理化学研究所生命機能科学研究センター集積バイオデバイス研究チームの田中陽チームリーダー、アイサン・ユスフ大学院生リサーチ・アソシエイト、ヤリクン・ヤシャイラ客員研究員らの研究チームは、薄板ガラスに形成した微細空洞中の気体を熱膨張させることで、レンズとして使用できるガラス製の微小ドーム構造を短時間に高精度で簡便に大量作製する技術を開発した。本研究は、米国の国際科学雑誌「Applied Physics Letters」のオンライン版(日本時間12月27日)に掲載。なお、理研は「マイクロレンズ、マイクロレンズアレイ、転写モールド、及びマイクロレンズの製造方法」として特許を出願している。
透明な微小ドーム構造やその集合体であるアレイは、昆虫の複眼に見られるように優れたレンズの機能を持ち、光学、生命科学などの専門分野に限らず、スマートフォンのカメラ、センサーモジュールの部品などにも応用されている。特に近年は、デバイスや装置の小型化・高性能化に伴い、それらに適合した微小レンズを製造する技術が求められている。材料がプラスチックであれば鋳造法によって大量に製造できるが、プラスチックはガラスに比べて耐久性が低く、透明性も劣る。また、廃棄プラスチックによる環境負荷の問題もあることから、ガラス製レンズの需要が高まっている。しかし、ガラスの微細加工は手間と時間、さらには費用もかかるため、現状では高精度な加工を短時間で大量に行うことは困難である。
研究手法と成果
研究グループは
(1)ガラス基板上に浅い微小なくぼみを形成する
(2)カバーガラスを重ねて仮接合し閉じた微細空洞を作る
(3)吹きガラスの原理を利用して、周囲を真空引きしながら加熱することで空洞中の空気を膨張させる
(4)ゆっくり冷却するという手順により、設計した寸法通りにガラス微小ドーム構造を形成できることを実証した
今回の試験では、厚さ100μm~250μmのガラス板を用いて,直径30μm~1mmのさまざまな種類の微小ドーム構造を作製し、そのまま使えば凹レンズ(縮小レンズ)、充填液を導入すれば凸レンズ(拡大レンズ)の機能を持つことを示した。また、高温条件下や酸・有機溶媒中でもレンズ機能は失われず、ガラスの性質が保たれることを確認した。
この研究で開発したガラス微小ドーム構造の作製手法は、短時間に高精度かつ簡便に大量生産できるという利点がある。ガラスで作製されていることからレンズとしても長期安定性に優れており、この研究で行なったような極端条件下での使用のほか、多様な工業用途にも向いているという。
さらに、研究グループではこれまでに開発したガラスの特徴を生かしたマイクロ流体チップや、細胞や組織などのさまざまな生体試料の分析などの研究を進めており、今回のレンズはガラス製でしかもマイクロ流路に組み込める大きさであることから、バイオ分析などの用途においても非常に有用なものであるとしている。
◆補足説明
〇真空引き
真空ポンプを使用して装置などの内部を真空にする作業のこと。今回のケースでは、加熱のための炉の内部を真空にした。
〇アスペクト比
構造物の高さと横幅の比率(高さ/横幅)で表される。アスペクト比が大きいほど構造的に不安定で、作製の難度が高い。
〇エッチング
微細加工手法の一つで、フッ化水素酸を使用することで、ガラスを溶かして微細な溝などをガラスに彫る技術。
〇メニスカスレンズ
レンズの片面が凸、もう片面が凹になったレンズ。二つの面の相対的な曲率の違いに応じて中央が周囲より厚い場合は凸レンズとして、逆の場合は凹レンズとして働く。
〇両凸レンズ
両面とも外側に向かって膨らんだ曲面を持つレンズ。
〇ミネラルオイル
鉱物油。流動パラフィンとも呼ばれ、常温では非揮発および非水溶であり、通常の使用条件下では酸化されず、経時変色もない化学的・生物学的に安定した物質。
〇マイクロ流体チップ
バイオ分析や化学分析(システム)をマイクロスケール化する目的で、溶液の混合、反応、分離、精製、検出などの化学操作をミクロ化したデバイスのこと。半導体製造技術(微細加工技術)を用いて基板に集積化する。
早朝は雨、次第に晴れた。雲が多く、冬の空が残っている様だ。
散歩で、会いたいのは空の青と緑の木々。緑・緑が嬉しいのは、”マサキ”の街路樹(垣根)だ。
”マサキ”に実(朔果:さくか、乾性の子房の発達した果実、熟すと割れて種を撒く)が付いている。花は6・7月頃咲くが小さくて淡緑白色なので目立たない。果実は秋に熟し、裂開して橙赤色の仮種皮におおわれた種子が見える。これがとても可愛い。
マサキは常緑なので、”マサオキ(真青木)”から”マサキ”となったと言う。刈込みに強く、密生し、大気汚染や潮風にも比較的強いので生垣・庭木などに使われる。
マサキ(柾、正木)
