、今後の私の活動をこれからも厳しく見守っていただければ幸甚です【全体的に冗長な部分を削除しました。特に少子高齢化については論点をそらそうとしていると受け止められかねません。財投債云々は民主党の主張とも似通っていますがよろしいでしょうか?】

平成17年10月13日

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楽天のTBS株式取得

2005-10-15 | M&A

これも遅ればせながら楽天のTBS株式取得について。

TBSの対応、特に敵対的防衛策を発動する(できる)、というところに関心が集まっていますが、isologさんがさまざまな論点を詳しく分析されているので詳細をご覧になりたい方はそちらをご参照いただくとして、素人が大雑把に整理すると、TBSの防衛策は、

当社の事前対応を経ることなく突如として下記「検討開始事由」に該当する行為を行う場合、または事前対応の結果等により濫用的買収者であると判断される者が当該行為を行う場合等、当社の企業価値の毀損・減殺防止の必要性がある場合には、当社取締役会は、当社の企業価値の毀損・減殺防止のため必要かつ相当と認められる範囲において、下記新株予約権プランの発動を決定することができます。

 ・ 当社が発行者である株券等(証券取引法第27条の2第1項に定義される)について公開買付けにかかる公開買付開始公告がなされた場合。
・ 公開買付けの手続によることなく、特定の者(本件新株予約権を保有する者を除く)またはそのグループ(当社の株券等(同法第27条の23第1項に定義される。以下同じ)の保有者(同法第27条の23第1項に規定する者をいい、同条第3項により保有者とみなされる者を含む)およびその共同保有者(同条第5項に規定する共同保有者をいい、同条第6項により共同保有者とみなされる者を含む)をいう)による当社の株券等にかかる株券等保有割合(同条第4項に規定する株券等保有割合をいう)が20%を超えたことにつき、公表された場合または当社が知った場合。

と「共同保有者」を証券取引法上の定義によっているので、村上ファンドの7%強と足せば20%は超えるものの、両者に共同保有の合意があることを立証しないと現時点では発動できないことになります。
また、このメカニズムだと「阿吽の呼吸」というようなグレーゾーンでなくても、思惑買いで5%ルールぎりぎりまで投機目的の投資家が数名買い進んだあとに市場外取引をされると、突如20%未満ぎりぎりの大株主が2,3名登場することは防げない、ということもありうるわけです。
その辺は今後の買収対抗策のトリガーの設計の参考にはなりますね。


ではTBSはどうするか、ですが、防衛策発動のガイドラインとして

当社取締役会は、事前対応、各プラン発動の是非等の検討の過程で買収提案者が下記3.に定める濫用的買収者に該当するか否か、および代替案を検討するに際しては、①買収提案者の属性、②買収提案者が提案する事業計画・経営方針の内容、②買収提案者による株式取得の目的および想定する株式取得方法、③対価の算定根拠および買付資金の裏付け、④買収提案者に対する資金の供与者の属性、⑤従前の交渉状況、⑥当該買収または買収提案者が提案する事業計画等が当社および当社株式に与える影響、⑦買収提案者の有する放送局としての公共性についての考え方(放送法第1条、第3条、第3条の2等に定める事項に関する考え方を含むが、これらに限られない)、⑧従業員の処遇等を含む各観点から検討を行うものとする。

当社取締役会が、上記検討を行うに際しては、特別委員会への諮問および同委員会からの勧告を経なければならない。

と定めています。

このガイドラインは買収者の属性の判断だけでなく業務提携の申し出に対する判断基準としても立派に使えると思うので、楽天からの共同持株会社設立提案の協議の中で十分に聴取すればいいと思うのますが、TBS側の発言を見ると

「筆頭株主からの提案として新たな提案として受け止めた」
「我々が考えていた業務提携からすると大掛かりなもので、一朝一夕に決められるものではない。真摯に検討して回答したい」
「(楽天と)協議を行なうことについて合意したわけではない」
「協議をするということは、お互いにおおまかな合意があって、そちらの方向に向かうということ。協議のスタートだとは思っていないが、提案については真摯に検討する」
「敵対的買収であるかどうかの判断については、企業価値評価特別委員会という社外諮問機関を儲けている。取締役などが勝手に敵対的だと言うべきではないと考えている」

