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世界初、光スイッチング効果を示す超イオン伝導体を発見

2020-04-10 | 科学・技術
 東京大学大学院理学系研究科大越慎一教授と筑波大学数理物質系所裕子教授の研究グループは、光スイッチング効果を示す超イオン伝導性極性結晶を発見した。本研究成果は、日本時間2020年3月17日(火)にNature Chemistry(ネイチャー・ケミストリー)のオンライン版で公開。
 発表のポイント
 〇光スイッチング効果を示す超イオン伝導体を世界で初めて発見した。
 〇この超イオン伝導体は、超イオン伝導性と極性結晶構造が共存しているために、第二高調波発生も示すことを明らかにした。
 〇超イオン伝導体は、全固体電池の固体電解質として用いられている。光でイオン伝導度がスイッチングできる本物質の性質を使えば、将来、電池のON/OFFを光で行うことができるようになると期待される。
 発表概要
 東京大学大学院理学系研究科の大越慎一教授の研究グループは、光スイッチング効果を示す超イオン伝導性極性結晶を発見した。
 この結晶は鉄-モリブデンシアノ骨格錯体にセシウムイオンを含んだ3次元ネットワークで構成される極性結晶構造の物質である。この物質は318K(45°C)において4×10-3Scm-1という高いイオン伝導度を示し、超イオン伝導体(注2)であることがわかった。本物質に、室温において532nmの光を照射したところ、イオン伝導性が1×10-3Scm-1から6×10-5Scm-1へ可逆的に変化し、イオン伝導性の光スイッチング効果が観測された。また、自発電気分極により第二高調波発生(SHG)を示す超イオン伝導体であった。光応答性およびSHG活性を示す超イオン伝導体はこれまでに例のない物質であり、燃料電池の電解質の機能提案につながることが期待される。光でイオン伝導度がスイッチングできる本物質の性質を使えば、将来、電池のON/OFFを光で行うことができるようになると期待される。
 発表内容
 イオン伝導体は、燃料電池、リチウムイオン電池や化学センサなど、さまざまな用途で使用されている。イオン伝導度が10.4 S cm.1 を超える高い伝導性を持つ固体材料を超イオン伝導体と呼ぶ。
 本研究において、発表者らは、光スイッチング効果を示す超イオン伝導性極性結晶を開発した。この結晶は、鉄-モリブデンシアノ骨格錯体にセシウムイオンを含んだ3 次元ネットワークで構成されるセシウム-鉄-モリブデンシアノ錯体(Cs1.1Fe0.95[Mo(CN)5(NO) ]・4H2O)という青色の物質である。結晶構造解析の結果、正の電荷をもつセシウムイオンと負の電荷をもつ鉄-モリブデンシアノ骨格の重心のずれにより自発分極を有する極性結晶であることがわかった。また、ネットワークを構築するニトロシル(NO)基の酸素原子と水分子からなる1 次元の水素結合ネットワークが存在していることも明らかとなった田。
 イオン伝導性測定の結果、45 °C で相対湿度100%におけるイオン伝導度は4.4 × 10.3 S cm.1 と非常に高く、超イオン伝導体に分類されることがわかった。この超イオン伝導は、ニトロシル基と水分子が形成した水素結合ネットワークを介してバケツリレーのようにプロトン(H+)が運ばれるメカニズムで生じていることが示唆された。
 本物質のセシウム-鉄-モリブデンシアノ錯体は、光応答性が期待されるニトロシル基を含んでいるため光照射実験を行った。湿度が制御された容器内で錯体に532 nm 光を照射したところ、イオン伝導度は1.3×10.3 S cm.1 から6.3×10.5 S cm.1 へと二桁も低下した。一方、光照射後、時間経過にともない超イオン伝導は回復した。このような超イオン伝導体の光スイッチング現象の観測は、本研究が世界で初めてである。この光スイッチング現象は、モリブデンイオンとニトロシル基の結合角度が光照射で可逆的に変化する光異性化現象に起因しており、結合角度の変化により水素結合ネットワークが一部切断されることで、超イオン伝導を担っているプロトン伝導度が低下したものと考えられる。
