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ヒト皮膚線維芽細胞からヒト褐色脂肪細胞を誘導する方法を開発

2020-04-12 | 健康・病気
 京都府立医科大学大学院医学研究科細胞再生医学戴平研究教授らの研究グループは、ヒト皮膚由来線維芽細胞を最適化された数種類の低分子化合物を添加した無血清誘導培地を用いて培養することにより、褐色脂肪細胞を誘導する方法を開発した。本研究成果は、英国科学雑誌「Scientific Reports」(英国時間:2020年2月28日)に掲載。
 褐色脂肪細胞は、脂肪を蓄えるための細胞ではなく、脂肪を燃焼し熱を産生する細胞として知られており、体温の維持や代謝の向上によって、肥満や糖尿病の予防に重要な役割を果たしていると考えられている。研究グループは、ヒト皮膚由来線維芽細胞から数種類の低分子化合物を添加した無血清培地を使用し、褐色脂肪細胞を簡便かつ短期間で誘導する方法を開発した。この誘導方法は、遺伝子の導入を行う必要がなく、動物由来成分や未知の成分を含む血清を使用しないため、基礎研究だけでなく、創薬研究にとって極めて重要である。また、この褐色脂肪細胞は上記の理由から安全性が高いことが想定され、将来的な臨床応用や細胞移植治療を行う上で大きなメリットとなる。今後、ciBAsを用いて褐色脂肪細胞がヒトの体内で発生する仕組みの解明や、体内の褐色脂肪細胞を増加させる機能性食品や薬の評価、個別化医療などに利用されることなどが期待される。
 研究成果のポイント
 ○数種類の低分子化合物を添加した無血清誘導培地を使用し、ヒト皮膚線維芽細胞から、褐色脂肪細胞ciBAs (chemical compound-induced brown adipocytes)を誘導する方法を開発した。
 ○ciBAs は、褐色脂肪細胞に特徴的な遺伝子発現を示し、ミトコンドリアによる酸素消費量が増加していることから、新規なヒト褐色脂肪細胞モデルとして利用可能である。
 ○ciBAsは、無血清培地を用いて簡便かつ短期間に誘導されることから、褐色化を促進する機能性食品の成分や既存薬の探索を目的とした創薬研究に最適であると考えられる。
 ○ciBAsは、個別化医療の他、将来的な細胞移植治療への臨床応用が期待される
 研究概要
 研究の背景
 食事や運動などの生活習慣において、エネルギーの摂取が消費を超えると肥満の原因となり、糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞などの重篤な疾患を発症する大きな要因となる。病的な肥満だけでなく、加齢に伴う基礎代謝の減少による軽度の肥満であっても、長期的にはこれらの代謝疾患のリスクと関連することが指摘されている。脂肪細胞には大きく分けて2種類あり、通常の脂肪を蓄える白色脂肪細胞と、脂肪を消費して熱に変換する褐色脂肪細胞がある。我々ヒトでは個人差が大きいですが、褐色脂肪細胞は首回りや胸回りの脂肪内に散在しており、活発な糖や脂肪の代謝を行っている。これらの褐色脂肪細胞は、褐色化(Browning)という現象により白色脂肪細胞から性質が変化したベージュ細胞に近いと考えられている。褐色化によるベージュ細胞の増加は、長期的な寒冷刺激や運動などによって起こると報告されているが、その発生メカニズムの詳細はまだ明らかとなっていない。
 -- --ダイレクトリプログラミング
 分化した細胞に特定の遺伝子を人為的に発現させることによって、目的の細胞を直接誘導する手法をダイレクトリプログラミングと言う。しかし、遺伝子の導入に基づいた方法では、細胞の機能や遺伝情報を損なう危険性がある。また、多能性幹細胞などから特定の細胞を分化させても、未分化の幹細胞が残留することによる腫瘍化のリスクが存在する。
 そこで我々はこれまで、細胞のシグナル伝達経路や転写因子を制御する低分子化合物を複数用いて、ヒト線維芽細胞から神経細胞や褐色脂肪細胞を誘導することに成功した。このように、遺伝子の導入を行わず低分子化合物のみで直接誘導することによって、安全性が高い細胞を短期間で誘導することができる。以前の研究から、5種類の低分子化合物を用いて低分子化合物誘導性褐色脂肪細胞ciBAs の誘導に成功したものの、創薬研究や臨床への応用には、誘導培地中の血清の使用が障害となっていた。
 本研究では、血清を使用しない無血清培地と、これに最適化された化合物カクテルを新たに同定し、簡便かつ短期間にciBAs を誘導する方法を開発した。
 研究の内容
 本研究では、まず褐色脂肪細胞の分化に重要なBMP7(骨形成タンパク質)というサイトカインを新たに使用すると同時に、前回ciBAs の誘導に使用した5種類の低分子化合物の組み合わせについて検討した。その結果、この5種類の中で骨形成タンパク質の機能を阻害する2種類の化合物を除くと、BMP7 はciBAs の誘導効率には影響を与えないものの、褐色脂肪細胞のマーカー遺伝子であるUcp1( Uncoupling protein 1 ) の発現を活性化させることがわかった。次に、無血清培地において、血清の代わりに特定の脂肪酸のみが結合したアルブミンを使用することで、脂肪酸の供給と細胞の安定性の向上を図った。この時、上記のBMP7 を使用した新しい化合物の組み合わせが、無血清培地下での誘導においても有効であることがわかった。また、血清の存在下ではciBAs の誘導に、TGF.シグナル伝達経路の阻害剤が必要であったが、無血清培地ではこの経路が活性化しておらず、この阻害剤を使用しない方がより効率よく誘導されることが判明した。
 このように最適化された化合物カクテル( Rosiglitazone 、Forskolin 、BMP7)を添加した無血清培地を用いて線維芽細胞を培養することで、2.4週間以内にciBAs が誘導される。また、このciBAs は、ヒトの褐色脂肪細胞(ベージュ細胞)に特徴的な遺伝子発現を示し、アドレナリン受容体作動薬によるUcp1 遺伝子の発現上昇が検出された。また、ミトコンドリアによる酸素消費量が増加していることから、細胞内の脂肪酸代謝が活性化していることを証明した。
 今後の展開
 近年、世界中で肥満者の増加が社会問題となっており、日本においても肥満が引き起こす糖尿病や循環器疾患が医療費高騰の大きな要因の一つとなってる。本研究では、ヒト皮膚線維芽細胞から数種類の低分子化合物と無血清培地を用いて、簡便かつ短期間に褐色脂肪細胞ciBAs を誘導する方法を開発した。この誘導方法は、遺伝子の導入を行う必要がなく、また動物由来成分や未知の成分を含む血清を使用しないため、基礎研究だけでなく創薬研究にとって必須の誘導方法となる。採取が難しいヒト褐色脂肪細胞(ベージュ細胞)の代わりに、ciBAs を新規な褐色脂肪細胞モデルとして用いることで、褐色化を促進する機能性食品の成分や既存薬の探索といった創薬研究に最適であると期待されるす。
 そして、これまで具体的な方法がなかった、日々の生活から機能性食品などの摂取により、体内でベージュ細胞を増加させることができれば、安全で画期的な肥満や糖尿病の予防になると期待される。また、ciBAs を用いて褐色脂肪細胞がヒトの体
内で発生する仕組みの解明に資することが期待されます。他にも我々の開発した誘導法により、複数の人から採取した線維芽細胞をciBAs に誘導し食品成分や薬の効果を解析することで、個々の人に合わせたより効果的な食品成分や薬の選択、また副作用の有無を解析するといった個別化医療への応用にも道が開けると期待される。無血清培地と低分子化合物で誘導されるciBAsは安全性が高いことが想定され、将来の臨床応用や細胞移植治療を行う上でも重要であると考えられる。

