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■菊池ひとみ個展 (10月17日まで)

2009年10月16日 23時45分17秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 菊池ひとみさんは、空知管内新十津川町在住。
 すくなくとも1990年以降毎年、全道展に出品しており、ついに今年、奨励賞を射止めた。
 全道展以外で、どこかで見たことがあると思ったら、倶知安ゆかりの画家らでつくる麓彩会のメンバーであり、小川原脩記念美術館で拝見したのだった。もしかしたら、麓彩会展ではなく、個展だったかもしれないが、記憶に自信がない。

 大きな作品は、風景に人物群像を組み合わせた構図。輪郭線が引かれ、必ずしも透視図法や写実を重んじない画風は、全道展に多くみられるタイプの絵だといえる。
 だが、「全道展に多い絵だな」と、安直にひとくくりにせず、じーっと絵の前に立っていると、彼女の絵ならではの魅力に気づく。それは、独特の色彩である。写実的な配色では、むろんない。といって、ごてごてとした厚塗りでもない。オーカー系ばかり多用するのではなく、いろいろな色を、画面全体がばらけない程度に、何度も重ねているようだ。
 「五月の室内」を仔細に眺めていると、家の中と、窓の遠くにある高層住宅の壁に、おなじ薄紫が用いられていることに気づく。色と色が、ごく静かに響きあっている。
 「素朴な風景(早春)」「素朴な風景(晩春)」の2点は、対になる作品。はるかに野や山を望むテラスのような場所に置かれたテーブルは、キュビスムふうに、天板を丸く見せている。

 小品がとりわけ魅力的に感じられた。「新十津川風景」「五月の庭」には、色彩を配することに対して抱いている画家の歓喜がこだましているようだ。


2009年10月12日(月)-17日(土)10:00-6:00(最終日-5:00ぐらい)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)


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