と、やはり急なことに対する右往左往ぶりが垣間見えてしまいます。

せっかく買収防衛策をとったのであれば、もう少し堂々としていたほうが交渉上も得策なんですけどね。

さらに、協議が決裂して楽天が買い増しやTOBを仕掛けてきた場合も、防衛策を発動するためには企業価値評価特別委員会が楽天を敵対的買収者だと判断できるような根拠が必要になるでしょうし、防衛策が発動された場合に楽天や村上ファンドが有利発行性を法廷で争ってきた場合も考えると、十分に協議をして楽天とTBSの意見の根拠や相違点を明らかにする必要があります。


ところで、楽天側は提案の趣旨として

楽天との統合により、インターネット広告とテレビ広告の連動による高付加価値化、TBSの既存コンテンツなどを利用したブロードバンド配信などのシナジー効果が見込める。

 楽天にとっての意義としては、マスメディアの圧倒的なパワーとの融合を図ることによりインターネットビジネスが強化できるとして、「ナンバーワンポータルへの布石」「ブロードバンドコンテンツの強化」「デジタルストリーミングの実現」「テレビショッピングとインターネットショッピングの融合」といった効果が期待できる。

と言ってますが、これって(ホリエモンがフジテレビ株取得のときに言っていた「ネットとメディアの融合」というのと大して変わらないじゃないか、というツッコミはさておき)楽天側のメリットの方が大きいといっているようなものですね。

また、そもそもTBSは放送免許という希少性のある経営資源を持っているわけで、統合の相手方の選択肢は楽天よりTBSの方が多いわけです。

となると、TBSは統合比率(株式移転比率)の交渉では有利なはずです。

おそらく楽天側は株式の時価総額(TBS720,066百万円、楽天1,039,039百万円)をベースに交渉してくると思われますが(※)、TBSの経営陣はそれに乗らずに逆に場合によっては楽天を飲み込んでしまうくらいの気概で協議に臨んでほしいものです。


M&Aについては、村上ファンドの登場やホリエモンvsフジテレビ以後、「攻める新興IT企業・投資ファンド対守勢一方の従来型企業」という構図が定着していて、攻める側が改革者なのか金の亡者なのかという郵政民営化の時に見られたような感情論と、新会社法制定もにらんでの買収防衛策の技術論に議論が二極分化しているように思います。


(細かい問題点はあるものの)買収防衛策を備え、しかもホリエモンvsフジテレビのときと異なりまだ15%までしか取得されていない、という交渉上は有利な立場にあるはずのTBSが自らの株主の利益のために楽天と丁々発止の激論を戦わすようになってはじめてM&A新時代の到来、と言えると思います。

でも考えてみると、それが取締役の本来の職務なんですよね・・・



※ 直感的には、収益構造≒株価形成のロジックが異なる両社において時価総額ベースで株式移転比率を決めるのは、かえってフェアではないと思うのですが、そのへんの考察は後日)

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有朋自遠方来(米国編)

2005-10-14 | よしなしごと
昨日はアメリカ人の知人と7年ぶりに再会。
7年前はアジア地域のマーケティングで3ヶ月ほど滞在したときに机を貸したりした関係。


ちょっとお約束風だが小泉首相がジョージ・W・ブッシュを連れて来た西麻布・権八
セットした元同僚が、接待の掛け持ち(おいおい)をしていて両方に顔を出したいという事情があったらしい。
それにしても「いかにも日本風」というところが受けるのか、所詮は居酒屋なので安上がりに接待するには手ごろだからか、外国人がやたら多い。
お約束のブッシュネタを振ると、「最近人気ないんだよね~」という話。もともと民主党支持者らしく、辛口の評価もあったが省略。

彼は当時はシカゴにいたが、仕事の関係で今はシアトルにいる。
ビル・ゲイツの近所に住んでるらしいじゃないか、いつから億万長者になったんだとからかうと、ビル・ゲイツ邸が面している湾の反対側の住宅地(それでも十分高級住宅地らしいんだけど)に住んでいるとのこと。

7年前はNBAのシカゴ・ブルズがマイケル・ジョーダンをはじめとするスーパースター軍団を擁して全盛期、一方で野球はシカゴ・ホワイトソックスもパッとせず、シカゴ・カブスに至っては開幕13連敗とかしていた。
シアトルに移ってみると、NBAのシアトル・スーパーソニックスは大活躍する一方で、シアトル・マリナーズは凋落の一途。
どうも彼の行くところ、バスケットボールは"IN"で野球は"OUT"のようだ。
(マリナーズ・ファンの方には申し訳ないですが)