 今日の天気は晴れ。風も穏やか。明日は雨の予報なので、畑作業は雨の準備。
 畑までの道沿い、お庭に”ジューンベリー”の花が咲いていた。葉が完全に展葉する前に白い花が咲く。名(ジューンベリー)の如くに、6月(june:ジューン)には実が熟す。因みに、”ジューンベリー”の果実は酸味が弱く味に締りが感じられないので、酸味を補ってジャムなどにした方が味的には美味しい、と言う。
 ”ジューンベリー(June berry)”と呼んでいるのは、ザイフリボク属の同じ様な果実が付く種の総称であるが、”アメリカザイフリボク”とも呼ばれる。”ザイフリボク”との違いは、”ザイフリボク”は雄しべが20個・雌しべの花柱が5個で下部が合着している、”アメリカザイフリボク(ジューンベリー)”は雄しべが18個、1つの花柱の先が5分裂している。
 ジューンベリー
 別名:アメリカザイフリボク
 英名:Juneberry
 学名:Amelanchier canadensis
 バラ科ザイフリボク属
 落葉性広葉樹、低~中木
 原産地:北アメリカ北東部
 開花時期:4月~5月
 花は5弁で白色、果実は6月頃に熟す
 果実はスグリほどの小さな実で、熟すと赤から濃い紫へと色付く


18桁精度の可搬型光格子時計、東京スカイツリーで一般相対性理論を検証

2020-04-11 | 科学・技術
 理化学研究所の高本将男 専任研究員と東京大学大学院工学系研究科の香取秀俊教授(理化学研究所チームリーダー/主任研究員)らの共同研究グループは、島津製作所と共同で18桁精度の超高精度な可搬型光格子時計を開発した。成果は英国の光学専門誌「Nature Photonics(ネイチャー・フォトニクス)」に日本時間4月7日に掲載。
 東京スカイツリーの地上階と地上450メートルの展望台に設置した2台の時計の進み方の違いを測定し、この結果を国土地理院が測定した標高差と比較することで、一般相対性理論を従来の衛星を使った実験に迫る精度で検証することに成功した。原子時計を人工衛星やロケットに搭載して、宇宙空間と地表の間で約1万キロメートルの高低差をつけることで測定された従来の宇宙実験に比べて、今回開発した可搬型光格子時計を使うことで、1万倍以上少ない高低差で、同等の実験が可能になった。
 一般相対論的効果の多くは「宇宙スケール」の現象として議論されてきたが、18桁精度の原子時計では、わずか数センチメートルの「日常的なスケール」の高さの違いで時間の遅れが観測できる。この結果、従来の技術の範疇では考えられることのなかった、新たな「相対論的センシング技術」が誕生する。これまで実験室環境で実証されてきた超高精度な光格子時計の小型化・可搬化と実験室外運転の実証は、この「相対論的センシング技術」の実用化に向けた大きな突破口である。
 高精度な可搬型光格子時計は、プレート運動や火山活動などによる地殻の数センチメートル精度の上下変動の監視、GNSS(全球測位衛星システム)や高感度重力計と補完的に利用できる超高精度な標高差・重力場計測システムの確立など、将来の社会基盤への実装が期待される。
 ポイント
 〇18桁の精度(百億年に一秒のずれに相当)をもつ可搬型光格子時計の開発に世界で初めて成功した。
 〇東京スカイツリーの地上階と展望台に設置した2台の可搬型光格子時計を使って重力赤方偏移を高精度に観測し、一般相対性理論を検証した。本研究で得られた検証精度は、従来、1万キロメートルの高低差を必要とした衛星を用いた実験に迫る。
 〇高精度な可搬型光格子時計の実験室外運転の実証は、光格子時計の社会実装に向けた大きな一歩である。今後、プレート運動や火山活動などに伴う地殻変動の監視など相対論的センシング技術の実用化が期待される。
 成果
 これまで、最高性能のセシウム原子時計(16桁精度)を使っても、数日測定を続けてやっと10メートルの高低差による時間の遅れを観測できる程度であった。このため、相対論的効果で標高計測を行うことの(他の測量手法に対する)優位性を見出すことは困難であった。
 可搬型光格子時計を東京スカイツリーの地上階と展望台の2カ所に置き、それぞれが示す時間の進み方の違いを計測した。その結果、展望台では1日あたり4.26ナノ秒(ナノは10億分の1)、地上よりも時間が速く進んでいた。この差を基に、両者の高低差が452.603メートル、不確かさ39ミリであることが求められた。一方、確認のためにレーザーで高低差を測ると452.596メートル、不確かさ13ミリとなり高精度で一致した。可搬型光格子時計が、従来の実験室のものと同程度の性能を発揮することが示された。
 発表内容
 高精度な原子時計は、高精度に同期された時刻を必要とする高速大容量通信や衛星測位など現代社会の基幹技術である。現在、セシウム原子時計によって国際単位系の1秒が定義され、5千万年に1秒のずれに相当する精度が実現されている。この精度を100倍以上改善する光格子時計は、次世代の「秒」の定義の有力候補として注目され、世界中で研究が進んでいる。その精度はおよそ百億年に一秒のずれ(18桁の精度)に相当する。
 このような高精度な原子時計では、地上でわずか数センチメートルの高さの違いで、アインシュタインの一般相対性理論から導かれる時間の遅れによる周波数の変化「重力赤方偏移」効果が観測可能になる。時計周波数の重力赤方偏移を利用した標高差の計測は、時計の新しい応用「相対論的センシング技術」として注目されている。しかし、高精度な原子時計は実験室内のみで稼働できる複雑な装置となっていた。高精度な原子時計の小型化・可搬化と実験室外でも安定に動作できる堅牢化は、「相対論的センシング技術」の実用化の課題となっていた。
 研究グループは、実験室で使用していた大型光学定盤上のレーザー装置を含む光学系を集約し、制御系を含めてボックス化した。それにより、実験室環境で実現した時計の精度を劣化させることなく、システムの小型化・可搬化を実現し、実験室外の環境でも18桁精度を実現できるような可搬型ストロンチウム光格子時計を開発した。また、長時間安定に動作できるように合計17台のレーザー装置の周波数制御の自動化を図り、かつインターネット経由で遠隔操作が可能なシステムを構築した。
 研究グループは、可搬型光格子時計を東京スカイツリーの地上階と展望台の2か所に設置し、約450メートルの標高差を与えた。これらの2台の光格子時計の周波数差を測定することで、重力赤方偏移を求めた。この一方、GNSS測量、水準測量、レーザー測距などによる標高差測定と相対重力計による重力測定を組み合わせることで、2台の時計のおかれた地点間の重力ポテンシャル差(単位質量あたりの位置エネルギー差)を求めた。こうして求めた重力赤方偏移と重力ポテンシャル差を比較することで、一般相対性理論の検証実験を行った。
 実験の概要
 原子の共鳴スペクトルが、450メートル標高差でおよそ21ヘルツ分ずれていることが観測された。それぞれの時計で、スペクトルのピークに常に共鳴するようにレーザー周波数を制御し、共鳴周波数の差を数日にわたって平均化することで、高精度に時計の周波数差Δνを計測した。およそ1週間の平均化によって、展望台の時計が地上階の時計よりも相対周波数がΔν/ν=(49,337.8±4.3)×10-18だけ高い(時間が早く進んでいる)ことが計測された。その後、2台の時計を理化学研究所に持ち帰り、同じ高さに設置して測定した結果、相対周波数差は(-0.3±4.7)×10-18、つまり、計測に使った時計は18桁の精度で一致していることが検証された。
 一方、2台の時計の標高差Δhを、GNSS測量及び水準測量とレーザー測距の2つの方法で測定するとともに、相対重力計を使って重力加速度gを測定した。この結果から、2台の時計の重力ポテンシャル差gΔh/c2=(49,337.1±1.4)×10-18を得た。一般相対論によれば、重力赤方偏移は、重力ポテンシャル差に等しくなります(注)。時計で得られた重力赤方偏移と、従来の測定手法によって得られた重力ポテンシャル差を比較することで、この予言を(1.4±9.1)×10-5の精度で検証した。この成果は、およそ1万キロメートルの高低差を利用するロケット/人工衛星を使った相対論検証実験に迫る精度である。従来よりも1万倍高精度な原子時計を使うことで、宇宙実験に比べて1万倍以上少ない高低差で、同等の実験が可能になった。
 このような高精度な可搬型光格子時計を使えば、GNSS測量では検出が困難な数センチメートル精度のプレート運動や火山活動による地殻の上下変動の監視や、数時間から数年という時間スケール(注)で起こる地殻変動(標高変化)を精密に観測できるようになる。また、GNSSや高感度重力計と補完的に利用できる超高精度な標高差計測・測位システムの確立や、地下資源探査、地下空洞、マグマ溜まりの検出など、光格子時計は将来の社会基盤となる可能性を秘めている。今後、光格子時計の実用化に向けて、さらなる時計の小型化、可搬化が加速され、新たな測地技術への応用が期待される。
 ◆用語解説
 〇光格子時計
 2001年、香取秀俊東京大学大学院工学系研究科准教授(当時)が考案した次世代の原子時計。まず、「魔法波長」と呼ばれる特別な波長のレーザー光を干渉させて作った微小空間(光格子)に、レーザー冷却された原子を1つずつ捕獲し、原子同士の相互作用が起きないようにする。次に、これらの原子にレーザー光を当て、光を吸収する「原子の振り子」の振動数を精密に測定する。この光の振動を数えて、1秒の長さを決める。光格子全体には多数の原子を捕獲できるので、それらの「原子の振り子」の振動数を一度に測定して平均をとることで、短時間で時間を決めることができる。
 〇18桁の精度
 時計の精度は、ある時間経過した後の時間のずれで評価する。例えば、月差10秒の腕時計なら、(10秒)/(ひと月はおよそ2,600,000秒)から計算される、およそ4×10-6が時計の精度である。これを指数の数字を取って、6桁の精度の時計という。18桁の精度は、およそ百億年の間測定するとやっと1秒ずれる精度である。このような時計の精度は、時計の振り子の振動数の精度で決まる。
 〇一般相対性理論
 アルベルト・アインシュタインによって築かれた現代物理の基本理論の1つである。物質のまわりに生じた時・空間のひずみとして重力場を表現する。重力の強いところでは時間はゆっくり流れることも一般相対論から導かれることの1つである。
 〇重力赤方偏移
 重力が強いほど時間の進み方が遅くなるという現象。重力場中での光の波長が伸びる(低い周波数にシフトする)ことから「赤方偏移」と呼ばれている。重力赤方偏移の検証は、異なる慣性系間での実験を比較することを意味しており、「重力場中の実験と等加速度運動する系での実験は区別できない」とするアインシュタインの等価原理を検証することに相当する。この等価原理が破れていると、一般相対性理論の出発点が危ぶまれることになる。本研究では、その意味で「一般相対性理論の検証」という言い方をしている。
 〇注)
 今回の実験のように重力ポテンシャル差が十分小さいとき、極めていい近似になります。
 〇注)数時間から数年(以上)という時間スケールでセンチメートル精度の計測が可能なことも、光格子時計を使う相対論的センシング技術の特長である。光格子時計では多数の原子を使うことで短時間(数時間)で高精度な標高計測ができる。一方、原子時計の刻む時間は不変であることから、長期(数年、それ以上)の計測の安定性が保証される。このように、数時間から数年(以上)という時間スケールでセンチメートル精度が維持されることは、従来の水準測量や、GNSS測量にはない特長である。

