道銀芸術文化奨励賞の受賞者は、北海道銀行(道銀)の本店1階通路にある「らいらっく・ぎゃらりい」で個展を開くことができる。
昨年受賞した函館の陶芸家、高井秀樹さんは、これまで制作した壺などの中から、思い出深いものや転機になった作品などを並べていた。
今年の受賞者は、北広島に穴窯をもつ陶芸家の上ノ大作さん。
上ノさんはめずらしく、素材へのこだわりがない人で、これまでも氷や木で立体を作ってきたし、札幌国際芸術祭2014と同時開催された作品展では、札幌芸術の森野外美術館の土をクレバスのように掘り下げた作品を出品していた。
今回は、竹ひご。
これを公開制作で、接着剤を用いずに編み上げ、単体の立体作品「Warm hole」とした。
らいらっく・ぎゃらりいは、横に細長い空間で、壁に絵を掛けても、後ろに下がって見るだけの余地に乏しい。しかも、通路側は、出入り口のとびらを含めて半分ほどがガラス張りで、かなり扱いの難しい空間である。
そのため、従来は、趣味の小品展に使われることが多かった。
今回の上ノさんの作品ほど、この空間を巧みに使ったものは、これまでになかったといってよいと思う。
端に1メートルほどの白い枠を天井からつりさげ、そこから、穴が膨らんだり狭まったり、ふた筋に分かれたりまた一つに合流したりして、反対側の端の枠までうねっていく。
文字通りの「虫の穴」であり、SFなどに登場するワームホールの意味もある、と上ノさん。
ミクロの世界とマクロの世界を同時に感じることができる、スケール感のある作品だと思う。
どこから見ても形が異なるし、どこからカメラを構えても作品の全体像を一目でとらえることはできまい。
この作品、会期が終わると壊してしまうそうなので、本物をご覧になってほしい。
2017年1月23日(月)~2月5日(日)午前10時~午後6時(最終日~4時)
らいらっく・ぎゃらりい(中央区大通西4 北海道銀行本店)
関連記事へのリンク
■帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト
■上ノ大作 器展 (2015)
■、ノ記 上ノ大作作品展 (2014)
■木が語る (2014年5月)
■防風林アートプロジェクト (2014)
■上ノ大作 作品展―森の生活― (2013)
■上ノ大作「ムノウノ人」 ハルカヤマ藝術要塞(2011)
■あな展(2010年)
■花のある暮らし 身近な自然と暮らし(2009年)
■新茶を愉しむ 旅する茶器(2009年)
■第8回生まれ出ずる土塊展(2008年、画像なし)
■第1回「凍土会陶芸展」 (2008年、画像なし)
■上ノ大作作品展-陶ト木ト紙ト-(2007年、画像なし)
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そのため、従来は、趣味の小品展に使われることが多かった。
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