しばらくシアトル話に花が咲く。
シカゴに比べて気候はいいし住みやすいよ、とか、マイクロソフト社の住所が"One Microsoft Way" Redmond・・・で、その番地全体が本社のだだっ広い敷地なので、番地の意味をなしてない
まあ、トヨタも「豊田市豊田1番地」なので似たようなもんだ。


ところで、と彼、日本でvodaphoneが伸び悩んでいるのは、世界統一規格にしたためにファッションや携帯電話に常に最新のものを求める"Shibuya girls"に敬遠されたせいだと雑誌記事に載っていたぞ。
渋谷のコギャル(というのも死語か)がアメリカの記事でも取り上げられているとはちょっと驚き。マーケティング論の小ネタとしては面白いんだろうけど、ちょっとこじつけすぎのような感も。でも、他国の事情を解説するときは大体こんなもんなのだろう。
こうやって"Shibuya girls"が日本のイメージの一つとして取り上げられ、日本観が形成されていくのが、サイードが『オリエンタリズム』で言いたかったことのひとつなんだろう。


その後、六本木ヒルズのグランド・ハイアットのバーへ。
席数がかなり多いのに満席でちょっと待たされたのにはびっくり。
ここでも外国人が圧倒的に多い。やはり日本の景気回復を受けて日本に来るビジネスマンが増えているのか?

7年前だと、朝食を食べながら情報交換しているハゲタカ・ファンドの連中でいっぱいの帝国ホテルのロビーというのが一つの名所(当時はラグジュアリークラスのホテルがあんまりなかったし)でしたが、それよりは健全な活気だからいいんじゃないでしょうか。
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プロ野球オーナーと特定郵便局長

2005-10-13 | M&A
村上ファンドの言う「阪神タイガース上場」の主張が何となくファンのためという大義名分のもとに一定の共感を得ているのは、プロ野球機構とか「オーナー」制度自体がそもそも胡散臭いところにあるのではないでしょうか。

そもそもナベツネ氏だって読売新聞の「論説主幹」という単なるサラリーマンで、実際に「所有」しているオーナーはオリックス、ソフトバンク、楽天、日本ハム、ロッテ、ヤクルトと半分にしかすぎません(ちなみにオーナー経営がパ・リーグに多いというのは、やはりソロバン勘定だけだと経営が成り立ちにくいようですね)

その「オーナー」たちが楽天の参入問題とか、1リーグ制とか、ドラフト問題とかの問題解決でとても不透明な意思決定をし、さらにその上に何の役にも立っていない「コミッショナー」という名誉職があったりして、説明責任のないこと甚だしいです。


それが今回村上ファンドに妙な錦の御旗を与える事になってしまったのだと思います。


僕自身は、プロ野球機構の改革と、球団の上場は切り離して考えるべきだと思ってます。

以前も言ったように、上場してしまうとサラリーキャップ制など長期的視野に立った改革や球団運営がしにくくなってしまう可能性があるからです。

また、村上ファンドの主張は、構造的には、阪神タイガースの売り先として高値掴みをする買い手として阪神ファンをカモにして、上場益(=利益の先食い)の39%を村上ファンドが回収しようというもので、全然ファンのためにはなっていないと思います。


それなのにオーナー側はきちんと反論せずに、八百長の危険とかわけのわからん理由を持ち出したり、「インチキ野郎」などと品性を疑われる言動をしているのですから、自滅したがっているようにも見えます。

これは財政投融資の特殊法人らによる野放図な使われ方や特定郵便局長の数々の役得が庶民的反感を買っているにもかかわらず、特定郵便局長の団体などがとにかく既得権益擁護で反対活動をくりひろげ、自らを「抵抗勢力」に位置付けてしまった結果かえって郵政民営化を後押しした構図によく似ています。



さらに役者の違いも際立っています。
リング上(株の買い集め)でも場外乱闘でも村上ファンドのほうが1枚も2枚も上手なようです。


阪神球団社長が本社幹部とファン投票会議

(2005/10/12/16:08 大阪日刊スポーツ)