 天気は晴れ、雲が少し多い。風が少しあり、少し冷たい。・・少し・少しの世界!。
 梅田川と仙石線が交差する所があり、堤防の近くに、”ハナモモ”が植えられている。この”ハナモモ”、花が咲き始めた。花は電車から見えるかな。
 ”モモ”には、果実を食用とする品種と、花を観賞する品種がある。花木として扱う品種は、”ハナモモ”と呼ばれる。”ハナモモ”は実を付けないと言われるが、幾らかは付いている。
 ”モモ”は縄文時代から栽培されており、江戸時代に”ハナモモ”の8品種の記述があり、この頃に改良が始まったとされる。現在の園芸品種の多くもこの時代のものが多いと言う。
 名(モモ)の由来には、果実(実)が赤いので「もえみ(燃実)」から転訛で「もも」となった説がある。
 花は桃の節句(雛祭り)に飾られる。桃の字の「兆」は「妊娠の兆し」の意味なので、桃が女性やひな祭りと関連があると言う。因みに、桃の木は万葉の頃から霊力のある木とされ、桃太郎(日本昔話)が有名だ。原典となる、「桃太郎の鬼退治」のお話は、中国から日本に伝わった話で、中国では犬は「仁」、猿は「知恵」、キジは「勇気」を示している、とか。
 モモ(桃)、ハナモモ(花桃)
 学名:Prunus persica
 バラ科サクラ属
 耐寒性落葉小高木
 原産地は中国、桃の字は中国から
 開花時期は3月~4月
 花は5弁花、栽培される園芸品種は八重咲きが多い
 花色は桃色・白色・紅色


世界初、光スイッチング効果を示す超イオン伝導体を発見

2020-04-10 | 科学・技術
 東京大学大学院理学系研究科大越慎一教授と筑波大学数理物質系所裕子教授の研究グループは、光スイッチング効果を示す超イオン伝導性極性結晶を発見した。本研究成果は、日本時間2020年3月17日(火)にNature Chemistry(ネイチャー・ケミストリー)のオンライン版で公開。
 発表のポイント
 〇光スイッチング効果を示す超イオン伝導体を世界で初めて発見した。
 〇この超イオン伝導体は、超イオン伝導性と極性結晶構造が共存しているために、第二高調波発生も示すことを明らかにした。
 〇超イオン伝導体は、全固体電池の固体電解質として用いられている。光でイオン伝導度がスイッチングできる本物質の性質を使えば、将来、電池のON/OFFを光で行うことができるようになると期待される。
 発表概要
 東京大学大学院理学系研究科の大越慎一教授の研究グループは、光スイッチング効果を示す超イオン伝導性極性結晶を発見した。
 この結晶は鉄-モリブデンシアノ骨格錯体にセシウムイオンを含んだ3次元ネットワークで構成される極性結晶構造の物質である。この物質は318K(45°C)において4×10-3Scm-1という高いイオン伝導度を示し、超イオン伝導体(注2)であることがわかった。本物質に、室温において532nmの光を照射したところ、イオン伝導性が1×10-3Scm-1から6×10-5Scm-1へ可逆的に変化し、イオン伝導性の光スイッチング効果が観測された。また、自発電気分極により第二高調波発生(SHG)を示す超イオン伝導体であった。光応答性およびSHG活性を示す超イオン伝導体はこれまでに例のない物質であり、燃料電池の電解質の機能提案につながることが期待される。光でイオン伝導度がスイッチングできる本物質の性質を使えば、将来、電池のON/OFFを光で行うことができるようになると期待される。
 発表内容
 イオン伝導体は、燃料電池、リチウムイオン電池や化学センサなど、さまざまな用途で使用されている。イオン伝導度が10.4 S cm.1 を超える高い伝導性を持つ固体材料を超イオン伝導体と呼ぶ。
 本研究において、発表者らは、光スイッチング効果を示す超イオン伝導性極性結晶を開発した。この結晶は、鉄-モリブデンシアノ骨格錯体にセシウムイオンを含んだ3 次元ネットワークで構成されるセシウム-鉄-モリブデンシアノ錯体(Cs1.1Fe0.95[Mo(CN)5(NO) ]・4H2O)という青色の物質である。結晶構造解析の結果、正の電荷をもつセシウムイオンと負の電荷をもつ鉄-モリブデンシアノ骨格の重心のずれにより自発分極を有する極性結晶であることがわかった。また、ネットワークを構築するニトロシル(NO)基の酸素原子と水分子からなる1 次元の水素結合ネットワークが存在していることも明らかとなった田。
 イオン伝導性測定の結果、45 °C で相対湿度100%におけるイオン伝導度は4.4 × 10.3 S cm.1 と非常に高く、超イオン伝導体に分類されることがわかった。この超イオン伝導は、ニトロシル基と水分子が形成した水素結合ネットワークを介してバケツリレーのようにプロトン(H+)が運ばれるメカニズムで生じていることが示唆された。
 本物質のセシウム-鉄-モリブデンシアノ錯体は、光応答性が期待されるニトロシル基を含んでいるため光照射実験を行った。湿度が制御された容器内で錯体に532 nm 光を照射したところ、イオン伝導度は1.3×10.3 S cm.1 から6.3×10.5 S cm.1 へと二桁も低下した。一方、光照射後、時間経過にともない超イオン伝導は回復した。このような超イオン伝導体の光スイッチング現象の観測は、本研究が世界で初めてである。この光スイッチング現象は、モリブデンイオンとニトロシル基の結合角度が光照射で可逆的に変化する光異性化現象に起因しており、結合角度の変化により水素結合ネットワークが一部切断されることで、超イオン伝導を担っているプロトン伝導度が低下したものと考えられる。
 また、本物質は通常は共存しない超イオン伝導性と極性結晶構造が共存する材料であることが分かった。強誘電体や焦電体などの極性結晶は、電気分極を有する誘電体(伝導率が10.8 S cm.1 以下)に分類され、電気抵抗の観点から超イオン伝導性と極性結晶構造は単一の材料には現れないため、その機能性に興味が持たれる。そこで、二次の非線形光学効果の一つであ
る第二高調波発生(SHG)の検討を行った。1040 nm のレーザーを試料に照射したところ、波長が半分の520 nm の光の出射が観測され、SHG 出射が確認された。SHG 顕微鏡によっても個々の粒子からSHG が観測されている。
 本研究は、全固体電池の固体電解質としての機能提案を念頭に行われた。光でイオン伝導度がスイッチングできる本物質の性質を使えば、将来、電池のON/OFF を光で行うこともできるようになると期待される。
 ◆用語解説
 〇極性結晶
 外から電界を与えなくても自発的な分極を有している結晶のこと。焦電体とも呼ばれる。
 〇超イオン伝導体
 イオンが電気を輸送する伝導体のうち、電解質水溶液の伝導率に匹敵する10.4 S cm.1 を超える高い伝導率を示す物質を、超イオン伝導体と呼ぶ。
 〇自発電気分極
 極性結晶では、外部から電界がかけられなくても、プラスの電荷を有する部分とマイナスの電荷を有する部分に偏りが生じており、電気分極を有する。これを自発分極と呼ぶ。
 〇第二高調波発生(SHG)
 物質にある波長の光を当てたとき、光の周波数が二倍、すなわち半分の波長の光が物質から出射される現象。
 〇光異性化
 構成する原子の数を保ったまま、構造(原子のつながり方)が変化することを異性化というが、この反応が光エネルギーによって起こること。
 〇強誘電体および焦電体
 極性結晶は焦電体とも呼ばれるが、中でも、外部電圧の極性を反転させることで自発分極の向きを可逆的に反転できる物質を強誘電体と呼ぶ。
 〇Cole.Cole プロット
 さまざまな周波数で測定したインピーダンス(Z) を複素平面に図示したもので、横軸に実部(Z’)、縦軸に虚部(Z”)をプロットした図を指す。測定対象がコンデンサ成分を含む場合、プロットは半円を描き、横軸を横切る点が伝導度の逆数である抵抗値に相当する。

