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札幌ミュージアム・アート・フェア2020-21・本郷新記念札幌彫刻美術館

2021年02月28日 14時05分06秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
(承前)

 札幌ミュージアム・アート・フェア2020-21は、札幌芸術の森美術館のほか、本郷新記念札幌彫刻美術館(札幌市中央区宮の森4の12)でも開かれていました。
 
 同館の出展ギャラリーは、ギャラリー犬養、GALLERY 門馬KIYOE GALLERY NISEKO の三つ。
 門馬さんは、札幌芸術の森美術館にもブースがあり、唯一、両方の館に出品したギャラリーになっています。名乗りを上げたギャラリーが予想より少なかったのかもしれません。

 冒頭画像は、KIYOE GALLERY NISEKO から出品の加藤宏子さん。
 加藤さんの彫刻は、つい先ごろまで、地下鉄南北線大通駅の一角に3年間設置されていたので、ご存じの方も少なくないでしょう。



 「KIYOE…」は後志管内倶知安町とニセコ町にまたがるリゾートエリアが活動拠点のようです。札幌にもオフィスがあるようですが。
 筆者は(いま地理的に遠いこともあって)よく知らないのですが、取り扱っている作家は非常に幅が広く、オーストラリアなど海外から訪れる行楽客にとっては、日本と北海道のアートの格好の入り口になっているのでしょう。
 次に挙げる作家がサイトには載っていました。

荒野洋子 / 大滝憲二 / 加藤宏子 / 國松明日香 / 久保奈月 / シーズン・ラオ / 瀧口健吾 / 布澤幸 / 古瀬桂 / WA!moto. motoka watanabe

 先の画像で、左の奥にずらっと並んでいるのは布沢さんによる木彫りのクマです。これが新作として流通するのは、興味深い。




 荒野さんは倶知安で墨象を手がけるベテラン書家。
「北海道墨人」の書展には毎年出しておられます(2018年の展覧会はこちら)。

 墨象って、書にくわしくなくても、絵画のように直感で楽しめる部分があるので好きです。字釈がなかったとしても、左は「山嵐」、中央は「風」じゃないかと、なんとなくわかりますし。
 



 手前は國松明日香さんの金属の彫刻。
 奥は大滝さんの平面。額装しているので作者の当初の試みからちょっと離れている感もありますが、支持体抜きに表層だけで絵画作品は成立するかという問題意識が根底にあると思います。




 札幌市豊平区の豊平橋のたもとにある古民家改装ギャラリーである「ギャラリー犬養」。
 現在は冬季休業中です。
 犬養さんは基本は貸しギャラリーではないかと思うのですが、札幌の若手が集まる一大結節点になっていますよね。それはさておき、今回は1人にしぼっての参加になっています。
 中止になった(といいつつ、ウエブ上では怒濤の展開をしている)札幌国際芸術祭2020の出品アーティストでもある井越有紀さんです(井越さんが昨年、ギャラリー犬養で開いた2人展のようすはこちら)。

  簡単に筆者の思いを書いておくと、井越さんの立体造形を「かわいい!」ということばでくくってしまうと、こぼれ落ちてしまうものがとても多いような気がします。




 ここからは、GALLERY 門馬です。
 藤沢レオ / 會田千夏 / 八子直子 / jobin. の4氏。

 上の画像は藤沢さんの金属による立体・壁掛け型立体が展開されています。




 會田さんの絵画(左)と、jobin. さんのモビール。
 2人とも画像ではなかなか良さが伝わりにくい(と、写真の腕が悪いことを棚に上げてすみません…)作家です。jobin. さんは、モビールなので、空調の風でゆらゆらと動きます。



 八子さんの絵画(と、そこから派生した作品)も、テキストや画像で説明するのが難しいのですが、とりあえず、會田さん・八子さんが参加したギャラリー門馬での3人展(2020年)へのリンクを貼っておきますね。

 以上、お正月に二つの美術館で見た異色の展覧会を、駆け足で紹介してきました。


 今回の出品作家は非常に幅広く、バラエティに富んだ展示になっていたと思います。
 これまで美術館で個展を企画した作家は、スカイホールの超ベテラン勢を除けば、上の國松明日香さんぐらいですが、今回の突発企画で
「企画展できそうな中堅・若手、けっこういるじゃん」
ということがあらためてわかってきたのではないでしょうか。
 いつも書いていることではありますが、道内公立美術館におかれましては、もう少し地元の作家にスポットをあてていただきたいと願います(客足が心配なのもわかりますが)。


https://artpark.or.jp/artfair2020-21/

(この項了) 


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