電鉄の筆頭株主である村上ファンドを率いる村上世彰氏が11日、電鉄の西川恭爾社長とのトップ会談で、球団上場の是非を問う場としてファン投票を提案したため。電鉄側が実施するかどうかを含めて対応策を協議した。


村上ファンドはまだ買い増してるんだから、今の時点で会うなら協議なんかする前に、今後どこまで買うつもりなのか、を先に問い詰めるべきです。

そもそも子会社の上場(=株を売る、ということは会社財産の処分)を株主でもないユーザーの投票で決めるということ自体、会社のガバナンスとして相当おかしいと思います(会社の取締役が経営上の意思決定をユーザーの人気投票で決める、というのは善管注意義務を果たしていないように思えるのですが)


「ご意見を伺う」と低姿勢に出たあげく、好き勝手言われて振り回されているわけで、既に村上ファンドのペースですね。


まだまだ混迷は続きそうです。


そういえば、アドバイザリーについた大和證券SMBCはどうしてるんでしょうか?
「買収防衛策のアドバイザリー契約なので、個別交渉への助言は契約のスコープに入っていない」とかいって、何パターンもの(世の中に出ている買収防衛策をまとめただけのような)スキームの提案をしたあげくに、高いフィーだけ取ってたりしそうです。
まあ、そうだったとしても、阪神電鉄が脇が甘いだけなのですが・・・
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実はホンダのファンだったりします

2005-10-12 | よしなしごと

昨日はスバルの話の中で、ホンダをくさすようなことを書きましたが、実は僕はホンダ党です。

今まで、
初代プレリュード

 

アコード・エアロデッキ


アコードUSワゴン


などに乗ってました。
(最初の2台はマニアの方しかご存知ないかも)

当時はホンダのF1全盛期で、とにかくよく回って結構燃費のいいエンジンと、効率のいいパッケージングがトヨタやホンダにない良さを持ってました。


最近はごぶさたしていたのですが、昨日の記事の関係でホンダのHPを検索していて、自動車は最近ぱっとしないのですが

「こまめ」(小型耕運機で、確か世界No1のシェア)の改良型がEPA(米国排ガス基準)をクリアして燃費を30%向上させたとか


ボートの船外機(世界でいち早く船外機をすべて4ストローク化した(2ストローク・エンジンはエンジン・オイルを排出するので水質汚染の原因になるから)のはホンダです)のページをみると


やはりホンダはエンジン屋の会社なんだな、とうれしくなります。




ところで、僕の一番好きなホンダ車は

初代の「バモス」

です。

軽トラックベースでこんなに機能的でかっこいい車はないと思うんですが・・・

昭和50年代に生産中止になってしまったのは残念です

今の安全基準はクリアできないでしょうけど、復刻版をひそかに期待してます。

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スバルの行方

2005-10-12 | あきなひ

これも遅ればせながらですが
富士重工、トヨタ系列に 苦境のGMが富士重株を売却
(2005年10月 6日 (木) 01:28 asahi.com)

スバル(富士重工)は、元は海軍の零戦と並び称された「隼」 (一式戦闘機)を生み出した中島飛行機の流れを汲む名門です。

現代にもその設計者気質は受け継がれ、水平対抗エンジンと4WD技術へのこだわり、WRC(世界ラリー選手権)に参戦してコンストラクターズ・チャンピオンの常連になるなど、独自の存在感とブランドイメージを持っています。
「レガシィ」はアメリカやヨーロッパでも大人気だそうです。

僕は所有した事はないのですが、チョイ乗りでも独自のテイストを味わう事が出来ますし、現在のモデルのモデルチェンジのサイクルに合えば候補の1台でした。


今回それが「カイゼン」のトヨタ系列に入るということで、独自色が薄まってしまうのではないかというのが心配です(スバルファンの方はもっと心配しているでしょう)

世界の自動車メーカーは資本提携が進んでいて、単独で独立を堅持しているのはBMWとホンダくらいです。

最近ホンダは売れ線のミニバンばかり作っていて「ホンダらしさ」:やたら回ったり燃費もいいエンジンとか、初期のシビックのようなパッケージングの妙や、昔のプレリュードのようなケレンなどの「一筋縄じゃいかないぞ」というホンダらしさが消えているので、スバルにはBMW(後輪駆動・直列6気筒エンジン)の向こうを張ってもらいたいのですが、
企業規模を調べてみたら、直近の決算(連結ベース)で
                                          (単位:百万円)      
             BMW(04/12)  ホンダ(05/3)    富士重工(05/3)
売 上   6,231,736         8,650,105      1,446,491
利 益    312,324           486,197          18,238
(税引後)
 と(富士重工の利益は前年比△52%と特殊要因があるのかもしれませんが)規模で圧倒的な差があるんですね。

