一週間ぶりの朝一、早朝出勤。
昨日までの雨は止み、ほんわかとした暖かい天気。
日中は20度まで気温が上がるという。
6時半に家を出て、7時50分に売り場へ。
納豆や厚揚げの台車がデ~ン!!と待ち構えていた。
まず、納豆や揚げを出す。
次は、うどん、ちゃんぽん、そば等の麺類。
そして、昆布などの佃煮、豆類。 賞味期限切れまじかの品には割引シールを貼る。
ダンボールの台車をプラットホームへ移動。
そして、9時開店! となる。
これが朝の開店までの一時間の流れだ。
いつもはカトちゃんがパンを出すのだが、今日はお休み。
川石さんが せっせとパンを出していた。
9時15分。
さて、定番商品を出そうとプラットホームへ足が向きかけたとき、
「鈴木さん、漬物、出して」
と、店長。
振り向くと、店長が漬物が入った箱をせっせと台車に積み替えている。
積み上げられた漬物は、私の背丈ほどあるではないか。
相当な量である。
私の大、大先輩の岸辺さんが、確か、漬物を二人で出して、一時間かかった・・・ と、話していたと記憶している。
単純に計算しても、私が一人で出せば、二時間もかかるではないの。
さてさて・・・。
ここは、漬物売り場。
(なになに? こっちは甘口キムチ。あちらは・・・。キムチにも、色々あるんだなあ)
(何?キャベツ漬け 白菜と間違えそう。キャベツの漬物の単品なんて、あるんだ・・・。色々、勉強になるもんだわ)
大量の漬物と格闘していると、おじいさんが話しかけてきた。
「すみません、これ、キャベツじゃなくて、間違いなく白菜ですな? こないだ、ばあさんに白菜漬けを頼まれて、買って帰ったら怒られてなあ。 こりゃ、あんた、白菜じゃないわ、キャベツや~ってな」
最近は、妻の尻に敷かれる旦那様が多いようだ。
妻のお使いをして 怒鳴られた経験をお持ちの方は多い筈。
「これは、白菜ですよ」
私は自信を持って答えた。実は、つい さっき、私もキャベツ漬けもあるって知りましたとは、言わなかったが。
約5分後、今度は、おばあさん客に声を掛けられた。
「あの・・・。あなたは、お漬物屋さんですか?」
えっ つ・・・漬物屋・・・一瞬、返答に困る。
「漬物屋ってわけじゃないですが・・・。何か・・・?」
「あら、違うの。いやね、漬けたばかりの漬物を漬物屋さんが持ってきたのかと思ってね。新しい、ラッキョウが入ったか、聞こうと思ったんだけど」
「ラッキョウでしたら、こちらです」
「ありがと!」
私は漬物屋ではないが、おっ客様は納得して去っていった。
ホッ。
9時55分。
10時出勤の矢木さんが、やってきた。
「あれ? 漬物出してるの ってことは、今朝は、店長?いつもなら、西村さんが8時に出すからね。今日、西村さんは遅番で、午後出勤だったっけ。じゃ、副店長は?休み? えっ!カトちゃんも休み そりゃ、大変だ」
そして、ほとんど、終わりかけた10時10分。
「鈴木さん!」
背後から、若い男が私の名を呼んだ。
振り返ると、カジュアルな いでたちで、ニコニコ笑顔の青年が立っている。
誰じゃ
一瞬、誰だか、分からない。
「今朝、大変だったでしょう? 昨日のパン、かなり売れ残ってましたからね。値引きの分だけでも結構な量、あったと思うし・・・」
カトちゃんだ!
いつもは、ネクタイ姿の大人のカトちゃんしか知らない。
休みの日に 朝から、わざわざ店へ出向いてくるなんて、なんと仕事熱心な!
私と同じくらい遠くから通っているのに。
「いつも大人の雰囲気なのに、今朝は大学生だね。随分、違って見えるけど・・・」
「みんなに、そう、言われます。普段着の姿って、みんな、見ないですからね ところで、定番商品、今朝、多かったですか?」
いつも、定番商品を台車に積み替えてくれるのは、主にカトちゃんだ。
いつだったか、カトちゃんが休みの日、矢木さんと二人で せ~のと、荷物を積み替え、大変だった。
カトちゃんが居ないと困る!と、話したことがある。
何せ、カトちゃんは、プラットホーム、専属スタッフ!のようになっているのだ。
自らキツイ仕事を率先して、こなしていく。
なんて、感心。(注意 他の男性がしないといっているのでは ありません。もっとする!という意味)
休日まで、頭の中は、仕事でいっぱい
お店の事を心配して、朝から様子を見にくるなんて。
彼は まだ、19歳ですよ!
どうか、過労死しないでね
(社長、早く、彼を正社員にしてあげて下さい)
「それが、今朝は まだ、定番商品、見てないのよ。開店早々、漬物と格闘してて・・・」
「これって、慣れてないと、大変ですよね!じゃ、今日、出勤は・・・川石さん、来てますか? プラットホームですよね?」
お客さんとして来店中なのに、裏も見ていくんだ・・・。
カトちゃんは、スマップの香取慎吾に似た雰囲気である。
若いのに、周囲に気を遣うところも、慎吾君に似ている。
「そんなに、**さんに、気を使わなくてもいいですよ」
と、つい最近もカトちゃんにアドバイスされ、励まされた。
全く、どっちが年上だか、分からない。 私と同世代なら歳が離れた弟に・・・
岸辺さん世代なら息子に・・・ したいスタッフ ランキング・・なんてのがあれば、一位でしょうね、おそらく・・・
・・・と、いう訳で、次回からは、カトちゃん特集を組んでみたいと思います。