一般社団法人AISプランニングの「アーティスト・イン・スクール」事業で、札幌市北区の光陽小に昨年から通っていた佐竹真紀さんが、1日限りの発表をするというので、見に行ってきました。
佐竹さんは札幌の作家で、コマ撮りアニメーションの手法による作品が、VOCA展で入賞するなど高く評価されています。
こんな人が小学校に来るなんて、自分が子どもだったらわくわくします。
札幌におよそ200校ある小学校の大半は地名を冠していて、校名からおおよその所在地を類推できますが、光陽小はめずらしく、どこにあるか名前からはわからない学校です。
北区新琴似にあり、55年前に新琴似小学校から分離し開校しました。
発足直後、新琴似北小、新琴似西小が創立され、21世紀に入る前後から児童数の増減はあまりなく、落ち着いています。
今回、開校以来55年間使用してきた校舎を改築するというので、校内の廊下などの壁は子どもたちによる落書きだらけになっています。
すぐに壊されるとはいえ、これは楽しいなあ。
3階建ての校舎は、見た目にはそれほどオンボロという感じでもありません。
ただ、筆者が幼い頃通った校舎建築によく似ているので、自分のトシを考えれば、それは古いということなのでしょう。
2階の突き当たりにある「多目的室」に、開校以来の卒業写真や行事の際のアルバムなどが一挙公開されていました。
やっぱり、プリントされると、ちゃんと残るんだなあ。
入り口のガラス戸に描いてある、校長先生の似顔絵は、佐竹さんの助っ人として参加した画家・久野志乃さんによるもの。
その下の、黄や白の短い曲線もやはり久野さんが描いたのでしょう。
校舎の壁や、玄関の窓ガラスにも、同様の曲線の様式による、いかにも「子どもが描いたものではない」という絵がまじっています。それらは久野さんが手がけたと思われます。
佐竹真紀さんお得意の、古い写真を何枚も用いた、アニメーションの手法による映像作品が上映されていました。
開校(1969年)当時は、写真はモノクロだったようです。
札幌市の人口は1960年当時、約52万人でしたが、その後豊平町、手稲町と合併したこともあって急激に増え、わずか10年後の70年には101万人と大台を突破しています。
10年で2倍という、尋常ではないハイペースです。
札幌市は、郊外に向かってどんどん宅地が広がるのにあわせ、新設校を次々と建てていった時期です。
卒業生か、その親とおぼしき老人が、懐かしそうにアルバムのページをめくったり、お母さんたち、子どもたちが昔の写真を確認したり、なかなかにぎわっていました。
柱には、佐竹さんが「謎の転校生」として学校に来てからこの日までの活動ぶりを紹介した3こま漫画がたくさん貼ってあります。
コーディネーターの小林さんが描いたそうです。
この絵もおそらく久野志乃さんによるもの。
階段の壁にあった次の絵もおなじ。
運動会の伝統行事「鯉の滝登り」が題材だそうです。
どんな種目なのかな。
北見の小学校にはたいてい「無加川下り」とか「常呂川下り」という種目があったことを思い出します。
佐竹真紀さんが5年1組の子どもたちと共同制作した映像作品が、3階廊下の突き当たりのモニターで流れていました(冒頭画像も)。
また、3階から屋上へつながる、閉鎖されていた階段の壁面にも、運動会の動画が投映されていました。
あとは、とにかく廊下の絵が楽しいので、たくさん紹介します。
アートの関係者には、自分の学校時代を全面的に肯定するのをためらってしまう人も少なくないのでは、と想像します。
でも、いまの子どもたちの明るい絵に接すれば、理屈は抜きで、ほのぼのとしたあたたかい気持ちになってきます。
それと、先日観劇した「鮭なら死んでるひよこたち」で役者さんが話していましたが
「親でも先生でもない、なんかよく分からん人」
が子どもたちに何かを教えたり、いっしょにものをつくったりするのって、基本的には良いことなんだろうと思います。
□ http://www.makisatake.com/
過去の関連記事へのリンク
特集展示「本拠と外 Home & Away」(2020年2月8日~3月29日、苫小牧)
■New Eyes 2017 家族の肖像
■クロスオーバー (2017)
■愛する美術 ヒューマンラブ(3) 佐竹真紀「インターバル」(2008)
札幌の佐竹真紀さんが「デジスタ・アウォード」のグランプリに!(2006)
■DESIGN LABORATORY EXHIBITION 2004
■北海道教育大学大学院 院生展 (2003)
■カルチャーナイトフィーバー (2003) ※7月25日の項
北海道教育大学札幌校芸術文化課程美術コース卒業制作展 (2003)
■北海道教育大学札幌校 視覚・映像デザイン研究室展 (2001)
■七月展 2001 北海道教育大学札幌校美術科作品展
www.shinohisano.com
■ 久野志乃個展 森の配置、ひかりの距離で(2020)
■島の結晶学 Shino Hisano × Ai Komori (2017)
第8回札幌国際短編映画祭のポスターを入手! (2013)
【告知】久野志乃展 第22回道銀芸術文化奨励賞受賞記念 (2013)
久野志乃さんに道銀芸術文化奨励賞
■久野志乃個展 飛ぶ島のはなし
【告知】久野志乃個展 飛ぶ島のはなし(2012年)
■久野志乃と齋藤周展 かるいからだ (2008年)
■久野志乃個展「物語の終わりに、」(2008年)
■久野志乃個展(2005年)
=以下、画像なし
■民宿芸術(2003年)
■北海道教育大学大学院美術教育専修修了制作展(2003年)=20日の項
■第2回 具象の新世紀展(2002年)=12日の項
■ロッパコ報告会(2002年)
■久野志乃・遠藤香織展 あいまいなあいま(2001年)
■全道展(2001年)
