(承前)
筆者はアルマン像の前でバスを待っていたのだが、まるで来る気配がない。
地図で見ると、Colombus Ave.(斜めどおり)はそれほど遠くなさそうだ。
なので、歩くことにした。
目指すは、CITY LIGHTS BOOKS(冒頭画像)。
1950年代アメリカ文学の一大ムーブメントであったビートニク(ビートジェネレーション)の聖地とも言える書店らしい。
アレン・ギンズバーグの名高い詩集「吠える」もここで出版されたという(出版事業もしているのだ)。
いわば、ヒッピームーブメントの源流であり、60年代以降の学生運動、カウンターカルチャー、東洋思想(禅など)受容の遠い祖先がここにあるといえるのではないか。
諏訪優著「ビート・ジェネレーション」(紀伊國屋新書)によると、この書店のあるノースビーチは、ビートの詩人たちが安いアパートなどに大勢たむろして、朗読会などをひらいていた地区らしい。
書店の横の小路は
Jack Kerouac St.
と名づけられている。
ケルアック。おお、「路上」の作者!。
スタインベックのことばが埋め込まれている。
スタインベックは、「怒りの葡萄」で名高い米国の小説家である。
書店の壁には壁画が描かれている。
ケルアック通りをはさんで向かいの建物にも。
店内に入った。
圧倒された。
まさに、カウンターカルチャー健在なり、だ。
こんなにすごい書棚、見たことない。
この書店が出している本のコーナーが1階にあるのだが、その書名がキテル。
「ジ・エイトの声」「誰も知らなかったイラク」「増大する米国の貧困」「ブローディガン」・・・。
(適当に訳してみました)
読めるなら読みたい本ばかりだ。
文学、美術の本が1階には詰まっている。
「1917」という新聞があったので、なにかと思えば、インターナショナル・ボリシェビキの機関紙らしい。こんな党派がまだあるのか! 近くには、コミュニストの新聞や社会変革を目指す団体の雑誌がならんでおり、札幌駅前通りのアテネ書房でももはや見かけなくなった光景である。ミニコミもたくさんあった。
もちろん、トルストイやオースティンといった正統派の文学も充実している。村上春樹は当然だが、桐野夏生の英訳もあった。
(ショーウインドウの写真)
地下は、音楽、映画、宗教、歴史、哲学などノンフィクション全般だが、棚の分類が、「クィアスタディーズ」(同性愛研究)、「Green Economy」「人民の歴史」などになっていて、あまりのこだわりぶりに絶句。ここでは、「公的な歴史」の本と、「人民の歴史」とは別物なのだ。「Latin America」の棚の上でいちばん目立っているのは、もちろんフィデロとゲバラの本である。
2階は、詩のコーナー。何千冊あるだろう。かつて池袋にあった詩書の専門店とはくらべものにならない品ぞろえ。
ダンテ、フロスト、もちろんケルアックやギンズバーグ、そして高村光太郎も高橋睦郎も西脇順三郎の英訳もあった。
読めもしないのに数冊の洋書を買い求め、店を出る。
この書店の近くにギャラリーがあるはずなのだが、見つからない。
Broadwayをおりて、つぎの目的地へ。
この通りは、あやしい個室ビデオ店などが多く、夜はちょっとひとりでは歩けなさそうな雰囲気である。
つぎに行ったのは、Art Space 712。
ということは、akaさんのところより差し引き 610 エライのか、などとくだらないことを考えながら階段をのぼっていく。
倉庫を改装したとおぼしき広いスペースでは絵画のグループ展がひらかれていた。フォーブ調の人物画が多いので、なんだかちょっと全道展みたいだった。
附近は人や車の通行は少ないが、土曜なので閉まっている事務所などが中心で、あぶない雰囲気はまったくない。
そのうちにふたたびFinancial Districtに出る。
マーケットストリートを渡り、この通りと並行しているMission St.に出て、14番のバスに乗る。
(この項続く)
筆者はアルマン像の前でバスを待っていたのだが、まるで来る気配がない。
地図で見ると、Colombus Ave.(斜めどおり)はそれほど遠くなさそうだ。
なので、歩くことにした。
目指すは、CITY LIGHTS BOOKS(冒頭画像)。
1950年代アメリカ文学の一大ムーブメントであったビートニク(ビートジェネレーション)の聖地とも言える書店らしい。
アレン・ギンズバーグの名高い詩集「吠える」もここで出版されたという(出版事業もしているのだ)。
いわば、ヒッピームーブメントの源流であり、60年代以降の学生運動、カウンターカルチャー、東洋思想(禅など)受容の遠い祖先がここにあるといえるのではないか。
諏訪優著「ビート・ジェネレーション」(紀伊國屋新書)によると、この書店のあるノースビーチは、ビートの詩人たちが安いアパートなどに大勢たむろして、朗読会などをひらいていた地区らしい。
書店の横の小路は
Jack Kerouac St.