 天気は晴れ。少し雲があるが、快晴。風がとても強く、冷たい。・・時間が戻った感じ。
 所用があり、郊外に出かけた。街道沿いに”モクレン”の花が咲き始めている。お隣の”サクラ”は満開だ。
 ”モクレン(木蓮)”と言えばこの木で、”シモクレン(紫木蓮)”とも呼ばれ、白い花の”ハクモクレン(白木蓮)”と対比される。”ハクモクレン(白木蓮)”の花期は終わったようで、”モクレン”の花期は現在。
 花は上向きで、全開せず半開状(開ききらない状態)に咲いている。花弁6枚、萼3枚、雄しべと雌しべは螺旋状に多数が付く。良い香りがする。
 名(木蓮:もくれん)の由来は、花がラン(蘭)に似ているから「木蘭(もくらん)」、ハス(蓮)に似ているから”木蓮(もくれん)”と呼ばれるようになった、と言う。因みに、モクレン属は地球上で最古の花木と言われ、白亜紀(恐竜時代、約1億年以上前)の地層から化石が発掘されている。
 モクレン(木蓮)
 別名:紫木蓮(しもくれん)、もくれんげ(木蓮花、木蓮華、木蘭花)
    マグノリア(Magnolia)
 モクレン科モクレン属
 落葉高低木(樹高は3m~5m)
 原産地は中国
 開花時期は3月~5月
 新葉が出る前に、紫紅色で卵形の大きな花を咲かせる
 咲くのは、白木蓮より少し遅い・・10日位かな
 花色は濃紅色(外側)・白色(内側)


世界で初めて、金属チタンをベースとした生体軟組織用接着材を開発

2020-04-09 | 科学・技術
 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)生体材料学分野の松本卓也教授、岡田正弘准教授、昭和大学、大阪大学、柳下技研株式会社の共同研究グループは、医療用金属材料であるチタンを表面処理することで、このチタンが真皮や筋膜などの生体軟組織と瞬時に接着することを見出した。この研究成果は3月23日、ドイツ科学誌「Advanced Materials Interfaces」のオンライン電子版で公開。
 発表のポイント
 〇世界で初めて、金属チタンをベースとした生体軟組織用接着材を開発した。
 〇開発した接着材は、粘着性などは全くないが、生体軟組織に対して高い親和性を持っており、軽く押し当てるだけで瞬時に真皮組織や筋膜に強く接着する。
 〇インプランタブル(人体への埋め込みが可能な)センサや医療用デバイスの体内固定への応用、組織接合や組織変形矯正など簡便な外科処置への応用が期待される。
 インプランタブルセンサや医療用デバイスの生体内への固定、生体組織どうしの接合といった目的のためには、高分子製の縫合糸が一般に使用されている。一方で、医療現場においてはこれら用途に簡便かつ迅速に使用できる生体組織用接着材の開発が強く望まれている。
 本チタン材料は一般的なチタン薄膜を一定温度下で酸処理しただけのものである。簡単な処理にも関わらず、このチタン薄膜は生体軟組織、特に真皮組織や筋膜組織に高い接着力を示すことが見出された。この酸処理によりチタン表面は疎水化するとともに著しい結合水量の減少が生じる。この状態が生体軟組織との疎水性相互作用を増強し接着力が生じるものと考えられる。研究グループによると、血液が固まる性質を利用した従来の医療用接着剤「フィブリンのり」と比べ、接着力は3倍以上だという。
 本研究成果は、簡便かつ迅速に強い接着力を示す生体親和性に優れた新しい接着材として、インプランタブルセンサや医療用デバイスの体内固定への応用、組織接合や組織変形矯正など簡便な外科処置への応用が期待される。
 研究者からのひとこと
 接着材というと糊やボンドを思い浮かべると思いますが、これらは化学反応の結果、液状のものが固化することで接着性を示します。今回の接着材はこのようなものとは全く別のものです。本材料は見た目はただの金属の薄膜です。にも関わらず、体の軟らかい組織(特に、真皮、筋膜)にそっとおいて、トントンと圧接するだけで、すぐに接着します。表皮とはくっつかないので、手にはくっつきません。世の中の既存の概念にはないものなので、想像しにくいかと思いますが、なかなか面白いモノです。

 天気は晴れ。少し風が強い。
 風が強いと、アチラコチラを見る散歩にはチョット辛い。・・対象となるお花が揺れ、焦点が定まらないからだ。
 風が少し穏やかになったら、何処からか良い香りがする。”ジンチョウゲ”の花、花期は3月・4月で満開だ。
 花から強い芳香を放つ庭木の代表格には、ジンチョウゲ(沈丁花)・クチナシ(梔子)・キンモクセイ(金木犀)がある。
 名(ジンチョウゲ;沈丁花)の由来は、香が沈香(じんこう)、葉の形が丁子(ちょうじ)に似ているからと言う。漢名は、瑞香(ずいこう)、良い香りを愛でて付けられた。
 ジンチョウゲの品種は、花の蕾が赤で開くと薄いピンク交じりの白となる赤花品種(ウスイロジンチョウゲ)と、蕾から開花まで白の白花品種(シロバナジンチョウゲ)がある。どうも白花が先に咲き、少し遅れて赤花が咲くのかな。
 雌雄異株だが流通する苗木の殆どが雄株で、雌株は極めて少ないとの事。花はどちらも同じで外観からは区別がつかないと言う。雌株は紅色の果実を付けるが有毒、でも日本では殆どお目にかからない。
 ジンチョウゲ(沈丁花)
 学名:Daphne odora
 ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属
 常緑低木、丈は0.5m~1.5m
 雌雄異株、日本では殆どが雄株
 中国中部・ヒマラヤに分布
 日本には室町時代に薬用として渡来
 花期は3月~4月、花から強い芳香を放つ
 白い花弁に見える部分は萼(がく)で、花弁状に変化したもの。・・花姿が長く持つ。