■北海道教育大学札幌校美術科卒業生制作展(2001年)
■おなか(2001年)=画像あり
佐竹さんは札幌の作家で、コマ撮りアニメーションの手法による作品が、VOCA展で入賞するなど高く評価されています。
こんな人が小学校に来るなんて、自分が子どもだったらわくわくします。
札幌におよそ200校ある小学校の大半は地名を冠していて、校名からおおよその所在地を類推できますが、光陽小はめずらしく、どこにあるか名前からはわからない学校です。
北区新琴似にあり、55年前に新琴似小学校から分離し開校しました。
発足直後、新琴似北小、新琴似西小が創立され、21世紀に入る前後から児童数の増減はあまりなく、落ち着いています。
今回、開校以来55年間使用してきた校舎を改築するというので、校内の廊下などの壁は子どもたちによる落書きだらけになっています。
すぐに壊されるとはいえ、これは楽しいなあ。
3階建ての校舎は、見た目にはそれほどオンボロという感じでもありません。
ただ、筆者が幼い頃通った校舎建築によく似ているので、自分のトシを考えれば、それは古いということなのでしょう。
2階の突き当たりにある「多目的室」に、開校以来の卒業写真や行事の際のアルバムなどが一挙公開されていました。
やっぱり、プリントされると、ちゃんと残るんだなあ。
入り口のガラス戸に描いてある、校長先生の似顔絵は、佐竹さんの助っ人として参加した画家・久野志乃さんによるもの。
その下の、黄や白の短い曲線もやはり久野さんが描いたのでしょう。
校舎の壁や、玄関の窓ガラスにも、同様の曲線の様式による、いかにも「子どもが描いたものではない」という絵がまじっています。それらは久野さんが手がけたと思われます。
佐竹真紀さんお得意の、古い写真を何枚も用いた、アニメーションの手法による映像作品が上映されていました。
開校(1969年)当時は、写真はモノクロだったようです。
札幌市の人口は1960年当時、約52万人でしたが、その後豊平町、手稲町と合併したこともあって急激に増え、わずか10年後の70年には101万人と大台を突破しています。
10年で2倍という、尋常ではないハイペースです。
札幌市は、郊外に向かってどんどん宅地が広がるのにあわせ、新設校を次々と建てていった時期です。
卒業生か、その親とおぼしき老人が、懐かしそうにアルバムのページをめくったり、お母さんたち、子どもたちが昔の写真を確認したり、なかなかにぎわっていました。
柱には、佐竹さんが「謎の転校生」として学校に来てからこの日までの活動ぶりを紹介した3こま漫画がたくさん貼ってあります。
コーディネーターの小林さんが描いたそうです。
この絵もおそらく久野志乃さんによるもの。
階段の壁にあった次の絵もおなじ。
運動会の伝統行事「鯉の滝登り」が題材だそうです。
どんな種目なのかな。
北見の小学校にはたいてい「無加川下り」とか「常呂川下り」という種目があったことを思い出します。
佐竹真紀さんが5年1組の子どもたちと共同制作した映像作品が、3階廊下の突き当たりのモニターで流れていました(冒頭画像も)。
また、3階から屋上へつながる、閉鎖されていた階段の壁面にも、運動会の動画が投映されていました。
あとは、とにかく廊下の絵が楽しいので、たくさん紹介します。
アートの関係者には、自分の学校時代を全面的に肯定するのをためらってしまう人も少なくないのでは、と想像します。
でも、いまの子どもたちの明るい絵に接すれば、理屈は抜きで、ほのぼのとしたあたたかい気持ちになってきます。
それと、先日観劇した「鮭なら死んでるひよこたち」で役者さんが話していましたが
「親でも先生でもない、なんかよく分からん人」
が子どもたちに何かを教えたり、いっしょにものをつくったりするのって、基本的には良いことなんだろうと思います。
□ http://www.makisatake.com/
過去の関連記事へのリンク
特集展示「本拠と外 Home & Away」(2020年2月8日~3月29日、苫小牧)
■New Eyes 2017 家族の肖像
■クロスオーバー (2017)
■愛する美術 ヒューマンラブ(3) 佐竹真紀「インターバル」(2008)
札幌の佐竹真紀さんが「デジスタ・アウォード」のグランプリに!(2006)
■DESIGN LABORATORY EXHIBITION 2004
■北海道教育大学大学院 院生展 (2003)
■カルチャーナイトフィーバー (2003) ※7月25日の項
北海道教育大学札幌校芸術文化課程美術コース卒業制作展 (2003)
■北海道教育大学札幌校 視覚・映像デザイン研究室展 (2001)
■七月展 2001 北海道教育大学札幌校美術科作品展
www.shinohisano.com
■ 久野志乃個展 森の配置、ひかりの距離で(2020)
■島の結晶学 Shino Hisano × Ai Komori (2017)
第8回札幌国際短編映画祭のポスターを入手! (2013)
【告知】久野志乃展 第22回道銀芸術文化奨励賞受賞記念 (2013)
久野志乃さんに道銀芸術文化奨励賞
■久野志乃個展 飛ぶ島のはなし
【告知】久野志乃個展 飛ぶ島のはなし(2012年)
■久野志乃と齋藤周展 かるいからだ (2008年)
■久野志乃個展「物語の終わりに、」(2008年)
■久野志乃個展(2005年)
=以下、画像なし
■民宿芸術(2003年)
■北海道教育大学大学院美術教育専修修了制作展(2003年)=20日の項
■第2回 具象の新世紀展(2002年)=12日の項
■ロッパコ報告会(2002年)
■久野志乃・遠藤香織展 あいまいなあいま(2001年)
■全道展(2001年)
■北海道教育大学札幌校美術科卒業生制作展(2001年)
■おなか(2001年)=画像あり