みやすけの詩 実態

偽りは、その豊かさの中で根を張っている
小鹿の群れが、道路を横断する時にはしる悪寒は
この世界のあらゆる恐怖によって構築されている

つわりが激しく、嘔吐を繰り返す妊婦
産まれ来る赤子はうろたえている
右も左も判らない暗闇の中で悶え苦しむ無常さよ

靴を履かず、泥塗れになった脚を引きずり
ひたすら前を目指す老人は、その眼で何を見つめている

虚脱に陥った人形は、もう目覚める事はないであろう
なぜなら、胸には巨大な五寸釘がめり込み
血の通う心臓を潰したからだ

もう、現実にハブられる心配も何もない
真実は、奇想の中にこそ存在するものである
その虚実さえも見計らえない節穴は
灼熱の焔によって焼き尽くされるであろう