学士院賞に斎藤氏ら9人に、北氏にエジンバラ公賞

2020-04-08 | 学問
 日本学士院は、優れた業績を上げた研究者に贈る日本学士院賞に、哺乳類で生殖細胞が発生する仕組みを解明した斎藤通紀・京都大高等研究院教授ら9人を選んだと発表した(4月6日)。斎藤氏には恩賜賞も贈る。自然保護分野の優れた研究を隔年でたたえる日本学士院エジンバラ公賞に、北潔・長崎大熱帯医学・グローバルヘルス研究科長を選んだ。
 日本学士院賞・恩賜賞
 斎藤通紀:京都大教授、細胞生物学・発生生物学。哺乳類の多能性幹細胞から生殖細胞を作り出す研究で、発生機構を解明。49歳。
 日本学士院賞
 田口正樹:東京大教授、西洋法制史。中世後期ドイツの国王裁判権の実態を、史料に基づき解明。54歳。
 神林龍:一橋大教授、労働経済学。非正規雇用の増加原因の分析などを通じ、日本の労働市場の全体像を提示。48歳。
 川合真紀:分子科学研究所長、物理化学・表面科学。固体表面に吸着した分子の研究で、触媒の機構解明に貢献。68歳。
 小嶋稔:東大名誉教授、地球惑星物理学。希ガスの同位体分析で、地球の大気や海の起源、進化論の基礎を構築した。89歳。
 岡田恒男:東大名誉教授、建築学。鉄筋コンクリート製の建築物の耐震性能を表す指標を開発し、耐震診断や改修に貢献。84歳。
 喜連川優:国立情報学研究所長、情報学。大量のデータ処理を飛躍的に高速化させる手法を開発。64歳。
 佐野輝男:弘前大教授、ウイロイド学。農作物に被害をもたらすウイロイドの病原性を解明し、診断や防除に貢献。64歳。
 間野博行:国立がん研究センター研究所長、ゲノム医科学・分子腫瘍学。肺がんの原因遺伝子を発見。がんゲノム医療の発展に貢献。60歳。
 日本学士院エジンバラ公賞
 北潔:長崎大熱帯医学・グローバルヘルス研究科長、生化学・寄生虫学。細菌や寄生虫、がん細胞などが低酸素環境に適応する仕組みを解明、新薬開発に向けた研究につなげた。69歳。
 〇授賞理由(斎藤通紀) 日本学士院より
 斎藤通紀氏は、マウス生殖細胞の形成機構を解明し、マウス多能性幹細胞から始原生殖細胞様細胞を試験管内で誘導、精子や卵子、健常な産仔を作出することに成功しました。その実験系に基づき、エピゲノムリプログラミングや卵母細胞分化機構・減数分裂誘導機構など、生殖細胞の発生における基幹現象の分子機構を解明しました。斎藤氏は、カニクイザル初期胚の発生機構を解析し、マウス・サル・ヒトにおける多能性細胞系譜の特性や霊長類生殖細胞の発生機構を解明するとともに、ヒトiPS細胞から始原生殖細胞様細胞、さらに卵原細胞を誘導し、ヒト生殖細胞発生過程の試験管内再構成研究の礎を築きました。斎藤氏の研究は、生命の根源たる生殖細胞の発生機構を解明することでヒトや霊長類の進化機構を明らかにするのみならず、不妊や遺伝病・エピゲノム異常の原因究明につながり、医学に新しい可能性を提示するものです。
 用語解説
 多能性幹細胞
 自己複製能力と、身体を構成するほぼ全ての細胞に分化する能力を持つ細胞。受精卵から発生する胚盤胞を培養することで樹立される胚性幹細胞(embryonic stem cells: ES細胞)や、皮膚等の体細胞に特定因子を導入することで作製される人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells: iPS細胞)の総称。
 始原生殖細胞
 発生初期に形成される、精子や卵子の起源となる細胞。始原生殖細胞は、オスでは前精原細胞を経て精原細胞、精子へと、メスでは卵原細胞を経て卵母細胞、卵子へと分化する。始原生殖細胞様細胞は、多能性幹細胞から試験管内で誘導した、始原生殖細胞によく似た性質を持つ細胞。
 エピゲノムリプログラミング
 DNAの塩基配列を変えることなく、DNAやヒストンタンパク質に付与される様々な化学修飾(メチル化やアセチル化等)を介して遺伝子の働きを制御する仕組みをエピジェネティク制御と呼ぶ。エピゲノムとはエピジェネティク制御が付与されたゲノムの総体のことで、エピゲノムリプログラミングとは、始原生殖細胞の発生中にエピゲノムが大規模に再編成されることをいう。
 減数分裂
 父母由来の一対の染色体を持つ細胞(二倍体:始原生殖細胞、精原細胞、卵原細胞等)から、一倍体の細胞(精子、卵子)を形成する細胞分裂のことで、生殖細胞特異的に起こる。減数分裂前期では父母由来の相同染色体の間で組換えが起こり、その後、2回の細胞分裂により、まず相同染色体が、次に姉妹染色分体が分離され、一倍体の配偶子(精子、卵子)が形成される。相同染色体間の組換えにより新たな遺伝情報の組み合わせを持つ染色体が形成され遺伝的多様性を創り出す。

 朝から晴れ。夕方から夜にかけて雨の予報。・・畑にとっては恵の雨となる。
 道沿いの空き地で咲いている花、スズランの様な・”スイセン”の様な・”スノーフレーク”。フレーク・・小雪のかたまり”の意味らしい。別名は鈴蘭水仙(すずらんずいせん)、スズランに似た白い花の花弁の先に緑色の斑点が特徴だ。
 似た花に、”スノードロップ”があり、緑色の斑点が内冠にあるのが特徴。私は、両者を取り違える事が多い・・何故だろう。”スノードロップ(ガランツス・エルウィジー)”は、ヒガンバナ科ガランサス属、開花期は2月~3月である。
 スノーフレーク(Giant Snowflake)
 別名:鈴蘭水仙(すずらんすいせん)、大待雪草(おおまつゆきそう)
 学名:Leucojum aestivum
 ヒガンバナ科スノーフレーク属
 原産地は地中海沿岸
 多年草(秋植の球根草)
 開花時期は3月~5月
 地際から花茎を1~数本伸ばし、先端に花が数輪咲く
 花径は1.5cm程で釣り鐘状
 花色は白、花びらの先端に緑色の斑点


ペットにかけた年間費用、犬に30万円・猫に16万円

2020-04-06 | 日記
 ペット保険のアニコム損害保険株式会社保」は、同社の保険契約者がペットにかけた1年間の出費(2019年)をまとめて発表した(3月31日)。結果は、アニコム損保のペット保険契約者5,000名以上から得られた回答から。
 小型犬:回答が最も多かった、年間の出費は平均30万円弱
 中型犬:ほぼ同等の31万円だったが、大型犬では食費、しつけ・トレーニング料等も大幅にアップして、45万円だった
 猫の費用:16万円だった。
  項目別の支出では犬猫ともに「フード・おやつ」がトップで、年間約5万円。
  「治療費」と「保険」を加えた3項目が支出の中で大きな割合を占めた。
  犬ではシャンプー・カット等の費用が4位に入ったが、猫では光熱費が4位だった。
 アニコム損保では今回初めて、エキゾチックアニマルも調査の対象に含めた。
 うさぎ、鳥、フェレット、ハムスター、ハリネズミのうち最も費用が高かったうさぎは平均約8万8000円、最も低かったハムスターは平均約2万4000円だった。
 ペットフード協会による2019年(令和元年)全国犬猫飼育実態調査によると、
 推計飼育頭数  全国合計は、1,857万5千頭
  犬:879万7千頭、猫:977万8千頭(猫の頭数調査結果には外猫の数は含まれない)
 生涯必要経費
  犬:全体 2,004,139円 超小型:2,201,448円 小型:1,864,155円 中・大型:1,903,980 円
  猫:全体 1,344,751円 外に出る:1,375,716円 外に出ない:1,391,199 円

