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滝錬太郎「雨にもまけず」 湧別町のパブリックアート(12)

2020年05月14日 08時54分37秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 末尾のリンクを見ればわかるとおり、とにかく遠軽地方にたくさんの野外彫刻が設置されている滝錬太郎さんですが、さすがに全部見たと思っていました。
 まさか未見の作品が、湧別町の遊園地「ファミリー愛ランド YOU」の中、サロマ湖を望む丘の中腹にあったとは。 

 筆者が見る滝さんの作品は、これが9点目ですが、ほとんど類似の作風がないのは興味深いです。
 似たような裸婦を立たせるのなら、ラクとまではいわないでしょうけど、迷いは少なくて済みますよね。
 そうではなく、さまざまな人物を提示しているのは、この作者の旺盛なサービス精神を感じさせます。

 幼い女の子の像と思われますが、雨傘をいっしょに造形のなかに取り込んでいるのは珍しい。
 しかも、傘の柄を手にして、さしているのではなく、風にあおられて布や骨の部分をじかに持っています。

 傘が奪われそうになるぐらいだからよほど風が強いのでしょう。
 よく見るとレインコートのすそも風でめくれている。

 像の向こうにはサロマ湖が見えます。

 ちょうど時雨が通り過ぎた直後だったので、像がほどよくぬれています。

「雨にもまけず」という題であるが、宮澤賢治を思わせる要素はまったくありません。

 よく見ると、二の腕の長さなど、ちょっとデフォルメされて実際の幼児よりも長くつくられているような気もしますが、逆にそれが像全体の動感を高めているように思います。

 交叉した両脚も同様に、動きを与えています。


 女の子が
「もう、こんなひどい雨、イヤッ」
と叫んでいる場面のようでもあります。


 なお、さすがに滝錬太郎の作品はもうこの附近にはないと思いますが、どうも湧別町にはまだパブリックアートがあるようなので、後日探索してみたいです。

(上湧別にある湧別町の役場庁舎内は、かなりの絵が飾られています)




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続く) 


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