道教大の学生・院生計5人と1グループが、およそ3日ずつ、3つの会場で個展(1つだけグループ展)を連続して1カ月間にわたり開催している「SPIRAL」展。
見る方もまるで修業みたいな展開になっておりまして、しかも会期が短いので、紹介が間に合いませんでした(と、いいわけ)。なかなかユニークな個展でしたが…。西田さんは、19-21日に道教大札幌校で、24-28日にiwamizawa90°でも、「SPIRAL」の個展をひらきますが、内容的には、今回と別のものになるそうです(かくしてヤナイの修業は続く)。
今回の個展の副題は「Imagined Pop Scenery」&「Shape to make」project#3。
「9J」の会場には、いわゆるタブローが3点のほか、緑に塗った厚紙の筒や円すい、青のポリタンク、赤や青の角材などが置かれ、中央には青いシートが敷かれて、また、天井からは、スキー場のゲレンデなどでよく見るオレンジ色の樹脂がつり下げられ、さらに、窓には緑の幕が張られて、「ポップな工事現場」とでも言うべき、不思議な空間が現出しています。
色とりどりのおもちゃのボールを入れた袋もぶらさがっています。
チープでカラフルさで、具体的なイメージに頼ることなくポップさを表現する手腕は、あいかわらず見事なものです。
筆者は、このインスタレーションを、絵画の派生したものとしてとらえました。
見た目はだいぶ異なりますが澁谷俊彦さんの問題意識に似たものを感じたのです。つまり、タブローではないけれど、或る面に色や線を配置しているのは、絵画ではないのだろうかと思ったのです。
ただ、西田さんは、「場所と作品の関係」に重きを置いているようです。
「作品をシステム化して、部品を組み立てられるように作品をつくりたかったんです」
この発想は、大量の木材を使い回して東京都内で立て続けに個展をひらいた川俣正さんに似ていますなあ。
タブローはいずれも正方形。黄色い地に、アポロ計画のときの画像を引き写して描いたものと、全体に広がる赤い水玉模様を重ね合わせています。
3枚目の画像に載っているのは、整列した7人の宇宙飛行士の写真を写したものであり、この上の画像は、アポロが月面に到着したさいの有名な写真がもとになっています。
西田さんって、宇宙のイメージが好きだなあ。
ただ、筆者は老人だから、アポロの月面着陸は、リアルタイムで記憶があるのだけれど、西田さんのような若者にとってはどんなイメージなんだろう。
かつては、人類の明るい未来と進歩の表象であったようだが…(ただ、それは、いま振り返るからそう思えるからであって、当時=1969年=はそんなにバラ色だったわけでもないだろう)。
1969年当時は、これから宇宙時代が始まって、人類はどんどん遠くの天体に進出するかのような夢物語が語られていたけれど、実際には70年代後半以降、月にも行っていない。進歩の頂点が、はるか過去にあるっていう感覚は、筆者の世代には、どうもいまいち分からなかったりする。まあ、些末な話だけど。
奥の小部屋にも作品を展開。
こちらはタブローがメーンで、「呑気な破滅」「カラフルチューリップ」「ギャラクシーグラフ」の3点と、「9J展示マケット」という模型が置いてありました。
こんなにスカスカな塗り方で、ちゃんと絵になってるんだからふしぎなもんです。
08年6月8日(日)-10日(火)11:00-19:00
PRAHA2+deep sapporo(中央区南11西13)
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