 天気は晴れ。風が少し強く、最高気温11℃とあるが体感気温は数度かな。
 近所のお庭に”シデコブシ”に花が咲きだした。花は直径10cm程で、花弁はピンク色や白色に紅色を帯び、10~20枚と多い。コブシとの違いは、この花片の多さと形状。”コブシ(辛夷)”は、”モクレン”似で花弁6枚。
 名(シデコブシ:幣拳、四手辛夷)の由来は、花の形が神前に供えられる玉串や注連縄(しめなわ)に付けられる紙製の飾り「幣(しで)、四手」に似ているから。
 ”シデコブシ”は、湿地周辺という限られた立地に生育する種で、生育基盤の脆弱な種である。開発などで減少しつつある種であり、準絶滅危惧種に指定されている。
 シデコブシ(幣拳、四手辛夷)
 別名:ヒメコブシ
 学名:Magnolia stellata
 日本の固有種、本州中部の東海地方を中心とした限られた範囲に分布
 低山に生える落葉小高木または低木
 開花時期:3月末~4月上旬
     葉に先立って咲く
 花片の長さは7~10cmと細長く、数は10~20枚と多い
 色には変異があり、白色から淡紅色
 花被片の縁は多少波を打つ
 集合果は垂れ下がり、長さ3~7cm、赤熟する


筋ジストロフィーの治療標的となり得る新規の因子を発見

2020-04-05 | 医学
 東北大学大学院医学系研究科神経内科学分野の青木正志教授らの研究グループは、ジスフェルリンタンパク質の異常によって発症する筋ジストロフィー(ジスフェルリン異常症)の治療標的となり得る新規の因子を発見した。東北大学医学系研究科神経内科学分野の小野洋也非常勤講師、鈴木直輝非常勤講師、割田仁院内講師、青木正志教授らの研究グループは、菅野新一郎講師(東北大学加齢医学研究所)、林由起子教授(東京医科大学病態生理学分野)、三宅克也教授(国際医療福祉大学基礎医学研究センター)らと協力した。本研究成果は、米国遺伝子細胞治療学会の機関誌である「Molecular Therapy」のオンライン版に、米国時間2020年2月12日に掲載。
 ジスフェルリン異常症は、筋肉細胞の膜タンパク質ジスフェルリンの異常によって引き起こされる成人発症の筋ジストロフィーの総称である。ジスフェルリンの欠損によって、筋細胞膜の損傷時の修復機能が損なわれ、その結果として筋細胞の変性・壊死が生じ、筋肉の萎縮と筋力の低下につながると考えられている。研究では、ジスフェルリンに結合するタンパク質として新たにAMPK複合体を同定し、AMPK活性化剤(アカデシン)を投与することにより、ジスフェルリン異常症患者由来の筋細胞膜の修復機能が改善することを見出した。さらに、薬剤(メトホルミン)投与によりAMPKを活性化させると、ジスフェルリン異常症のモデル動物での筋力低下や筋損傷を改善することを示した。本研究で得られた知見から、ジスフェルリン異常症の治療法の開発が進むと期待される。
 発表のポイント
 〇筋細胞の膜タンパク質ジスフェルリンの欠損によって発症する筋ジストロフィー(ジスフェルリン異常症)は、筋細胞膜の損傷時の修復機能が損なわれ、筋肉の萎縮と筋力の低下といった障害を示す根治療法のない国の指定難病である。
 〇筋細胞膜の修復に必要な分子として、AMPKタンパク質複合体を新規に発見した。
 〇薬剤によるAMPKの活性化によって、ジスフェルリン異常症患者由来の筋細胞膜修復機能およびジスフェルリン異常症モデル動物の筋力低下や筋損傷を改善させることができた。
 研究内容
 国の指定難病である筋ジストロフィーは、いまだ根治療法のない難治性の遺伝性疾患で、筋肉の萎縮や筋力の低下といった障害を示す進行性の筋疾患である。この疾患では、筋細胞膜を構成するタンパク質の異常や欠損、筋細胞膜の損傷からの修復に必要な機構の破綻によって、筋細胞が正常に維持されなくなることが原因であるとされている。
 東北大学医学系研究科神経内科学分野は、1998 年に筋細胞の膜タンパク質ジスフェルリンの欠損によって発症する筋ジストロフィー(ジスフェルリン異常症)の原因遺伝子を同定して以来、臨床遺伝子診断を通じてジスフェルリン異常症の病態解明に貢献してきた。ジスフェルリンは筋細胞膜の修復に重要な役割を持つことが明らかにされており、近年、ジスフェルリンに結合し、筋細胞膜の修復に関与するタンパク質が存在することが報告されているが、筋細胞膜の修復の分子機構の詳細は不明のままであった。
 本研究では初めに、ジスフェルリンの一部分に結合するタンパク質を培養細胞の抽出物から単離し、質量分析装置を用いたプロテオミクス解析によって複数の結合タンパク質を同定した。つぎに、同定された候補タンパク質の一つであるAMPK に注目し、このタンパク質が筋細胞膜の障害に対してどのように働くのか、レーザー照射による筋細胞膜障害実験によって解析した。結果、マウスにおいてレーザー照射により骨格筋を損傷させると、AMPK タンパク質複合体が損傷部位に集積し、また、筋肉由来の培養細胞においてAMPKの働きを抑制すると筋細胞膜修復機能が低下することを発見した。さらに、ジスフェルリンを欠損させたマウスにおいてレーザー照射により骨格筋を損傷させると、AMPK 複合体の損傷部位への集積が遅延することから、ジスフェルリンがAMPK 複合体の集積に必要であり、AMPK 複合体集積の足場として機能している可能性を見出した。また、ジスフェルリンに変異をもつ患者由来の培養細胞において、AMPK を活性化する薬剤(アカデシン)を投与すると筋細胞膜修復が改善することを明らかにするとともに、ジスフェルリン異常症のモデル動物(ゼブラフィッシュおよびマウス)において、AMPK 活性化剤メトホルミンを投与すると骨格筋の障害が改善することを確認した。
 本研究で得られたAMPK複合体が損傷を受けた筋細胞膜の修復において重要な役割を担っているという新たな知見は、根治療法がいまだないジスフェルリン異常症の治療法の開発に結びつく可能性がある。本研究で得られた知見を発展させることで、ジスフェルリン異常症のみならず、筋ジストロフィー全体の新しい治療法の開発が進むことも期待される。
 ◆用語説明
 〇ジスフェルリン
 筋肉細胞に存在する2080 アミノ酸残基からなる巨大タンパク質。
 〇 AMPKタンパク質複合体
 AMP活性化タンパク質リン酸化酵素(AMPK)の複合体。細胞内のエネルギー源であるATP(アデノシン-3-リン酸)が
分解されてできるAMP によって活性化されることから、細胞内のエネルギーセンサーとしての役割を担っている。
 〇質量分析装置
 タンパク質を分解した断片を大きさ(質量)によって分離し、どのようなタンパク質が含まれていたかを分析できる装置。
 〇プロテオミクス解析
 生体サンプルに含まれるタンパク質の種類を網羅的に解析する技術。
 〇ゼブラフィッシュ
 モデル生物として研究に使用される熱帯魚。
 ゼブラフィッシュの筋組織は形態・機能の面でヒト筋組織とよく類似しており、ヒト疾患の原因遺伝子について変異体を作成することで、疾患の原因解明・治療法開発に繋げることができる。

