取得の経緯はHard Waveさんやisologさんが分析されてます。
転換社債とか株式交換とかの裏道を使うあたりはまた物議をかもしそうですが、阪神電鉄もかなり脇が甘いですね。
そもそも転換社債が満期償還直前に一気に転換されているのを変だと思わなかったのでしょうか(償還資金の手当てもあるだろうに)
また、既に買収された10/5になって阪神電鉄、防衛に着手 大和SMBCと連携というのは、ジョークとしては面白いですけど・・・
村上氏は8日の後援会で経営権は取ろうと思っていないと発言したそうですが、一方で阪神タイガースの上場なども提案しているようです。
まずは阪神タイガースの上場ですが、そもそも一阪神ファンとして、村上氏が球団の「オーナー」になるのは抵抗がありますが、まあそれはおいとくとしても、そもそもプロ野球の球団に上場がなじむのか、というのはちょっと疑問です。
今のプロ野球機構とかオーナー会議の馴れ合い状態は良く無いと思うのですが、上場企業になるといろいろ制約があることも事実です。
そもそも選手構成や年棒などは厳密な説明責任を果たせるものではありません。
たとえば有力選手やメジャーリーガーの獲得、自球団選手のFA権行使を阻止に数億円の年棒を提示した結果活躍しないなんていうことはよくありますし、合理的な予想なんてできません(だからこそスポーツ紙が商売になるわけです)
また、球団間の戦力均衡化のためのサラリーキャップ制の導入など、全体最適のために自球団の利益を犠牲にするような改革も今後必要かもしれません。
こういう意思決定にいちいち株主代表訴訟が気になるのでは、取締役のなり手がいなくなります。
また、監督には高年棒の選手を起用しろという圧力(起用してだめなら仕方ないが、そもそも起用もされないと「無駄な設備投資」といわれてかねない)がかかるかもしれません。
さらに、収益の安定を考えれば、昔のタイガースのように優勝はぜずに年棒を安くおさめてそこそこの収入を得るという方向に行きかねません。
なので、上場企業として株主の発言権が大きくなりすぎると弊害もあると思います。
つぎに、村上ファンド(MAC)はどうやって儲けようとしているのか、という疑問。
MACはファンドですからで最後は取得した株を高値で売却しないといけません。
ただ、そうするには38%という比率(市場で売れば値崩れを起こすし、まとめて売却するとTOB規制にかかる)と1000億という総額がネックになりそうな感じがします。
また、鉄道料金は国土交通省の認可事項で、確か利益が上がりすぎると利用者に還元(駅舎の改修など)しろと指導されたり、値上げ申請が認めてもらえなくなる、ということを聞いたことがあります。
だとすると、阪神タイガースの上場やその他の資産の売却の収益がそのまま株主に還元されない可能性もあり、株価上昇も限定的になる可能性があります。
そうなると、阪神電鉄(自社株買いは出来ないので)役員へのMBOか、長期投資で電鉄業または阪神地区の事業展開に参入しようとする会社に売却するくらいしかないのように思います。
そう考えると、個人的にはオリックス(村上氏と宮内氏は懇意らしいし、タイガースと合併して不振のオリックス・バファローズの出口にする)か阪急電鉄くらいしかないんじゃないかと思うんですけど、どうでしょうかね(前に言いましたが、読売グループが買ったら見ものですが、さすがにないでしょうw)
個人的には、タイガースは上場せずに、村上氏はお目付け役の大株主として経営陣がさぼらないように目を光らせていてくれたらそれはそれでいいのですが、無理だろうなぁ。