と名づけられている。
ケルアック。おお、「路上」の作者!。
スタインベックのことばが埋め込まれている。
スタインベックは、「怒りの葡萄」で名高い米国の小説家である。
書店の壁には壁画が描かれている。
ケルアック通りをはさんで向かいの建物にも。
店内に入った。
圧倒された。
まさに、カウンターカルチャー健在なり、だ。
こんなにすごい書棚、見たことない。
この書店が出している本のコーナーが1階にあるのだが、その書名がキテル。
「ジ・エイトの声」「誰も知らなかったイラク」「増大する米国の貧困」「ブローディガン」・・・。
(適当に訳してみました)
読めるなら読みたい本ばかりだ。
文学、美術の本が1階には詰まっている。
「1917」という新聞があったので、なにかと思えば、インターナショナル・ボリシェビキの機関紙らしい。こんな党派がまだあるのか! 近くには、コミュニストの新聞や社会変革を目指す団体の雑誌がならんでおり、札幌駅前通りのアテネ書房でももはや見かけなくなった光景である。ミニコミもたくさんあった。
もちろん、トルストイやオースティンといった正統派の文学も充実している。村上春樹は当然だが、桐野夏生の英訳もあった。
(ショーウインドウの写真)
地下は、音楽、映画、宗教、歴史、哲学などノンフィクション全般だが、棚の分類が、「クィアスタディーズ」(同性愛研究)、「Green Economy」「人民の歴史」などになっていて、あまりのこだわりぶりに絶句。ここでは、「公的な歴史」の本と、「人民の歴史」とは別物なのだ。「Latin America」の棚の上でいちばん目立っているのは、もちろんフィデロとゲバラの本である。
2階は、詩のコーナー。何千冊あるだろう。かつて池袋にあった詩書の専門店とはくらべものにならない品ぞろえ。
ダンテ、フロスト、もちろんケルアックやギンズバーグ、そして高村光太郎も高橋睦郎も西脇順三郎の英訳もあった。
読めもしないのに数冊の洋書を買い求め、店を出る。
この書店の近くにギャラリーがあるはずなのだが、見つからない。
Broadwayをおりて、つぎの目的地へ。
この通りは、あやしい個室ビデオ店などが多く、夜はちょっとひとりでは歩けなさそうな雰囲気である。
つぎに行ったのは、Art Space 712。
ということは、akaさんのところより差し引き 610 エライのか、などとくだらないことを考えながら階段をのぼっていく。
倉庫を改装したとおぼしき広いスペースでは絵画のグループ展がひらかれていた。フォーブ調の人物画が多いので、なんだかちょっと全道展みたいだった。
附近は人や車の通行は少ないが、土曜なので閉まっている事務所などが中心で、あぶない雰囲気はまったくない。
そのうちにふたたびFinancial Districtに出る。
マーケットストリートを渡り、この通りと並行しているMission St.に出て、14番のバスに乗る。
(この項続く)