 朝は曇り、時々小雨がパラパラと。午後から晴れてきた。風は1日中少し強い。
 4月に入り、サクラが咲けば季節は春本番となる。先月末に仙台管区気象台では開花宣言をした。3月28日の開花宣言は、平年より14日、昨年より8日早い・・畑の種まきも早くなる!!。
 いつもの散歩道のサクラも満開だ。
 サクラ(桜)はバラ科サクラ属サクラ亜属の樹木の総称。
 日本には固有種・交配種を含め600種以上の品種が確認されている。
 その中の”染井吉野:ソメイヨシノ”は、江戸末期に染井村(現在の東京都豊島区巣鴨・駒込あたり)の植木職人が、吉野桜として出したと伝えられる。明治以降日本全国各地に広まり、サクラの中で最も多く植えられた品種となった。
 この吉野桜は大島桜と江戸彼岸の雑種説が定説である。一代交雑種であり、自家交配の結実はほとんどない。このため、殖やすのは挿し木となる。
 ◆サクラの語源
 サクラの語は有史以前からある。語源の存在は不明、だがよく知られる説がある。
 〇「咲く」に複数を意味する「ら」を加えたもの、花の密生する植物全体を指す
 〇春に里にやってくる稲(サ)の神が憑依する座(クラ)をいう
 〇花の種をまいて花を咲かせたとされる、「コノハナノサクヤビメ(木花之開耶姫)」の「さくや」から


新小学1年生の就きたい職業、男子はスポーツ選手、女子はケーキ屋さん

2020-04-04 | 受験・学校
 クラレ(樹脂・化学品・繊維等の製造・販売会社)は、2020年版「新小学1年生の将来就きたい職業」「親の就かせたい職業」を発表した(4月2日)。調査は2019年7月~2019年12月、同社製ランドセルを購入した2020年4月に小学校に入学する子ども4,000名(男女各2,000名)とその親4,000名を対象に、インターネットで行われた。
 新小学1年生の男の子が将来就きたい職業は、22年連続の1位で「スポーツ選手」。2位は「警察官」、3位は「運転士・運転手」だった。スポーツ選手の内訳をみると、サッカー、野球に続き、ラグビーが人気を集めた。
女の子の将来就きたい職業は、調査開始以来22年連続で「ケーキ屋・パン屋」が断トツの1位。内訳をみると、特に、ケーキ屋とパティシエの人気が高く、あわせて8割ほどを占めた。2位は「芸能人・歌手・モデル」、3位「看護師」、4位「花屋」「保育士」と、10位までの顔ぶれは昨年と同様の結果となった。
男の子の親が子どもに就かせたい職業は、1位「公務員」、2位「医師」、3位「会社員」で、「スポーツ選手」が初めてトップ3落ちとなり、安定志向が強まっていることが伺えた。
 女の子の親が就かせたい職業は、1位「看護師」、2位「公務員」、3位「薬剤師」という結果に。調査開始以来連続1位の「看護師」をはじめ、3位「薬剤師」、4位「医師」、5位「医療関係」と、医療系の職業が引き続き人気を集める結果となった。
 ◇新小学1年生が将来就きたい職業(2020年)
   女の子          男の子
 1 ケーキ屋・パン屋 26.0%  スポーツ選手 18.8%
 2 芸能人・歌手・モデル 8.8  警察官 15.1
 3 看護師 6.0         運転士・運転手 9.5
 4 花屋  5.4         消防・レスキュー隊 7.8
 5 保育士 5.4         TV・アニメキャラクター  5.5
 6 アイスクリーム屋 4.9    研究者  4.7
 7 医師   4.7        ケーキ屋・パン屋 3.9
 8 教員   4.6        医師 3.4
 9 警察官   3.7       大工・職人 2.6
 10 美容師  3.5       ユーチューバー 2.4
 ◇新小学1年生の親が就かせたい職業(2020年)
   女の子の親    男の子の親
 1 看護師 17.9     公務員 19.8
 2 公務員 11.9     医師  8.6
 3 薬剤師 7.9      会社員  8.2
 4 医師  6.8      スポーツ選手  8.0
 5 医療関係 6.0     警察官  6.7
 6 会社員  5.1     消防・レスキュー隊  6.1
 7 ケーキ屋・パン屋 4.9  研究者  5.0
 8 教員  4.3      エンジニア  3.8
 9 保育士  3.9     運転士・運転手  3.6
 10 芸能人・歌手・モデル 3.7  医療関係  2.6

 晴れ。気温は、最高気温16℃とかで暖かい、吹く風が少し強く冷たい・・暖かさを体感できない。
 街道(利府街道)沿いにある大きな木、”ギンヨウサカシア”、花が満開となっている。花色は輝く黄色、1cm程の球状の花が幾つも集まり、この集まりが集まり、迫力ある黄花のかたまりだ。
 ”ギンヨウアカシア(銀葉アカシア)”のギンヨウ(銀葉)とは、葉が偶数2回羽状複葉(小葉が葉軸の左右に羽状に並ぶ)で白い粉を被った様な銀緑色だから。同じ様な花を咲かせるフサアカシア(房アカシア、ギンヨウと同科同属)は、ギンヨウより葉・花とも大きい。特に葉は、ギンヨウの小葉は8~20対位だがフサの小葉は30~40対位である。
 ”ギンヨウアカシア”、”フサアカシア”は”ミモザ”と呼ばれる事があるが、本来の”ミモザ”は”オジギソウ(オジギソウ属の学名)”のことである。
 ギンヨウアカシア(銀葉アカシア)
 別名:ミモザアカシア、ハナアカシア
 英名:golden mimosa、Cootamundra wattle、Bailey's acacia
 学名:Acacia baileyana
 マメ科(ネムノキ科)アカシア属
 原産地はオーストラリア
 常緑高木(樹高は5m~10m)
 開花時期は2月~4月
 花色は輝く黄色、小さな球状の花が塊となって咲く
 実は沢山の豆果、枝から垂れ下がる