 また、本物質は通常は共存しない超イオン伝導性と極性結晶構造が共存する材料であることが分かった。強誘電体や焦電体などの極性結晶は、電気分極を有する誘電体(伝導率が10.8 S cm.1 以下)に分類され、電気抵抗の観点から超イオン伝導性と極性結晶構造は単一の材料には現れないため、その機能性に興味が持たれる。そこで、二次の非線形光学効果の一つであ
る第二高調波発生(SHG)の検討を行った。1040 nm のレーザーを試料に照射したところ、波長が半分の520 nm の光の出射が観測され、SHG 出射が確認された。SHG 顕微鏡によっても個々の粒子からSHG が観測されている。
 本研究は、全固体電池の固体電解質としての機能提案を念頭に行われた。光でイオン伝導度がスイッチングできる本物質の性質を使えば、将来、電池のON/OFF を光で行うこともできるようになると期待される。
 ◆用語解説
 〇極性結晶
 外から電界を与えなくても自発的な分極を有している結晶のこと。焦電体とも呼ばれる。
 〇超イオン伝導体
 イオンが電気を輸送する伝導体のうち、電解質水溶液の伝導率に匹敵する10.4 S cm.1 を超える高い伝導率を示す物質を、超イオン伝導体と呼ぶ。
 〇自発電気分極
 極性結晶では、外部から電界がかけられなくても、プラスの電荷を有する部分とマイナスの電荷を有する部分に偏りが生じており、電気分極を有する。これを自発分極と呼ぶ。
 〇第二高調波発生(SHG)
 物質にある波長の光を当てたとき、光の周波数が二倍、すなわち半分の波長の光が物質から出射される現象。
 〇光異性化
 構成する原子の数を保ったまま、構造(原子のつながり方)が変化することを異性化というが、この反応が光エネルギーによって起こること。
 〇強誘電体および焦電体
 極性結晶は焦電体とも呼ばれるが、中でも、外部電圧の極性を反転させることで自発分極の向きを可逆的に反転できる物質を強誘電体と呼ぶ。
 〇Cole.Cole プロット
 さまざまな周波数で測定したインピーダンス(Z) を複素平面に図示したもので、横軸に実部(Z’)、縦軸に虚部(Z”)をプロットした図を指す。測定対象がコンデンサ成分を含む場合、プロットは半円を描き、横軸を横切る点が伝導度の逆数である抵抗値に相当する。

 天気は晴れ。少し雲があるが、快晴。風がとても強く、冷たい。・・時間が戻った感じ。
 所用があり、郊外に出かけた。街道沿いに”モクレン”の花が咲き始めている。お隣の”サクラ”は満開だ。
 ”モクレン(木蓮)”と言えばこの木で、”シモクレン(紫木蓮)”とも呼ばれ、白い花の”ハクモクレン(白木蓮)”と対比される。”ハクモクレン(白木蓮)”の花期は終わったようで、”モクレン”の花期は現在。
 花は上向きで、全開せず半開状(開ききらない状態)に咲いている。花弁6枚、萼3枚、雄しべと雌しべは螺旋状に多数が付く。良い香りがする。
 名(木蓮:もくれん)の由来は、花がラン(蘭)に似ているから「木蘭(もくらん)」、ハス(蓮)に似ているから”木蓮(もくれん)”と呼ばれるようになった、と言う。因みに、モクレン属は地球上で最古の花木と言われ、白亜紀(恐竜時代、約1億年以上前)の地層から化石が発掘されている。
 モクレン(木蓮)
 別名:紫木蓮(しもくれん)、もくれんげ(木蓮花、木蓮華、木蘭花)
    マグノリア(Magnolia)
 モクレン科モクレン属
 落葉高低木(樹高は3m~5m)
 原産地は中国
 開花時期は3月~5月
 新葉が出る前に、紫紅色で卵形の大きな花を咲かせる
 咲くのは、白木蓮より少し遅い・・10日位かな
 花色は濃紅色(外側)・白色(内側)