さすがにこの規模では世界市場での競争を勝ち抜くための技術開発投資負担など難しいものがあったのかもしれません。
※でも、今回のGM株の20%のうち11.3%は富士重工が自社株取得するわけで、それだけ余裕があるのなら、なぜGMの出資を受けたか、また、なぜ今回20%全部を自社株取得をしなかったか、という理由にも興味がわきます。

これからトヨタが8.7%出資してどのような提携をするのかに関心がうつりますが、うまくスバルのブランド・イメージを残して欲しいものです。


その点、GMやフォードは心得ていたようで、GMはドイツのオペル(100%)、スゥェーデンのサーブ(50%)、イタリアのフィアット(20%)にも出資していますが、それぞれプラットフォームやエンジンは共有しながらも、独自のブランドを維持しています。

もっと上手いのがフォードで、100%出資のジャガーやボルボに親会社のイメージを感じさせず、うまくブランドのプレミアム感を維持していると思います。

また、BMWのミニブランドの再生やルノーの日産てこ入れなども含めて、外国(他国)からの資本ということで、「ジャガーの英国テイスト」とか「ボルボのスカンジナビア・デザイン」とかはあまり影響を受けなかったのかもしれませんが、今回日本企業同士の提携というあたりは、ちょっと難しいかもしれませんね。

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イグ・ノーベル賞(その3)

2005-10-11 | よしなしごと

イグ・ノーベル賞。今回が最終回です。
(その1はこちら
(その2はこちら


化学賞
長い間、結論が出なかった「人類は水とシロップの中の、どちらでより速く泳げるか?」という科学的な疑問について、入念な実験を行ったミネソタ大学のエドワード・カスラー氏とブライアン・ゲットルフィンガー氏に授与。

これは流体抵抗と粘性抵抗という、物理学賞(その1参照)同様の観点かなと思ったのですが、受賞者はミネソタ大学の化学の教授で、浸透膜などの薄膜の研究者です。
掲載した学術論文のサイトも、概要が書いてないので内容はよくわかりません。(編集者はまあ、こんなのもいいか風なコメントを書いています)
論文名が"Fluid Mechanics and Transport Phenomena   Will humans swim faster or slower in syrup?"というものなので、流体抵抗が皮膚の薄膜にどのように伝わっていくかの研究、ということなのでしょうか(強い風や水を顔に当てると皮膚が伸びて変な顔になるとかいうのと同じかな?)


生物学賞
「においを発するカエルの分泌物の機能と系統発生的意義についての調査」に授与。オーストラリア・アデレード大学などに所属するベンジャミン・スミス氏とジェームズ・クック大学のクレイグ・ウィリアム氏、アデレード大学のマイケル・タイラー氏、オーストラリア・ワイン研究所のハヤカワ・ヨージ氏らは、131種類のカエルがストレスを感じた際に発するにおいを、辛抱強く嗅ぎ続けて分類した。

ベンジャミン・スミス氏はスイスの香水会社にも所属しているようです。それに、ワイン研究所の研究者も参加しています。「臭い・香り」を科学的に分析するというのは研究課題としては難しいんでしょうね。(日本でも「臭気判定士」などという資格もあります)

日本では蝦蟇の油売りの口上に「四角四面の鏡に映った己の醜き姿にたら~りたら~りと脂汗を流し・・・」というくだりがありますが、カエルってストレスを感じやすいのでしょうか?


栄養学賞
「毎回の食事内容を34年前から写真で記録し続け、現在も継続中」のドクター中松に授与。

ドクター・中松さんは、食べ物と体の調子の関係を探ろうと、42歳の誕生日から毎日の食事を記録した。レストランで写真を撮る際にシェフにレシピを盗むのではないかと疑われたり、その場の雰囲気を壊したりしないように小型の特製カメラも作ったという。

とのことですが、数ヶ月前たまたま僕が飲んでいた小料理屋に入ってきたときは、写真は撮ってなかったように思うのですが(それが小型カメラの威力か?)