混ぜると自ら伸びる超分子ポリマーの開発に成功

2020-04-03 | 科学・技術
 千葉大学グローバルプロミネント研究基幹の矢貝史樹 教授を中心とする国際共同研究チームは、酸素原子が1つ異なる2種類の分子を混ぜると、分子の認識で形成されたユニットが積層するという全く新しい超分子重合を実現した。さらに、ある温度帯で一気に構造が崩壊するというこれまでになかった熱応答性を示すポリマー材料の創製に成功した。この成果は、刺激に対して高速で応答して状態を変えるソフトマテリアルの設計指針となることが期待される。本研究の成果は、「Nature Communications」にて 2020年4月1日に公開。
 研究の背景
 分子(モノマー)が弱い可逆的な相互作用(非共有結合)によって結合したものは「超分子ポリマー」と呼ばれ、近年スマートソフトマテリアルとして注目を集めている。超分子ポリマーは、共有結合という強い結合で重合した従来のポリマーと比較して、多様な機能を持った分子を簡単に高分子化することができ、分解が容易で自己修復が可能であるなど、従来のポリマーにはない性質を持っている。分子構造を緻密にデザインした超分子ポリマーを開発することで、より高度な環境応答性を示すポリマー材料設計が可能になる。
 研究成果
 研究チームは、今回、わずかに分子構造の異なる2種類のモノマーを混ぜるだけで分子認識によるユニットの形成によって駆動される超分子重合法の開発に成功した。
 研究チームではこれまで、脂溶性ナフタレン誘導体の1つが、有機溶剤中で水素結合によって風車状ユニットを形成し、このユニットが曲率を生み出しながら弱い力で積層(超分子重合)することで、リング状の超分子ポリマーを形成することを見出していた。また、そのナフタレン誘導体に酸素原子を1つ付加した分子は、電気陰性度が大きい酸素原子によってナフタレン
部位の電子密度が減少することで積層様式が変化し、曲がることなくまっすぐに伸びたファイバー構造を形成することも明らかにしていた。
 今回、研究者らは、2つのナフタレン分子を混合することで、ナフタレン部位の電子密度の違いによって分子が引き合う力を利用し、超分子高次構造の曲率の度合いを制御できるのではないかとの仮説のもと、実験を行った。2種の分子を有機溶媒中で混ぜたのち、構造体を乾燥させて原子間力顕微鏡(AFM)で観察した結果、はじめにアモルファス構造と呼ばれる明確な構造がない状態が観察された。その後、このアモルファス構造溶液を室温で放置したところ、数日かけて徐々にらせん構造が形成していく様子が観察された。また、このらせん構造の形成は、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所フォトンファクトリーBL-10C における小角X 線散乱測定によっても確認できた。
 続いて、このアモルファス構造から、らせん構造の形成メカニズムを明らかにするため、様々なスペクトルを測定した。その結果、アモルファス構造の状態では、赤と緑の分子がランダムに集合してできる多様な風車状ユニットで構成されているものの、らせん構造は、赤と緑の分子が交互に配列した統合型風車状ユニットからなることがわかった。この統合型ユニットが
形成される仕組みとして重要なのは、積層することで、電子に富んだ赤分子と電子が不足した緑分子の電子的な相互作用を最大にでき、エネルギーが安定化することであると考えられる。
 研究チームは、この電子的な相互作用によって、風車状ユニット間が重合する力も強くなることから、統合型ユニットはリングで止まらずにらせん構造へと自発的に成長することを見出した。また、らせん構造の分解メカニズムを調べるため、らせん構造の溶液を加熱したところ、45 ℃から50 ℃という非常に狭い温度範囲でアモルファス構造へと一気に崩壊するという現象が確認された。従来、溶液中における超分子ポリマーの熱分解は、その末端や欠陥部位から徐々に起こることが一般的である。今回の超分子ポリマーにおいては、2つの分子が交互に並んだ統合型ユニットの積層は非常に強く、温度に対してある程度の耐性を示すが、その内部では、温度上昇に伴ってより乱雑になろうとする傾向が強くなる。このらせん構造は、ある温度においてエネルギーの均衡が崩れることで一気に崩壊するという、これまでにない分解メカニズムを持っていることが明らかになった。
 今後の展望
 本研究のプロジェクトリーダーである矢貝史樹 教授は次のように述べています。「今回、モノマーが風車状のユニットを介して階層的に超分子ポリマーを形成し、そのユニットの組成が超分子ポリマーの形成を支配することが明らかになりました。また、この仕組みを利用すれば、温度に対して鋭敏に応答する高分子材料を生み出すことができることもわかりました。今後、さらに多様な分子を用いることで、より様々な刺激に対して高速に応答する新たなソフトマテリアルの材料の創出が可能になると期待されます。」
 ◆用語解説
 〇分子認識
 分子が他の分子を見分ける現象。水素結合、配位結合、疎水効果、ファンデルワールス力、π.π 相互作用、静電相互作用などの分子間相互作用によって起きる。例えば、生体内でDNA は遺伝情報を保存するために二重らせんを形成しているが、この二重らせんを形成するための対となるDNA 鎖を構成要素間の水素結合によって分子認識している。

 朝から晴れ。気温は、最高気温18℃と温かい・・でも風はヒヤリと冷たい。
 建物の敷地にある植生地、”ツクシ”の林となっている。
 ”ツクシ”はスギナの胞子茎(胞子穂、胞子体とも言う)で、胞子茎(ほうしけい)とは胞子嚢(ほうしのう、胞子が入っている袋)をつける茎。ツクシの後に続いて、横から栄養茎(主軸の節ごとに取り巻くように細い線状の葉が付く)が出てくる・・これがスギナ(杉菜)。”ツクシ”群の中に、”スギナ”がまだ見えない。
 名(ツクシ)の由来は、”スギナ”に付いているから付子(ツクシ)説、ツクヅクシ(突く突くし、突出している様子)の転訛のツクシ説、突々串〈つくつくくし、串の様に突き出ている)からの説、澪標(みをつくし、航路標識:水から突きでた柱)からの説、などがある。漢字での「土筆」は、土から伸びる筆の姿を表している。
 因みに、ツクシは食用となる・・「胞子のほろ苦さと茎の歯ざわりは最高」らしい。
 ツクシ(土筆、付子)
 英名:horsetail(馬の尻尾)
 スギナ(杉菜)の胞子茎、スギナはトクサ科トクサ属
 出る時期は、桜の開花と同じ頃の3月下旬~4月上旬
 スギナ(杉菜);緑色の細い葉は4月頃に見る


2019年度升田幸三賞、将棋ソフト「elmo(エルモ)」の「エルモ囲い」

2020-04-02 | 世相
 「第47回将棋大賞」の選考委員会が、東京都内で開かれた(4月1日)。
 最優秀棋士賞に渡辺明棋聖(35)棋王・王将が選ばれた。渡辺棋聖は昨年のヒューリック杯棋聖戦で自身初の棋聖位を獲得し、3冠に復帰した。今年に入り、王将戦、棋王戦と続けて防衛を果たし、3冠を堅持。順位戦A級も制し、今月開幕する名人戦への挑戦権も決めた。最優秀棋士賞の受賞は2回目。
 優秀棋士賞は豊島将之竜王・名人(29)が受賞。特別賞は史上最年長(46歳3ヵ月)で初タイトルを獲得した木村一基王位(46)が選ばれた。
 高校生棋士の藤井聡太七段(17)は53勝12敗(未放送のテレビ対局を含む)、勝率8割1分5厘で、勝率はプロ入りから3年連続1位、勝利数は2年ぶり2回目の1位(デビュー年は対局数が少ないため対象外)となった。
 敢闘賞:永瀬拓矢二冠(初) 新人賞:本田奎五段 最多対局賞:佐々木大地五段 67対局(初)
 最多勝利賞:藤井聡太七段 53勝(2回目) 勝率1位賞:藤井聡太七段 53勝12敗 0.815(3年連続3回目)
 連勝賞:永瀬拓矢二冠 15連勝(2019/2/22~2019/4/23)(3回目) 最優秀女流棋士賞:里見香奈女流四冠(5年連続10回目) 優秀女流棋士賞:伊藤沙恵女流三段 (2回目) 女流最多対局賞:伊藤沙恵女流三段 (3年連続3回目)46局
 東京将棋記者会賞:高橋和女流三段 升田幸三賞:elmo(エルモ囲い) 升田幸三賞特別賞:脇謙二八段(脇システム)
 ◆将棋大賞
 将棋大賞は、毎年度功績を残した将棋棋士などに日本将棋連盟から与えられる賞である。将棋大賞における受賞年は「前年度の記録・活躍」が対象となる
 第1回の表彰は1974年に行われた。記録に関する賞以外は選考委員によって決定され、その模様は『将棋世界』誌に掲載される。
 升田幸三賞
 「升田幸三賞」および「升田幸三賞特別賞」は、新手、妙手を指した者や、定跡の進歩に貢献した者に与えられる。第22回創設。「新手一生」を座右の銘とした升田幸三の名にちなんで制定された。
 受賞者はプロとは限らず、第31回ではアマチュアの立石勝巳が升田賞特別賞を受賞。第35回の今泉健司と第38回の星野良生は奨励会三段で升田賞を受賞。第47回ではコンピュータ将棋ソフトのelmoが升田賞を受賞している。

 朝は雨、9時頃には上がり曇り空、風がとても強い。
 塀沿いの狭い空き地が花壇となっている。その中で、”ハナニラ”が咲いている。花色が白色や淡青色なので清楚な感じがする、蕾も花も可愛く、花びらの縦の縞模様も特徴的で綺麗だ。
 野菜の韮と同じ科だが属(野菜のニラはネギ属)が違い、花の姿も大きく違う。韮に似ているが、食べると下痢となる・・らしい。葉を千切ってみると、韮(にら)の匂いがする。
 名(ハナニラ:花韮 )の由来は、可愛い花を付ける韮に似た葉からと言う。別名には、イフェイオン(Ipheion)、スプリングスターフラワー(Spring star flower)、セイヨウアマナ(西洋甘菜) があり、ベツレヘムの星・ダビデの星と呼ばれる事もある。
 ハナニラ(花韮)
 別名:西洋甘菜(せいようあまな)、イエイオン(Ipheion)
 英名:Spring star flower
 ユリ科(ヒガンバナ科)イフェイオン属
 球根性多年草
   秋に球根を植え、春に花が咲く
 原産地は南米(アルゼンチン)
 明治時代に園芸植物として導入、逸出し帰化している
 開花時期は2月~5月
 韮の様な葉から花茎を伸ばし、その先に6弁花で星形の花を1輪咲かせる
 花径は数cm程、花色は白・淡青紫・青紫