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常陸太田市鯨ケ丘を歩く―茨城県北芸術祭 KENPOKU ART 2016年遅い夏(9)

2016年10月05日 11時01分38秒 | 道外の国際芸術祭
(承認)

 9月26日の日記、これが8本目の記事になるのかな。

 常陸佐竹市役所、じゃなかった梅津会館の最上階には、茨城県北芸術祭にタイから出品しているニパン・オラニウェー(Nipan Oranniwesna)の大作「イ / バ / ラ / キ」が設置してあった。
 いったい何メートルあるんだろう。この白いのは、すべてベビーパウダーだというからびっくりだ。
 会場のボランティアの人が「さわらないでください」と繰り返していた。




 表面には地図が刻まれている。茨城県内の42市10町2村の地図を組み合わせ、型紙を作って、パウダーを振り掛けているらしい。

 画像は、どこなのかいちばんわかりやすい場所を示しておいた。



 とはいえ、実物をもとにしながらも架空の地図である。
 のちほど、あいちトリエンナーレの愛知県立芸術センター入り口でも見ることになるが、いま「架空の地図」って、ブームなのかな?

 ただ、北海道民としては、こんなにどこまで行っても市街地ばかり続く地図というのは、現実感がいまひとつだなあというのが率直な感想だった。川や道路はあるけれど、海岸線や湿地がないので、夢が広がるというよりも息苦しくなってくる。


 梅津会館のすぐ近くの、お店の跡で、SPREADという日本のユニットが「Lifestripe]というインスタレーションを発表していた。

 リサーチベースだが、ある人がある1日をどう過ごしたかを、色によってわかりやすく示している。

 赤は仕事で、左の人は、公務員男性の2011年3月12日。
 震災への対応で走り回っていたということで、終日真っ赤だ。 

 仕事や家事、食事、睡眠がバランスよくある人の1日を見たほうが、やはり落ち着く。



 さて、鯨ケ丘のあたりをぶらぶらと歩く。

 岡高史さんのピンクのパネルがあちこちの建物に組み込まれている。









 それぞれの建物に取り付けられたテキストは、にぎやかだった時代の商店街への郷愁に満ちている。
 この地域であらたに店を始めた若い人も、わずかながらいるようだ。

 梅津会館のすぐ右となりのお米屋さんが、すごくいいたたずまいだった(右の画像)。


 上の地図をごらんになってほしい。国道と県道が平行して走っている細長い地域が「鯨ケ丘」だが、このあたりは周辺とくらべて道路が少ない。
 これは、丘の高さがあり、丘の上と下を結ぶ道路が急坂になってしまうので、道路が少ないことを表している。
 鯨ケ丘は、域内の道が狭く、駐車場の確保もしづらいという、よくある課題のほかに、そもそもアクセスする道路自体が少ないという難点も抱えているわけだ。

 クルマ社会の進展に取り残された古い街を今後どうしていくのか。
 常陸太田や茨城県北だけではなく、日本中の課題であることを、あらためて認識させられた。


https://kenpoku-art.jp/



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