流体力学賞
基本的な物理法則を使ってペンギン体内の圧力を計算し、その詳細を「ペンギンがふんを出すときに生じる圧力:鳥類の排便における計算」にまとめた、ドイツ・ブレーメン国際大学のビクトル・ベンノ・メイアロコウ氏とハンガリー・エトヴォシュ・ローランド大学のヨゼフ・ガル氏に授与。

この研究には共感するところ大です(しゃれじゃなく)

一般的には排便時には思いっきりいきめば気分はいいのですが、中身の硬さ・柔らかさ、ガスのたまり具合、便器の構造と水の張り具合によっては「はねかえり」等の二次的被害を蒙るおそれがあり、また(自宅以外の場合は)隣のブース等の人気(ひとけ)にも配慮しないとレピュテーション・リスクにさらされる事になります。
「差込み」などで急に便意を催してトイレに駆け込んだ際にも、冷静な状況判断が求められる所以です。

TOTOやINAXはこの論文を便器の開発に生かせないものでしょうか。


<追記>
イグ・ノーベル賞2006をアップしました。

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イグ・ノーベル賞(その2)

2005-10-10 | よしなしごと

イグ・ノーベル賞の続きです。
(その1はこちら

文学賞
電子メールを利用して「大胆な短編物語(詐欺スパム)」を配信し、少ない資本で富豪を引き寄せ、かなりの金額を手中にしたナイジェリアの「インターネット起業家たち」とその協力者に授与。
内容的には

いわくつきの巨額の資金を隠し口座に有する人物が、メールの読者に小額の出資を求め、彼らの大金へのアクセスが確保できたあかつきには、その一部を分けてあげます。

というものです(実物ははこちら
相当有名な詐欺スパムということは、けっこうひっかかった人がいるのでしょう。

日本でも「M資金詐欺」というのがありましたが「M資金を融資する前提として配当を前払いさせる」のと同じ手口ですね。
冷静に考えればおかしい話だとわかりそうなものですが、こういう話は琴線に触れる要素があるのでしょうか。

あ、思わせぶりでプレゼントをおねだりする女性とそれに鼻の下を長くして乗ってくる男、という構図と同じか・・・


平和賞
「映画『スター・ウォーズ』の名場面集」を見ているバッタ脳細胞の電気的活動の観察」を行った、英ニューカッスル大学のクレアー・リンド氏とピーター・シモンズ氏に授与。




これって、何でバッタなのか、とか、何でスター・ウォーズなんだと疑問がふつふつとわいてくるのですが、リンド氏の研究の紹介を見ると、

私は、接近してくる物体の中で自分と衝突する物体のみに反応するというバッタの視覚システムの回路の研究をしてきました。私はこの生物学的なニューロンの働きを研究するなかで、これを入力回路の設計に使えないかと考えるようになりました。バッタの持つ能力の技術的な応用の可能性が認識されるようになったのです。
最近私は、チューリッヒにある"Institute of Neuroinfomatics"のいくつかのグループと共同研究を始めました。われわれは、バッタの衝突回避感知能力を基にしたモデルを、ロボットにおける衝突回避システムと、衝突予測のアナログ集積回路の開発に利用しようと考えています。

とまあ、非常にまじめな研究です。
要するに、「向こうから近づいて来てぶつかりそうになる画像」が必要だったのですね。

でも、将来ミサイル迎撃システムとかに応用できそうなので、「平和賞」とも言っていられないかも・・・


経済学賞
「何度も何度も逃げて隠れる目覚まし時計の発明」で、米マサチューセッツ工科大学のガウリ・ナンダ氏に授与。この目覚まし時計を使うことにより、寝ている人は起き上がって、目覚まし音を止めることが必要となる。その結果、理論上労働可能時間が増えた。

実物はこんなかんじ


Clocky is a clock for people who have trouble getting out of bed. When the snooze bar is pressed, Clocky rolls off the table and finds a hiding spot, a new one every day.