学名:Euonymus japonicus
ニシキギ科ニシキギ属
耐寒性の常緑低木
原産地は極東アジアの日本・朝鮮・中国
開花時期は6月~7月
花は径7mm程の4弁花、花色は淡緑白色
果実は朔果で、径5~8mm程の球形
熟すると果実は3~4つに割れ、赤橙色の仮種皮に包まれた種子が見える
透明な微小ドーム構造やその集合体であるアレイは、昆虫の複眼に見られるように優れたレンズの機能を持ち、光学、生命科学などの専門分野に限らず、スマートフォンのカメラ、センサーモジュールの部品などにも応用されている。特に近年は、デバイスや装置の小型化・高性能化に伴い、それらに適合した微小レンズを製造する技術が求められている。材料がプラスチックであれば鋳造法によって大量に製造できるが、プラスチックはガラスに比べて耐久性が低く、透明性も劣る。また、廃棄プラスチックによる環境負荷の問題もあることから、ガラス製レンズの需要が高まっている。しかし、ガラスの微細加工は手間と時間、さらには費用もかかるため、現状では高精度な加工を短時間で大量に行うことは困難である。
研究手法と成果
研究グループは
(1)ガラス基板上に浅い微小なくぼみを形成する
(2)カバーガラスを重ねて仮接合し閉じた微細空洞を作る
(3)吹きガラスの原理を利用して、周囲を真空引きしながら加熱することで空洞中の空気を膨張させる
(4)ゆっくり冷却するという手順により、設計した寸法通りにガラス微小ドーム構造を形成できることを実証した
今回の試験では、厚さ100μm~250μmのガラス板を用いて,直径30μm~1mmのさまざまな種類の微小ドーム構造を作製し、そのまま使えば凹レンズ(縮小レンズ)、充填液を導入すれば凸レンズ(拡大レンズ)の機能を持つことを示した。また、高温条件下や酸・有機溶媒中でもレンズ機能は失われず、ガラスの性質が保たれることを確認した。
この研究で開発したガラス微小ドーム構造の作製手法は、短時間に高精度かつ簡便に大量生産できるという利点がある。ガラスで作製されていることからレンズとしても長期安定性に優れており、この研究で行なったような極端条件下での使用のほか、多様な工業用途にも向いているという。
さらに、研究グループではこれまでに開発したガラスの特徴を生かしたマイクロ流体チップや、細胞や組織などのさまざまな生体試料の分析などの研究を進めており、今回のレンズはガラス製でしかもマイクロ流路に組み込める大きさであることから、バイオ分析などの用途においても非常に有用なものであるとしている。
◆補足説明
〇真空引き
真空ポンプを使用して装置などの内部を真空にする作業のこと。今回のケースでは、加熱のための炉の内部を真空にした。
〇アスペクト比
構造物の高さと横幅の比率(高さ/横幅)で表される。アスペクト比が大きいほど構造的に不安定で、作製の難度が高い。
〇エッチング
微細加工手法の一つで、フッ化水素酸を使用することで、ガラスを溶かして微細な溝などをガラスに彫る技術。
〇メニスカスレンズ
レンズの片面が凸、もう片面が凹になったレンズ。二つの面の相対的な曲率の違いに応じて中央が周囲より厚い場合は凸レンズとして、逆の場合は凹レンズとして働く。
〇両凸レンズ
両面とも外側に向かって膨らんだ曲面を持つレンズ。
〇ミネラルオイル
鉱物油。流動パラフィンとも呼ばれ、常温では非揮発および非水溶であり、通常の使用条件下では酸化されず、経時変色もない化学的・生物学的に安定した物質。
〇マイクロ流体チップ
バイオ分析や化学分析(システム)をマイクロスケール化する目的で、溶液の混合、反応、分離、精製、検出などの化学操作をミクロ化したデバイスのこと。半導体製造技術(微細加工技術)を用いて基板に集積化する。
早朝は雨、次第に晴れた。雲が多く、冬の空が残っている様だ。
散歩で、会いたいのは空の青と緑の木々。緑・緑が嬉しいのは、”マサキ”の街路樹(垣根)だ。
”マサキ”に実(朔果:さくか、乾性の子房の発達した果実、熟すと割れて種を撒く)が付いている。花は6・7月頃咲くが小さくて淡緑白色なので目立たない。果実は秋に熟し、裂開して橙赤色の仮種皮におおわれた種子が見える。これがとても可愛い。
マサキは常緑なので、”マサオキ(真青木)”から”マサキ”となったと言う。刈込みに強く、密生し、大気汚染や潮風にも比較的強いので生垣・庭木などに使われる。
マサキ(柾、正木)
学名:Euonymus japonicus
ニシキギ科ニシキギ属
耐寒性の常緑低木
原産地は極東アジアの日本・朝鮮・中国
開花時期は6月~7月
花は径7mm程の4弁花、花色は淡緑白色
果実は朔果で、径5~8mm程の球形
熟すると果実は3~4つに割れ、赤橙色の仮種皮に包まれた種子が見える