とあるように、ふわふわしているのでそのまま床に落っこちて走っていくのでしょう。

注目すべきは受賞者のガウイ・ナンダ氏、HPを見ると、MITメディア・ラボとミシガン大を卒業した御年25歳のなかなかの美人です。

(つづく)
(その3(最終回)はこちら

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イグ・ノーベル賞(その1)

2005-10-10 | よしなしごと

毎年ノーベル賞と同時に発表される「イグ・ノーベル賞」が今年も発表されました。

イグ・ノーベル賞とは、サイエンス・ユーモア雑誌"Annuals of Improbable Research"(「ありえねー研究年報」?)が主催する賞で、「イグノーブル(Ignoble。品がない、あさましいの意)」と、「ノーベル(nobel)賞」を掛けた名称になっています。
人をまず笑わせ、そして考えさせる研究、絶対に真似できない・真似すべきでない業績を対象に、本物のノーベル賞受賞者や各分野の専門家、たまたまそばを通りがかった人などが選考するそうです(詳しくはこちら

今年はドクター・中松が受賞したというので新聞記事ニュースにもなりました。

公式サイトで今年の受賞者を見ると、さすが、という研究が並んでいます。

農業史賞
ニュージーランド・マッセイ大学のジェームズ・ワトソン氏の、第一次世界大戦終了時から第二次世界大戦が始まるまでの期間で、ニュージーランドの酪農における技術変化の側面について考察した「リチャード・バックレー氏の爆発したズボンの重要性の研究」。

1931年、ニュージーランドの農村部で突然無差別に男達のズボンが爆発するという怪現象が発生した。あるズボンは真っ二つに裂け、あるズボンはくすぶって煙を上げた。たちまち各地で同じ事例が報告され、ズボン爆発は全国を恐怖に陥れた。原因は、揮発性のある農薬が、綿など天然素材と化学反応を起こして発火したことだと後に判明した。この事件が農夫のズボンや農薬など様々な技術を改善させた。

のだそうです。

これはけっこうまともな研究ですね。
現象の面白さと論文の題名のお茶目さが受賞にふさわしいと評価されたんだと思います。


物理学賞

オーストラリア・クイーンズランド大学で1927年から続けられている「粘度が高いタール(石油ピッチ)の滴が落ちる様子を観察する実験」に対し実験を始めた故トーマス・パーネル教授と、実験を続けている同大学のジョン・メインストーン教授に授与。実験では、1滴のタールが落ちるのに、平均約9年かかっている。

名著『ゾウの時間・ネズミの時間』で同じ水中を泳ぐ場合でも人や魚にとっては水は流体抵抗として作用するが、極小の生物(ミジンコなど)には粘性抵抗として作用するという話があったような記憶があります。そのように、物体の性質は関係性によっても変わってくるので、個体と液体の境界上にある物体の性質の研究というのも重要なのでしょう(特に天然資源の豊富なオーストラリアですし)

話はそれますが、「境界線上にある物質」で思い出したのは、石垣島空港のゴミ箱が「燃やすゴミ」と「燃やさないゴミ」と表示されていたこと。
東京では「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」と言っているのですが、そもそも何であろうと十分な酸素と高温があれば物質を「燃やす」(=酸化させる)ことは出来るらしいのですが、焼却炉の性能によって自治体によって区分が異なるらしいです。なので「燃やすゴミ」という方が意志を感じるのでいいかもしれませんね。

ところで、故トーマス・パーネル教授はこの実験を48歳のときに始め、1948年に69歳で亡くなっているので、存命中は2滴の落下しか観測できなかったということになります。
スケールの大きな研究ですね・・・


医学賞
3種類の大きさ、3種類の固さが選べる去勢犬用の人工睾丸「Neuticles」を開発した米ミズーリ州オークグローブ在住の事業家グレッグ・ミラー氏に対して。

同氏は約10年前から販売を開始し、これまでに15万個以上の売り上げがあったという。人工睾丸には犬以外の動物向けの製品もあるという。ミラー氏は「両親の考えでは、子供のころの私はバカだった。受賞は光栄だ。両親が生きていて、受賞の様子を見てもらえればよかったのだけれど」と、しみじみ語った。

飼い主の気持ちをうまくくすぐる商品だと思います。
それとも人工睾丸をつけることで犬も「俺はタマなしでないぞ!」と精神的に元気になったりするのでしょうか?
ひょっとしたら走る時のバランスとかに微妙に影響するのかも。

(つづく)

※ 毎度の事ですが、話が横道にそれてしまって予想外に長くなってしまったので、続きは次回に。

(その2はこちら

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